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疫学
  吸虫の成虫は扁平で木の葉状の虫体をもち、殆ど透明で、大きさは1cmを超えない。全ての吸虫に当てはまるように、(前方と腹側に)2つの吸盤があり、1つの口に1つの消化管と食道、それに特徴的な2つの盲端の回腸がある。生殖器は1対の雌雄同体である。これらはヒトや多くの動物の胆道系に生息する。(中国の)肝吸虫であるClonorchis sinensis (=Opisthorchis sinensis、図1)はヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ネズミに見つかる。ネコ科に寄生するネコ肝吸虫Opisthorchis felineusは多数の哺乳動物、特にネコ、イヌ、カワウソに認める。この他ヒトに寄生する吸虫は、ジャコウネコのそれであるタイ肝吸虫Opisthorchis viverrini以外に殆ど稀である。
  これらの寄生虫の生活環(図2)には2つの中間宿主が介在する。淡水産の貝と魚である。虫卵(図3)は小蓋があり、成虫から産卵されて、宿主の胆道から消化管を通って、淡水中に放出される。孵化した幼虫は繊毛を有し、ミラシジウムという。これは第1中間宿主の貝であるBithynia属に感染する。C.sinensisは積極的に、C.felineusは経口摂取されて侵入する。貝の中でミラシジウムは変態してスポロシストとなり、この内部にレジアを生じて、それが脱出する。各々のレジアは多数のセルカリアを内包している。貝に入った1個のミラシジウムが後に数千のセルカリアを放出するこの過程を、多幼虫化(polyembryonnie)という。この幼虫は第2中間宿主であるCyprinid(コイ)科の魚を探しながら泳ぎ回る。中国肝吸虫には俗称《赤魚》と呼ばれもの、ネコ肝吸虫ではコイ、テンチ、ローチがそれである。これらが自分の魚を見付けたときに、その鱗または筋肉内でメタセルカリア型に被嚢幼虫化する。終宿主である動物やヒトには、寄生虫をもつ魚を経口摂取することで取り込まれる。消化管でメタセルカリアの被膜が溶解されて、幼ジストマが放出され、胆道を逆行して、直接最終寄生部位である肝内胆管に到達する。感染後1ヵ月足らずで吸虫は成虫になり、産卵を開始する。
  ヒトに感染するのは、淡水魚を刺身か調理不十分のまま、或いはメタセルカリアを破壊するには不十分な酸性度の自家製の酢でしめた淡水魚を摂取した時である。極東ではこのような調理法で時おり住民の殆ど全てが極端に高度の寄生虫感染を示すことがある。ある者は自分の肝に2万5千もの吸虫を宿していたことがある。
  中国肝吸虫は極東以外には見られない。特に日本、韓国、中国、台湾、インドネシアの魚が唯一の蛋白源である地域がそうである。ネコ肝吸虫はより広い地域に分布しており、(インドも含めた)アジアばかりでなく、ロシアや欧州中部にも認められる。タイ肝吸虫はラオスとタイに見られる。
 
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