確診を強めるもの:成虫または幼虫を証明する方法である。成虫はリンパ節生検で例外的に明らかになるが、病理組織像は虫体の断面の周囲に異物反応が認められる。この様な生検像は希にしか証明されない。生検は繰り返すリンパ管炎や象皮病のもととなり、危険なことがある。逆にミクロフィラリアは、薄層および厚層塗抹標本(種の特長が容易に判別する)で血中に頻繁に明らかとなる(図1.W.bancrofti の尾部図2.B.malaziの尾部)。
一方ミクロフィラリアは場合によっては定期出現性に従っている。.W.bancrofti,pacifica種は不定期性であるのを除いて、23時ごろに見られよう。diethylcarbamazine 100mgを服用すれば、末梢血中のミクロフィラリアを日中に出現させられるが、 Loa loaの浸淫地帯では禁忌である。
図1
図2
濃縮法(saponine2%溶液で赤血球を溶解したあと、 milliporeまたはnucleoporeで濾過して白血球を濃縮する)はミクロフィラリアの僅少保有者を見付けだすのに用いられる。総合的に本法はミクロフィラリアの種の特定し、数の推定して、殺ミクロフィラリア剤によって急激に殺滅した程度を推測することが出来る。
同様にミクロフィラリアが常時循環している、膣やリンパ瘤から溢出したリンパ液、乳び尿からも検出可能である。
これら直接検査は全ての相関性を計れる訳でない。事実、潜在性糸状虫症や慢性リンパ管糸状虫症の多くでは陰性であり、診断上除外出来ない。逆に、ミクロフィラリアを発見することは、リンパ系の症状が別の原因にある《無症候性ミクロフィラリア症》の単純症例を追視出来る。
疑いを強めるもの:好酸球増多症は頻発するが極端でない。蠕虫症では全て引き起こされる可能性があり、好酸球血症はリンパ管糸状虫症に特別なわけでない。ただdiethylcarbamazineによる治療の初期に急激な上昇をみる。
免疫学的方法:糸状虫症の従来の免疫学的検査法は抗体量を測定するものである。たくさんの手法が研究されたが、ゲル沈降法と免疫蛍光法だけが今日実用化されている。宿主と寄生虫間の関係は複雑で、これには均一な抗原を得ることが困難なことと、全ての線虫と交差反応する問題があり、時折その解釈が微妙となる。精製抗原分画やモノクローナル抗体の反応や、血清学的な新しい手技(ELISA、循環抗原を調べる)は期待されていること全てが具体化されてはいないが、利用されている。
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