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治療の適応(表2−4)
T.gambienseに因る西アフリカのトリパノソーマ症のリンパ血中期には、従来からのpentamidine の治療法と、必要ならsuramineの配合が行なわれる。原虫が中枢に侵入したおそれのある場合は、Mel Bの注射を3−4回実施するのが好ましい。ステロイド治療の是非には論争がある。脳髄膜炎期にはMel Bかeflornithineが必要となる。4回の注射を8日程間を空けて3クール行なうのが良いと云われる。Neujanの投薬基準は、治療回数を髄液からの容積により算出するもので、実際には沢山の反論がある。この病期でのステロイド治療は、prednisoneを0.5-1mg/kg/day全身性に投与する。寄生虫学的に治療に失敗又は再燃が確認された場合には、Mel Bを中止してeflornithineに変更する。脱髄性脳炎の末期には、全身状態を調べて終末医療をする。呼吸困難や心不全を改善し、電解質の補正、栄養補給、抗痙攣剤を投与する。投与量を上げたステロイド治療も有効のようである。免疫抑制剤を強く勧める者もいる。
T.rhodesienseに因る東アフリカのトリパノソーマ症では、リンパ血中期にはsuramine(Moranyl), l'aceturate de diminazene(Berenil), Mel B(Arsobal)を注射4回を1クールとして投与する。脳髄膜炎期には、Mel Bとステロイドを合わせて用いる。Mel Bによる治療に失敗した場合には、nitrofuranesが嗜眠状態でG6PD欠損がない者に用いられる。
治癒を確定するには2−3年の観察期間が必要である。異常所見の再現を調べる上で、血液、リンパ液、脳脊髄液中にトリパノソーマがいないことを、寄生虫学的に最も感受性の高い手法で観察し、髄液の異常値が回復するのを確認することが重要である。Mel Bの使用中には《橙色髄液》は異常ではない。血清IgM値の回復は早く凡そ3ヵ月、特異抗体の消失は髄液以外は極めて緩徐である。
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