W.bancroftiは地球上の熱帯・亜熱帯の広い地域に流行している(図2.a.periodic form(夜間のみ)b.subperiodic form(昼と夜))。特にアジアの南東部に多く入り込んでいる。西方のインドではヒトへの浸淫度は深く、東方の日本を除けば、罹患率の重大さは相当数の寄生虫保有者がいることからも判る。幾つかの国々では特別な制圧対策を取り、糸状虫 症の罹患率は大変減少した。さらに、 Anophelesが主要な媒介蚊である地域では、マラリア制圧が媒介蚊対策を拠り所としていたので、本症も衰退した。中国、日本、マレーシア、レウニオン島がそれに当たる。インドネシアの南太平洋諸島では大規模に展開中である。 Anophelesの生息東端であるBuxton線の東側の地域では、 W.bancroftiは非周期型のためpacificaと特定されている。仏領ポリメシアも昔大変悩まされた。アフリカの熱帯地方では流行はそれ程均一でない。浸淫地帯はサハラ以南の西海岸からモザンビークの東海岸までとインド洋の幾つかの島々と列島、即ちマダガスカル、コモロ、モウリシャス、レウニオン、セイシェル、である。エジプトには限局的な流行地域がある。
図2
アメリカ大陸では恐らく奴隷交易にとって持ち込まれたらしく、影響は中南米の熱帯地域の沿岸平野部に限られている。特に大西洋岸に長く(ブラジル、ギニア)、カリブ海の島々(小及び大アンチル諸島)にも見られる。
Brugia malayiはアジア地区に限定している。インドのある地域から Wallace線までにはW.bancroftiとの共存地帯がある。これでも媒介蚊対策が功を奏して、中国、マレイシアといったかつて猛威をふるった国々で発生は衰えている。
Brugia timoriはインドネシアのスラウェジ島と名前の由来となったチモール島に小さな流行地帯が存在するのみである。
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