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 症状


  ジアルジア症は無症状またはいろいろな消化管障害を引き起こす。発症はふつう急速で、ときには激しい。食欲不振、悪心、腹痛、水様性下痢の急性胃腸症状を呈す。発熱はない。
  下痢が最も主要な症状である。1日5-10回の排便があり、早朝、食後に多く、便の性状は泥状または液状で、黄白色から透明、ときに粘液調もしくは卵白調で希に血液を含む。裏急後重やテネスムスはないが、排便時に肛門部に灼熱痛をおぼえる。下痢がいつまでも続くことは少なく、間歇性だったり便秘と交替性だったりする。心か部痛や右季肋部痛が毎食後漠然とあったり、いろいろな消化不全(食欲不振、悪心、消化不良、鼓腸、腹部膨満)が起こる。治療を怠ると、全身状態が変化し、痩せが見られるが、平熱のままである。
  小腸の吸収不良症候群は、特に小児のジアルジア症例において合併しやすい。臨床上、糞量が多く、悪臭を放ち、卵白色の便が特徴的である。るい痩がかなりひどくなる。生化学的には、脂肪(脂肪便)、蛋白質(筋繊維便)、糖(D-xylose試験)およびビタミンB12と葉酸の障害が顕著である。組織学的には、小腸粘膜はランブル鞭毛虫で覆われ、粘膜面は前述したような異状あるいは正常な状態となる。特別な治療の効果は、この吸収不良の特質により発揮されるが、そのメカニズムの詳細は未だ仮説のままである(粘膜面に吸着した寄生虫により機能が遮断される?ランブル鞭毛虫と小腸細胞が栄養摂取で競合する?粘膜が病変部なのか?)。
  免疫不全(IgAとIgMで顕著)の症例では、ジアルジア症は粘膜の組織学的な変化を伴う重症の吸収不良症候群を招く。特別な治療はそれでも効果がある。

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