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疫学
  E.granulosus(単包条虫)の幼虫の宿主は、ふつう草食性またはヒトのような雑食性の哺乳類である。今日でもこの寄生虫により難問題が生じている。
 自然界での生活環E.granulosusはイヌ科と草食動物の間で感染を続けている(図1)。成虫(図2)はイヌ(これより稀にはオオカミ、ジャッカル、コヨーテ、ハイエナ、ディンゴ、時にはキツネ)の小腸に棲み、特に症状もなく沢山の虫を宿す。大きさは凡そ3.5mm、頭節には4つの吸盤と二重の冠状の小鈎を有す(図3)。体節は3-4つしかない。受胎体節には幼虫被殻が充満した子宮がある。各々の幼虫被殻には六鈎幼虫またはオンコスフェーレ(oncosphere)が内包されている。T.echinocoques属には生殖門がなく、受胎体節が最終宿主のイヌの小腸内に切り離されて、六鈎幼虫は放出される。イヌの糞と一緒に外界に排出された後、幼虫被殻は18ヵ月から2年間、気温が+25℃から-25℃で16日から1ヵ月間、生き続けることが出来る。ヒツジやその他の草食動物が汚染された草を食べることで感染する。消化管内で孵化した虫卵は六鈎幼虫を放出し、これが肝または稀には他の臓器に至る。イヌはヒツジの内蔵にある単包虫を食べて感染する(図4)。

図1 図2 図3

図4

  E.granulosusの亜種には、中間宿主及び終宿主との関連や、地理的分布、幼虫の好発寄生臓器についての差異が知られている。例えばE.granulosus equinusはウマの肝でしか幼虫は発育しない。
 ヒトでの生活史:ヒトは2つの様式で幼虫被殻を摂取する。感染している犬に直接に接触することと、水や食物(果物や生野菜)、感染したイヌの排泄物を介して間接的に暴露することである。体内に入った虫卵は胃で孵化し、六鈎幼虫を放出する。これは小腸壁を通り抜けて、静脈内に侵入し、門脈系へ至る。これらの50-60%は肝に留まり(図5・肝の巨大病変)、30-40%は肺へ、残りの5-10%の症例では他の臓器(心、脳、脾、腎、骨、筋、リンパ腺)に病変を生じる(図6・脳の病変)。六鈎幼虫はゆっくりと包虫嚢(hydatid cyst, kyste hydatique) に変態する。

図5 図6

   包虫嚢の構造:中空の球形で、2枚の膜によって覆われ、包虫液で満たされた水泡をなし、宿主細胞の反応による繊維で取り囲まれている(図7)。包虫周囲の繊維性反応は、二次性の結合織であり、石灰化することは殆どない。寄生虫側の本来の膜は全部で2枚である。胞虫嚢壁の胚層はより内側にあり、貯蔵物質を多く含んだ、大きな核をもつ胚芽細胞からなるきめの細かい膜である。これは外生娘胞虫嚢、という外層から分れており、これら2層が包虫を包含している(図8)。包虫液は清明で、岩清水のような液体である。寄生虫の排泄物と分泌物からなるが、宿主の体液物質も含まれる。胞嚢虫壁は胚層から分離し始め、多数の頭節をもった繁殖胞を形成する。頭節には(吸盤と鈎という)付着器官がある。包虫砂には、胞嚢虫壁から離れた、これら全ての要素が含まれている。

図7 図8

  娘胞虫嚢では2種類ある。内生のものは頭節のある繁殖胞が成長したもので、包虫嚢の内側にあって、外に開口していない。ごく希に外生があるが、これは胞虫嚢壁が外側にかん頓して生じるものである。これは胞虫嚢に変化が無ければ、外側に向かって同じように成長する。
 胞虫嚢の成長:容積の増加では、感染した者の年令(成人よりも小児の方が成長が急速)と臓器(脳と肺では他の臓器よりも成長が早い)に依存する。胞虫嚢は瘻を作ったり、感染したり、管腔臓器で破裂することは殆どない。成熟してくると、遊離した胞虫嚢が二次性包虫症を起こす危険がある。時おり偶発的に石灰化するが、幼虫が退行しても後まで生き残ることは稀である。
 地理的分布:包虫症は広く分布するが、特にイヌによって守られた大きなヒツジの群れがいるところで、しばしば上昇を見る。南米(アルゼンチン、ウルグアイ)、北及び東アフリカがそうで、オ−ストラリア、キプロス、サルジニア島とイベリア半島では減少している。このような包虫症の流行域では多くが、イヌとよく接触する小児と、職業上暴露される者(羊飼い、精肉業者)に感染が見られる。
 


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