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尿路系病変


膀胱症状:この部位へは頻度がより高く、症状はより多彩だが、重篤度は反って低い。
 臨床上、排尿困難、日中と夜間の頻尿が初期にあり、恥骨上部の疼痛は排尿時に増悪する。時には排尿が二度に分かれて、《灼熱尿》の印象を与える。血尿は殆ど必発だが、出たり出なかったりする。普通は排尿の終わりに見られるが、多量だったり、逆に僅少だったりする。顕微鏡的血尿や偽性蛋白尿が偶然に確認されると、しばしば本態が明らかになる。
  単純X線検査では膀胱に疾患特異的な石灰化像が認められる。これは膀胱周囲で多少なりとも顕著で、陶磁器様に描出される(図10-7)。経静脈的膀胱造影では偽性腫瘍様に写し出され、排尿障害が認められることがある。
  膀胱の超音波画像では壁と粘膜の肥厚と不整像が良性(住血吸虫性)または悪性増殖像として描出される。この技法は非侵襲的で、浸淫地域では膀胱鏡や経静脈的尿路造影に取って替わるであろう。
  膀胱鏡では住血吸虫症に特異的な病変が3段階にわたって明らかとなる。第1期は《グラニュー糖様》の屈折性のある微細肉芽が充血したうん状物の周囲に生じる。この肉芽は一つひとつが中心に住血吸虫の虫卵を有している。第2期は《座瘡様》と称され、大小の潰瘍性結節が鬱血した粘膜から遊離している。これは幾つかの虫卵からなる巨大な住血吸虫性肉芽が本態である。第3期は《キイチゴ状》(または泌尿器科学的にはビルハルツィオーマ)と称される。これは1cm大の丸味のある、無茎状或いは有茎状の赤味を帯びた形状で、容易に出血し、大抵は膀胱底部と三角部を占める。
  特異的病変は常にこの疾病患者に見られるが、長期間にわたって産卵が継続すれば、非特異的病変も付随する。出血性や潰瘍性膀胱炎は偽膜状或いは水疱状の瘢痕性病変で、硬化部では透明から蒼白ないしは白砂色、石灰化部は青灰色を呈す。黒色の沈着物はヘモジデリンである。尿管開口部の変形は点の形ほど僅かで、これが広がることも、この点から大型化することもない。
  合併症は生じ得る。細菌性の重感染は化膿性膀胱炎、膀胱周囲炎の原因となり、しばしば上行性に広がる。膀胱結石は希でない。後遺症はかなり頻繁である。慢性膀胱炎は有痛性で難治性で、頚部の不整な拡張をみる。偽結核性の膀胱萎縮は希である。住血吸虫性の膀胱は石灰化が同程度起こるが、長期間にわたって機能するからである。住血吸虫性膀胱の癌化については論争中である。エジプトでは頻度が高いが、黒アフリカではそれ程でない。粘膜への慢性刺激に因るとか、アルカリ尿中に発癌性物質があるという。

 尿管病変:一般に潜在性だが、例外的に腰痛や腎性の仙痛を起こす。それでも予後に関係する。放射線学的には尿管の石灰化は殆どないが、経静脈性尿管造影では半数近くの症例に両側性に無症候性病変を認める。単発性または多発性の尿管狭窄(数珠症尿管)は下部1/3に多く見られ、普通長さ数cmである。尿管拡張は時折尿管の《無力症》のみを齎らすが、二次性の水腎尿管症はより多くは尿管下部または壁内の狭窄に因る(図10-8と10-9)。膀胱尿管の逆流は時折尿道造影で見られるが、逆行性膀胱造影の方がより客観的である。超音波画像は水腎尿管症と腎実質の菲薄化を描出するが、尿道系の機能評価は出来ない。尿管に病変があると、尿管周囲または結石表面に重感染を生じ、腎に閉塞を起こる。後に発見された時には、既に硬化病変として固定してしまっているものは、多くの場合、医学的治療に反応しない。

腎病変:尿管閉塞や上行性感染からの間質性腎炎に因り、水腎症が頻繁に起こる。糸球体性腎炎を見ることは希だが、免疫複合体が糸球体膜外に沈着しているようなネフローゼ症候群を呈す。 S.haematobiumに因る住血吸虫症の経過に合わせて、この様な病変は常に腎不全に繋がる。

尿道病変:虫卵が大量に排出されると、尿道漏出を起こし、尿道狭窄または尿道会陰ろうを引き起こす。尿道鏡で診断出来る。


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