O.volvulusの種は分布する全域で同一でない。アフリカではサバンナと森林の回旋糸状虫 症では、感染を起こし病原であると観察される株が区別される。
感染幼虫が接種されて皮下にミクロフィラリアが出現するまでに1−2年かかる。
媒介動物は大きさ1−3mmと小型の双し目、長角亜目のブユで、黒い蝿と見誤る。アフリカではSimulium damnosum の一群がヒトの回旋糸状虫 症を媒介する。西アフリカのS.damnosum群では、8種ほどが染色体の違いにより分類されている。雌のみが吸血性である。雌は病人の皮膚からミクロフィラリアを吸入し、7日すると感染型幼虫を吻管から放つようになり、これが刺し口から表皮に積極的に入る。ブユの棲息域は回旋糸状虫 症の分布を規制している。雌は空気がたくさん含まれる水辺の草や岩に産卵する。滝、渓流、急流域、稲作用の堰や灌漑用水などである。虫卵は孵化して水棲の幼虫として動き回り、季節に依るが、8−20日かかって蛹から成虫になる。成虫は日没時に屋外で吸血する。これらの飛行領域は約10kmだが、季節の変わり目の風雨に乗って400kmも動くことがある。幼虫の棲息域は水系の関係から、厳密に回旋糸状虫 症の分布域で説明される。乾燥サバンナ地帯(スーダン型)では、媒介ブユは水路の近隣に多数が集中する。回旋糸状虫 症の流行域は広大でないが、伝播力は大変強力である。感染者の大半は重篤である。多湿の森林地帯では、ブユは広範囲に広がっている。回旋糸状虫 症の罹患率は先の地域ほど強くないが、増大している地域と同じ程度であり、病的な程度は全般に軽い。多湿サバンナ地帯(ギニア型)ではこの状況は中間にあたる。《最前線》の村では、先人の90%が感染しており、20%以上が失明しており、住民から灌漑可能な農地がどんどん放棄されている。
アフリカでは回旋糸状虫 症は北緯15度から南緯13度の間、即ちサヘル地域からアンゴラやタンザニアにかけて見られる。超浸淫地帯はガーナ、象牙海岸、ブルキナファソに位置する。1974年には四百万の住民のうち、40万人が回旋糸状虫 に感染した。そのうち4万人が失明した。イエメンとアラビア半島の南西部には、小さな流行域が存在する。アメリカ大陸では回旋糸状虫 症はメキシコ、ガテマラ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジルおよびエクアドルに限局している。S.ochraceum とS.metallicumの2つが主に媒介するが、その他の種も地域的に介在する。最も重要な流行地域は、標高500-1,500 にかけてのコーヒー農園の一帯である。
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