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エントモフトラ症


熱帯の真菌症で、疫学はよく知られていない。

バシジオボロコーシス(同義語:皮下のフィコミコーシス)
Basidiobolus meristosporusによって引き起こされ、熱帯地方の農村部の若年者に認められる(インドネシア、ミャンマー、インド、黒アフリカ)。
臨床上、四肢(および肩、臀部)を選択的に冒す、炎症性のフレグモーネを起こす。ごく稀に体幹や顔面に生じる。真皮−皮下に、堅固で表面不整な腫瘤を作り、一般に熱感はなく無痛性だが、次第に熱感と疼痛、次いで発疹が出現する。所属リンパ節の腫大は稀である。診断は組織病理学的に行い、皮下の炎症硬化性肉芽(しばしば好酸球、組織球、巨細胞を多含する)に、隔壁のある菌糸を認める。
B.meristosporusの真菌学的な同定は困難である。経過はまちまちで、数年で自然治癒することが多い。
治療はヨウ化カリウム(30mg/kg/day) とステロイドを組み合わせたりして、長期に行なうとよい。amphotericine Bも勧められる。ketoconazole(Nizoral)は400-600mg/day を2-4ヵ月投与すると、失敗なしに治癒する。

リノフィコミコーシス(同義語:エントモフトロミコーシス)
Entomophthora coronata(Conidiobolus coronatus)によるもので、熱帯の多湿な国々(カメルーン、ナイジェリア、ザイール、マダガスカル、インド、ブラジル)以外には見られない。
鼻腔内粘膜に初発し、喉頭、副鼻腔、鼻腔内の気道上、上口唇、顔面一帯へ急速に拡大する。晩期には鼻が《豚の鼻面》(またはバク様)に変形する。病理組織学的形態は、皮下のフィコミコーシスのそれに匹敵する。
E.coronataの同定は培養によってのみ可能である。
治療はヨウ化カリウム(30mg/kg/day を数か月間)にsulfamethozazole-trimethoprime(Bactrim, Eusaprim) を併用する。外科的処置は不可欠なことが多い。ketoconazole単独(400-600mg/day を2-4ヵ月間)で治療された症例は少ないが、明らかに治癒した。

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