Sorry ,This page is written in JAPANESE. English version is not available

疫学


  ヒトには3つのリンパ管フィラリア症がある。Wuchereria bancroftiまたはバンクロフト糸状虫 は太平洋・オセアニアの真性種である。 Brugia malayiまたはマレイ糸状虫 はマレーシアのフィラリアで、残る1つは Brugia timoriである。
  成虫またはマクロフィラリアは円形で白色の糸状、長さは4−10cmである。雌雄は糸状に丸まってヒトのリンパ系に生息し、この人は自然に保有者となる。B.malayiには保有動物も存在する。寿命は15年からそれ以上もあることは重要である。雌は幼虫またはミクロフィラリアを絶えずリンパ系に産出し、血中には周期的に出現する。その大きさは長さ250-300 μm 、直径8μm で鞘に覆われている。感染した者を蚊が吸血した際にミクロフィラリアが吸い込まれて伝播する。(図1)これは形態上進化して、12−14日後に感染型となり、後に吸血されたときに新しい宿主に伝染する。幼虫は2回の脱皮後リンパ系に入り、成虫期に達する。末梢血中にミクロフィラリアがいるときに吸血した蚊だけが感染するが、媒介蚊の活動性は寄生虫の周期性に合わされている、と仮説する者もいる。Culex quinquefasciatusAnophelesの何種かは何れも夜行性で、夜間型のW. bancroftiを媒介する。 Aedesは昼夜を問わず吸血する非周期型である。 AnophelesMansoniaB.malayiを伝播し、B.timoriの生活環に最も係わっているだろう。
図1

   W.bancroftiは地球上の熱帯・亜熱帯の広い地域に流行している(図2.a.periodic form(夜間のみ)b.subperiodic form(昼と夜))。特にアジアの南東部に多く入り込んでいる。西方のインドではヒトへの浸淫度は深く、東方の日本を除けば、罹患率の重大さは相当数の寄生虫保有者がいることからも判る。幾つかの国々では特別な制圧対策を取り、糸状虫 症の罹患率は大変減少した。さらに、 Anophelesが主要な媒介蚊である地域では、マラリア制圧が媒介蚊対策を拠り所としていたので、本症も衰退した。中国、日本、マレーシア、レウニオン島がそれに当たる。インドネシアの南太平洋諸島では大規模に展開中である。 Anophelesの生息東端であるBuxton線の東側の地域では、 W.bancroftiは非周期型のためpacificaと特定されている。仏領ポリメシアも昔大変悩まされた。アフリカの熱帯地方では流行はそれ程均一でない。浸淫地帯はサハラ以南の西海岸からモザンビークの東海岸までとインド洋の幾つかの島々と列島、即ちマダガスカル、コモロ、モウリシャス、レウニオン、セイシェル、である。エジプトには限局的な流行地域がある。
図2

  アメリカ大陸では恐らく奴隷交易にとって持ち込まれたらしく、影響は中南米の熱帯地域の沿岸平野部に限られている。特に大西洋岸に長く(ブラジル、ギニア)、カリブ海の島々(小及び大アンチル諸島)にも見られる。
 
   Brugia malayiはアジア地区に限定している。インドのある地域から Wallace線までにはW.bancroftiとの共存地帯がある。これでも媒介蚊対策が功を奏して、中国、マレイシアといったかつて猛威をふるった国々で発生は衰えている。
   Brugia timoriはインドネシアのスラウェジ島と名前の由来となったチモール島に小さな流行地帯が存在するのみである。
 


熱帯医療データベースに戻る

AMDAのホームページに戻る


      このページは、アムダ企画のご協力により作成されました。

            お問い合わせはmember@amda.or.jpまでお願いいたします。