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   疫学
  旋毛虫Trichinella spiralisは青白い線虫で、雌は胎生で体長5mm、雄は1.5mm である(図1)。小腸に一時的に寄生する虫である。
  全ての哺乳類がこの虫の成虫と幼虫を宿すことがある。肉食と雑食性動物が特に宿主となる。疫学上は、野生動物からの旋毛虫症と家畜からの旋毛虫症の2つの形式がある(図2)。
   野生動物からの旋毛虫症:野生の肉食動物とげっ歯類の大半の種が感染し得る。最初の感染動物が死骸となり、他の捕食性動物やげっ歯類が次に感染する。この野性環に入るものとして、オオカミ、キツネ、シロクマとヒグマ、アザラシ、セイウチ、ヤマネコ、ネズミ、イノシシ、イボイノシシ(図3)などがいる。
   家畜からの旋毛虫症:ネズミとブタが伝播に大きな役割を果たす。ブタはウイルスの感染源としても、ヒトにとっては最も重要となる。ブタは《同族の死骸》を共食いさせたとき、或いは寄生虫をもったネズミを食べたときに感染する。ネズミは屠殺場の塵やそれに似たようなものを貪り食うことで感染する。成虫がうまく宿主の小腸に寄生し、その後幼虫が筋肉に移行し、それが肉食動物に食われ、その消化管内で動きだして脱嚢し、幾度が脱皮して、48時間以内に新しい宿主の小腸内で雌雄の成虫となる。
  雌虫は小腸の粘膜面で成熟した後、雌はその体を粘膜内、特に Peyer板上に突き立て、幼虫を産出する。幼虫は全身の循環によって、全ての臓器に拡がるが、萎縮した横紋筋や筋肉束から別れている結膜組織には、無理に入り込んで成熟することはない。幼虫は動きを止め、8の字型に体を巻いて、宿主の組織反応によって楕円型の嚢胞を形成する。嚢胞化した幼虫は、大多数があちこちの筋肉内に寄生している(図4)。横隔膜脚、子宮頚部、肋間筋、舌筋、及び周囲の筋膜や付着腱などである。これらは親虫が死んだ後も15ヵ月間生き続け、その後石灰化する。
  生肉や火の通っていない旋毛虫の幼虫がついている肉、特に生の豚肉(薫製ハム、サラミソーセージ、ソーセージ)や、イノシシ・イボイノシシの生肉、ごく稀に馬肉を食べた者が感染する。感染形式は特に家族性であったり、ときには旋毛虫症の発生地域であったりして、特徴的である。故に旋毛虫症の分布は食生活と深く関わっている。本症は特に豚肉加工品がもてはやされるドイツや北アメリカに多い。同様の理由で、インド、中国、インドネシア、中近東の一部の国々にも頻繁に見られ、とりわけイボイノシシの生肉を食す北アフリカでも見かけられる。回教国家やイスラエルの共同体では見られない。実際、この寄生虫による流行がいくつか知られている。エジプトとトルコでは旅行者に、ラオスではベトナム系住民に、1976年と1985年にはついにパリ地域圏(ここでは生の馬肉は許可されていない)で症例がある。

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