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 疫学
  Ascaris lumbricoidesはヒトに特有の線虫である。円形の断面をもつ線虫で、赤みがかった白色、厚い表皮に覆われている(図1)。小さな口には3つの口唇と1本の消化管が備わっている(図2・成虫の頭部)。雌は体長20-23cm、雄は後方の先端が湾曲し、交接刺を有しており、長さは15-17cmである。回虫の断面は組織の構造が特徴的である。虫体面は丸く、直径が2-6mm(性別による)、滑らかで無構造の角皮によって境されており、長い筋線維でできた厚い層に合流している。体腔の中央は消化管か虫卵を満たした卵巣によって占められている。成虫の寿命はよく知られていないが、18ヵ月を越えることはないと想われる。成長のサイクルは比較的複雑である(図3)。成虫はヒトの小腸に寄生しており、成熟した雌はその糞便中に虫卵(図4・受精卵、図5・不受精卵)を排出可能となる。虫卵は寒さ、暑さや消毒剤にも強靭な抵抗性をもつ。産卵時には孵化することはなく、温度や湿度の状態に応じて、2-4週間で幼虫包蔵卵となって外界に達する。ヒトへの感染は、幼虫包蔵卵が汚染された食物や不潔な水を経口摂取することでおこる。虫卵の殻は胃液と幼虫から分泌されるある種の物質によって溶解される。自由となった幼虫は腸壁を突き抜けて、門脈を通って肝に達する(図6・肝内の第2期幼虫)か、腹膜の上を這い回る。肝静脈上枝を通って幼虫はその後右心、肺動脈、肺の毛細血管に到達し、第3日を迎える。幼虫はこの段階までに2回脱皮をする。第10日に、幼虫は肺胞−毛細血管壁をとび越えて、血行路から気道へ入って行く。肺胞を離れると再び細気管支、気管支、気管と上行して、気道と食道の分岐点に到達する。この段階で、寄生するかどうかは1回の咳反射と、嚥下という好都合な運動で決まる。幼虫は消化管を上下に動き、食道、胃それから小腸に至り、そこで最後の脱皮をして、成虫になる。産卵は人体に混入した後およそ60日後に始まる。人体中の生活史の2つの段階(組織中の幼虫と、体腔上の成虫)は2つの臨床期と一致する。幼虫の組織への異所性迷入と成虫の消化管の付属器への障害については最後に述べることとする。

図1 図2 図3

図4 図5 図6

  本症は世界中に見られる寄生虫病で、世界人口の4分の1が感染している。温帯地方では小児や土と密に接触する職業の人に多い。熱帯地方では人口の70%ないし90%から検出される。このことは、虫卵の成熟に適した、その地方の気温や湿度によって、あるいは屎尿処理が行なわれていないことによって、さらには作物の肥料に人糞を利用すること(極東で顕著)で説明される。


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