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寄生生活史(図10−1)
水中と貝の間:ミラシジウムは貝に侵入した後、スポロシストとなる(ミラシジウムは水中で48時間を越えて生きられない)。次いで肝膵系で効率よく発育して、セルカリア(furcocercaires)という体長50μm、先端が二股の尾をもった幼虫となる。そして貝を離れて水中に出て、最終宿主に侵入する。貝に関与する生活期間は1ヵ月である。
貝に寄生すると膨大な増殖が行なわれ(幼虫増殖現象)、たったい1匹のミラシジウムから数千ものセルカリアが日中の暑い時間帯、熱帯地方では一般に10−16時に貝から現われる。これらは水中で最大24時間生きられる。
ヒトの臓器中:ヒトへの感染は、貝のいる淡水中で水浴すると起こる(図10−2)。セルカリアは前方の吸盤に突起部を有し、表皮をうまく吸着する。機械的作用と化学的作用(溶解酵素の分泌)により表皮を突き抜ける。この貫通は凡そ10分で完了する。幼若なシストソミュールとなり、表皮細胞を溶解しながらMalpighi層(有棘層)を横断し、皮膚結合織に至り、リンパ管或いは静脈に侵入する。
皮膚から肺に至る経路は他動的で、リンパ流または血流にのって、肺への到達は効率よく貫通後4日である。それからシストソミュールは循環系で門脈に流れ着くが、一部は組織内を通って肝に到達するものもある。この移行期は合計10−21日である。
肝内門脈に達したシストソミュールだけがその後(約3週間以内に)性分化して、発育することが出来る。一方、他の臓器に行ったものは未成熟のままである。
肝内門脈で住血吸虫の1対は、産卵の際に血流に逆らって動く。実際には門脈の縁辺から下腸間膜静脈を通って、上直腸静脈及び直腸静脈叢に逆行する。S.mansoni, S.intercalatum, S.japonicumとS.mekongi が普通この静脈叢に留まる(残りは門脈系に残留する)。 S.haematobiumは直腸静脈叢と膀胱静脈叢、及び ISantorini叢に入って行き、主に(停滞経路の一部をなす)膀胱静脈叢で止まる。これらの静脈叢まで辿り着くと、雌は雄と別れて膀胱や腸管壁の細小の分岐静脈に入り込み、その粘膜下に産卵する。
人体内での住血吸虫の寿命は2-18年と推定されている(ある者は20年を越えるという)。
産み出された虫卵は3方向に行く。うまく流れたものは粘膜を通過して管くう臓器(脈管や腸管)内へ落ちて、排泄物と一緒に体外に出て、後に孵化する。ミラシジウムは貝の中間宿主に感染出来る。組織に遮断された虫卵は凡そ25日間ほど生き続け、住血吸虫性肉芽を形成する。そしてその他の虫卵は脈管の流れに乗って肝や肺、その他の臓器内の静脈に塞栓を作り、同様に肉芽を形成する。
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