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その他によく見かける幼虫移行症
 糞線虫の跛行性皮膚炎:熱帯地方では頻度がとても高いが、真性の糞線虫症の幼虫跛行症は、Strongyloides stercoralisの自家感染の経過中のものだけである。例外的に、動物の糞線虫(S.fulleborni(サル糞線虫), S.papillosus)に因るものがある。臨床上、索状病変は肛門周囲、腹部、腰部に初発する。大きな病変で、時には1日数cmの割りで急速に発達する《larvva currens》。診断は容易で、血中に高度の好酸球増多(図1)と糞便中にS.stercoralisの幼虫を検出する(図2)。tiabendazole(Mintezol)が有効である。
   有棘顎口虫の皮膚炎:有棘顎口虫の皮膚症状はよく見られる。遊走性が特長の、間歇的に浮腫を生じる皮下の腫瘤を呈す皮膚炎である(図3)。血中に好酸球増多を認め、内臓の幼虫移行症を合併する(次項を見よ)。
   皮下のディロフィラリア:Dirofilaria rupensに因ることが多い。これはイヌ、ネコ、ジェネットの糸状虫で、熱帯に分布するが、温帯にも同様に生息(フランス中部)する。蚊の吸血によって伝播することが確認されている。アメリカではその他の糸状虫が関与している。アライグマのD.tenuis、ウサギ科のD.scapiceps、イヌのD.innitis(イヌ糸状虫)が挙げられる。凡そ6ヵ月の潜伏期間の後、移動性の浮腫と一過性の掻痒が生じ、その次に腫瘤と非化膿性の膿瘍が出来る。時おり眼瞼や結膜に局在する。病変部から7-12cm大の虫体を取り出すが、これは未熟ながら成虫である。感染した動物と異なり、本症では好酸球増多やミクロフィラリア血症は見られない。予後は良好である。
   水夫皮膚炎:多くは鳥類の住血吸虫のセルカリアが経皮的に侵入したもので、線虫の幼虫に因るものでないと、以前から知られていた。世界中に見られ、フランスではカモの住血吸虫に因る。他にTrichobilharzia ocellataSchistosomathium douthitti, Austrobilharzia sp.といった鳥の住血吸虫がある。ヒトへの感染は、終宿主の鳥が歩いて回ったり、中間宿主の貝に群がったりするところの、水溜まりや湖の辺で、水を浴びることに因る。水に触れて数分後には、班状丘疹が出現し、掻痒の強い蕁麻疹が生じ、数週間持続することがある。抗ヒスタミン薬やステロイドクリームが痒みを和らげるが、抗ヒスタミン薬は優れた効き目はない。集団予防として、媒介する水棲鳥類と貝を撲滅すれば効果があろうが、現実には行なわれない。
   稀な皮膚の幼虫移行症:Capillaria(毛頭虫)やOesophagostomum(サルの寄生虫)、回虫(Lagochilascaris minor)、Trichostrongylus colubriformis(ヒツジとウシの寄生虫)、鈎頭虫網の蠕虫の幼虫または未熟な型が時に跛行性や腫瘤性皮膚炎を起こす危険がある。
 
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