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疫学   有鈎条虫(Taenia solium) は2-8cm大の扁平な虫である(図1)。頭節には4つの吸盤がある他、鈎がある(図2・《甲冑》条虫と云われる)。成熟した体節の子宮の分岐は数が少ない(図3)。

図1 図2 図3

 生活環(図4)は2つの点を除き、T.saginataのそれに近い。成熟した体節は虫体から分離し、流れにのって糞便と共に排泄される(図5・虫卵はT.saganataのと肉眼で鑑別不能)。中間宿主はブタであり、その有鈎嚢虫症(cysticercose)は獣医学では《嚢虫症》として知られている。ヒトは生或いは調理不十分の豚肉(豚肉製品)を食べて感染する。

図5

T.soliumに因る条虫症はT.saginataに因るそれよりも頻度が低い。世界中の豚肉の消費が広まっている国々で見られる。先進国では養豚が厳重に管理され、本症は極々僅かであるが、他方で熱帯諸国の非回教圏には、伝統的に豚肉を食する習慣があり、特にラテンアメリカ、メキシコ(罹患率は特に高い)、アフリカ南部と東部、マダガスカルとレユニオン諸島、中国、インド、タイでは頻繁である。


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