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 先天性トキソプラズマ症


  一般的には、妊娠中に母体に病原体が侵入しても、胎児が感染することは少ない。母親の栄養体が子供に移るためには、寄生体が胎盤に感染することが必要である。それによって胎児の血中に拡散し、病巣が形成される。感染の時期により危険度は異なる。妊娠の第1三分期では胎児への感染は希(1985年の調査ではわずか4%)だが、重症となる。第3三分期では頻度は高いが、多くは良性である。第2三分期ではこれらの中間的な特長を示す。妊娠中に治療を行なえば、胎児への感染およびそれに伴う重篤な障害の危険性を減らすことが出来る。それ故、妊娠中の女性が潜在性に感染していないか明らかにするために、集団検診を行なうことが望ましい。パリでは、妊娠中1.5%に血清交代の危険性が認められている。その際胎児の感染危険度は30%程度と考えられ、即ち 1,000人中5人の妊婦が血清抗体陰性である。同様に胎児感染例では、新生児に潜在的に感染していることが多い。仮に女性が妊娠中に治療を受けていれば、胎児感染の危険度は半分ほどに減少するだろう。
  特に妊娠初期の胎児感染では、流産する可能性がある。生きて産まれた場合、本症は潜在性のことも重症のこともある。新生児の重症感染では、多発的な内臓所見、出血症候群、黄疸、肝脾腫、脳症が見られ、急速に悪化する。病気が僅かに進行したりしなかったりという場合は、早期から胎児感染があったもので、水頭症、痙攣、神経障害、高アルブミン性髄液、頭蓋内石灰化および網脈絡膜炎を生ずる。本型は眼球(微小な眼症、眼振、網脈絡膜炎)、神経(筋力低下、一過性不眠)と稀に肝(数週間持続する黄疸)に所見を有す。新生児期に本症が潜在していると、発育不全をきたす。精神運動系の発育遅延はよく見られる臨床症状で、痙攣や Sylvius溝の狭窄を認める水頭症も生じる。出生時に見つからなかった網脈絡膜炎は、その後数年経つまでわからない。先天性トキソプラズマ症は新生児黄疸の2.2%に、2才までに起こる単発性水頭症の6.2%は本症に因る。網脈絡膜炎と頭蓋内容の増大が合併したものは69%が先天性トキソプラズマ症である。
  眼トキソプラズマ症は先天性のことが多い。網膜上に嚢子が寄生する結果、網脈絡膜が剥がれ、萎縮と色素沈着をきたす。病変が単独であると、学童期まで判らないことがあるため、視力障害は一生残る。局所の炎症所見は、網膜の他の部位にも見られることがある。後部ぶどう膜炎や全ぶどう膜炎は稀である。眼病変の拡がりと栄養体の拡散には相関はなく、血清抗体価と関係する。唯一の生物学的所見は、眼房水中の抗体価が単独で上昇することである。抗寄生虫薬を投与しても効果は少ない。網膜の病変部の拡がりを防ぐために、コルチコステロイドが用いられている。

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