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 治療


利用される薬剤 アンチモン配合体:五価のアンチモンを含有した配合体だけが用いられる。フランスで好まれるのは、antimoniate de meglumineまたはGlucantimeで、5ml入りアンプルに85.5mlの五価アンチモン(Sb5+)が含まれる。薬用量は60−70mg/kg(2−2.3mg/10kg)で、深部へ筋注または希に直接ゆっくりと静注する。投与は最低15日間継続する。治療は臨床上または寄生虫学的に改善が見られるまで何日か追加すべきである。アンチモン不耐忍の兆候(発熱、悪寒、百日咳様咳嗽、筋肉痛、紅斑)があれば、死亡する可能性があるため、治療は中断する。アンチモン中毒(発熱、咳嗽、皮膚紅斑、多発性神経炎、ときに重篤な肝、心、腎の障害)は用量過多に関係し、ふつう最終段階の15日以降に出現する。治療禁忌として、肺結核、心、肝、腎不全がある。Anglo-Saxon学派はstibo-gluconate de sodium(Pentostam, Solustibosan)を推奨している。1mlアンプルに100mg の五価アンチモンを含有する。薬用量は同様に1日当たりSb5+で20mg/kgを上限850mg(8.5ml)として投与する。

Diamidine系: pentamidine塩が用いられる。methane-sulfonate de pentamidine(Lomodine)は熱帯地方でよく用いられ、3ml入りアンプルに120mg を含有する。フランスでは最近製造を中止した。薬用量は4mg/kgを週3回、1−25週間結果に応じて筋注する。局所的に好ましからざる効果として、疼痛、硬結、無菌性膿瘍がある。経静脈的に投与する方が耐忍性が高いことが最近示された。全身性の副作用には悪心、嘔吐、腹痛、膵炎、低血圧(注射後はベッドで休息させる)、不整脈、低血糖、真性糖尿病がある。中毒症は晩期で、大抵15日後に現われる。
pentamidine塩にはこの他にisethionate (Pentacarinat)があり、10ml溶液入りの1バイアル中に 300mgが含まれる。薬用量は4mg/kgで投与法はLomidineの場合と同様である。

その他の薬剤:この他に利用されている薬剤は対照群を設定した研究がないのと、本症の自然寛解との関連が不明のため、効果の程は明らかでない。 amphotericine Bの静注、rifampicine, trimethoroprime, nifurtimox, niridazole, monomycineがそれらである。allopurinol(Zyloric)は薬用量20-30mg/kg/day を経口分3で2−8週間投与するのが最も効きそうである。アゾール系抗真菌薬のketoconazole (Nizoral)とitraconazoleは試験官内でも生体内でも有効と思われる。

治療への適応 内臓リーシュマニア症:第一選択薬はGlucantimeかPentostam である。治療により数日で解熱し、治療効果を示し、肝ひ腫は急速に改善する。原虫は数週後には消滅するが、体液性の症候群は回復後数か月間は認められる。治療期間は15日だが、ときには15日間休薬して再開することがある。治療に失敗したり再発した場合は投薬期間を延長したり、使用薬剤を変更する。第二選択薬には、新世界ではamphotericine B、 旧世界ではpentamidine が挙げられる。貧血は輸血と高カロリー高蛋白食で補正する。免疫不全患者(AIDS)では再発は頻繁で、対症治療に留める。アンチモンと組み替え型γインターフェロンの二重投与は現在評価の判定中である。アンチモン塩への耐性は免疫不全の外にインドで報告が出ている。そこで pentamidine塩が良好な代替治療薬とされている。

皮膚リーシュマニア症:治療の適応は臨床型と病原リーシュマニアの種によって様々である。疫学的な資料から推定診断をし、方向付けする。

治療の回避はL.major, L.aethiopicaによって引き起こされる良性の病変の場合(第一に自然寛解の傾向があること、そしてアンチモン配合体が結果的に無効となること)、地勢的な境界でなければ正当となる。

局部治療L.major, L.tropica, L.mexicana, L.peruviana, L.venezuelensis, L.panamensisによって引き起こされた合併症のない単一結節性皮膚病変に適応がある。アンチモン(Pentostam, Glucantime)1-3mlの局所注入を1-2回、48時間あけて投与するのがよく行なわれる。注射により病変底部組織は完全に脱色する。この他、Mepacrine 5%の局所注入法、凍結療法、局所温熱療法、切除術、掻爬術などがある。

全身療法:適応は次の場合である。1)多発性皮膚病変で醜悪(顔面など)なもの、いかなる種でも潰瘍や炎症があるもの、2)軟骨への浸潤やリンパ管炎を伴うもの、3)L.braziliensisで惹起された全ての病変(皮膚粘膜型へ進行する危険)と L.amazonensisで惹起された全ての病変(びまん性皮膚型へ進行する危険)、4)ギニア人の文献によれば、L.guyanensisで惹起された全ての病変(慢性病変となる)。
 アンチモン塩が第一選択であり、Sb5+で薬用量20mg/kgを1日1回筋注または希にゆっくりと静注するのを繰り返す。投与期間は最低15日間(L.major, L.tropica, L.mexicana, L.peruviana, L.venezuelensis, L.panamensis)から4週間(L.braziliensis, L.amazonensis)である。3週間余りで回復するところを、WHOは臨床的寄生虫学的に回復してからも数日間は治療を追加することを奨励している。このような長期化をすると、再発や粘膜への局所化(L.braziliensis)を少なく出来る利点があるが、アンチモン塩の毒性が蓄積し合併症に曝される。局部治療を合わせれば、全身療法を完璧なものに出来る。
 L.guyanensisに因る型ではギニア人の研究者らはmethane-sulfonate de pentamidineをLomidine 3ml入りで2アンプルを筋注で3回、48時間あけ5日間かけて投与(1クール 720mg塩基)し、再発した場合はやり直すのがよいと勧めている。
5価アンチモン塩を30mg/kg/day を10−15日間続けると(99%を越える)有効率が得られる一方、経費は70%削減される。同様の効果はPentacarinatでも得られるであろうが、費用ははるかに上回る。

皮膚粘膜リーシュマニア症:WHOから推奨されているのは、5価アンチモン塩を連日20mg/kg/day で少なくとも4週間投与する方法だが、再発が頻繁である。臨床上回復してから数日間休薬して毒性を抑えたり、amphotericine B, pentamidine, itraconazole, nifurtimoxを用いた治療に変更して、治療を延長するのがよい。寄生虫学的改善を見るまでは、形成外科的な治療は検討出来ない。

                                   びまん性皮膚リーシュマニア症:全身療法が欠かせない。(L.amazonensis, L.pifanoiに因る)新世界型では、アンチモン塩はSb5+で20mg/kg/day を少なくとも4週間投与する。(L.aethiopicaに因る)旧世界型では、 pentamidine4mg/kgを週1回、寄生虫学的な回復を見てからも4ヵ月間継続する。6ヵ月経過しても皮内反応が陽性化しない場合は、再発の可能性がある。  最終的に重感染を起こした場合は、oxacilline系(Bristopen) またはpristinamycine(Pyostacine)といった抗黄色ブドウ球菌薬剤を全身投与する。


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