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 疫学
  無鈎条虫(Taenia saginata) の親成虫は厳密にヒトの小腸にだけ寄生する。この虫は単独寄生で扁平な形をし、長さは4-10m になる。頭節またはscolexは1つの額さと4つの吸盤がきちんと配列し、小腸の粘膜に固着する。これは小鈎を有していない(図1)。頚節は偏狭で数ミリもない。
 虫体は扁平で、1,000-2,000 の体節に分かれており、頚節から遠ざかるにつれ成熟する。末端の体節は縦長で、蒼白色である(図2)。これらに消化管はなく、生殖器は雌雄同体で、幼若期には雄、成熟期(虫体の末端)では雌である。虫体の最末端では大きさが凡そ1-2cmになる。子宮は非常に分岐しており、沢山の虫卵を内包している。生活環は簡潔で、成熟した体節が虫体から1つずつ分離し、直腸括約筋へ積極的に向かって行き、排便時に体外へ出る。外界で体節が溶解し、虫卵(図3)または幼虫被殻(embryophore,未完成の虫卵)が放出される。後者の中には6本の鈎を有す六鈎幼虫がいる。この幼虫被殻はウシ科(ウシ、水牛、コブウシ)動物に飲み込まれ、殻が破れて六角形の幼虫が放出されて、牛の筋肉内に到達し、脂肪結合織内で無鈎嚢虫に変態する(図4)。これは単一の頭節が陥入した小嚢である。ヒトは生か調理不十分の牛肉を食べて感染する。摂取された無鈎嚢虫は2-3ヵ月して成熟した成虫になり、受胎体節を排出するようになる(図5・生活環)。

図1 図2 図3

図4 図5

T.saginataに因る条虫症は世界各地で見られ、牛肉を消費する全ての国民に容易に認めることが出来る。アジア・アフリカの熱帯地方では、獣医学的或いは精肉の管理が不足または欠如しているため、頻度が高い。雌牛を神聖なものと崇めるインドでは、この条虫症は見られない。


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