ザンビア

ODAと活躍するAMDAファミリー<ザンビア>

アフリカ地域プログラムディレクター
横森 佳世(AMDAケニア事務所)
AMDA Journal 2001年8月号より掲載

 AMDAが現在、関連スタッフを最も多く送り込んでいる地域の1つに、南部アフリカの「ザンビア」があげられます。 96年、ザンビアにおけるJICA のプロジェクト技術協力に、AMDAは初めてNGOとして、開発調査の段階から参加しました。 その内容は、ルサカ市ジョージコンパウンド(いわゆるスラム)において、97年から5年の計画でPHC(プライマリーヘルス ケアー) の向上を目指すものです。このPHCプロジェクトには、AMDAから専門家を派遣しています。

 また、AMDAが従来から意図する「PHCと貧困の包括的な改善」を目指して、JICAの医療協力部所管では実施する ことが困難な「貧困対策プ ロジェクト」を実施するために、97年に「AMDAザンビアプロジェクト事務所」をルサカ 市に開設しました。JICAのNGO連携強化費などを使いながら、「社会開発」分野の協力を進めています。

 さて、このザンビアですが、皆さんは世界3大瀑布の1つである「ビクトリアの滝」について聞かれたことがあ るかと思います。ジンバブエとの国境に近いリビ ングストンという町を拠点とするこの滝は、いくつもの大きな 滝が連なり、 虹を織りなし、涼しげに水飛沫をあたりに撒き散らし、訪れる人を魅了してやみません(筆者の97 年の虚ろな訪問記憶による)。日本ではあまり知られていませんが、野生動物のサファリを楽しめる国立公園もた くさんあります。アフリカ大陸に位置するものの、1,200〜1,300メートルもの標高があるため1年中涼しく、まだ 5月中旬だというのに少し肌寒く感じました(南半球のため最も寒いのは7月)。人口は1,000万人ほどで、ニャン ジャ、ベ ンバ、トンガ、ロジなどの部族が、英語を公用語として暮らしています。「シマ(いわゆるウガリ)を食 べないということは、食事をしないということだ」と言われるほど、人々は主にジンバブエ近くで収穫されるメイズ の粉を湯でこねて蒸した無味な食べ物を、手で団子状にしながら、野菜などのおかずと一緒に食べます。

 一見平和に見えるザンビアですが、1964年にイギリスの統治から独立して以来、問題は絶えません。最近は治安が 良くなっているものの、70〜80 %にも及ぶ失業率、80〜90%にも上るインフレのため、貧困と社会不安は尽きません。 南ア投資の大型スーパーが進出して首都のルサカは少し活気付いたものの、自国を支えていけるだけの主要な産業が ないのです。加えて1年のうち8ヶ月は雨が降らず、農業に依存することができません。政府は努力をしているもの の、エイズの罹患率は20%に及び、下痢、マラリア、結核などの感染症も絶えません。そして医者を輩出する大学は 1校、年に50人のみで、クリニカルオフィサーや看護婦しかいない場所もたくさんあります。現在は2期目のベンバ族 のチルバ大統領が統治していますが、3選が禁じられているため、11月に予定されている選挙が注目を集めています。

ABCプロジェクト(縫製教室)

 このような状況の中で、AMDAはODA(JICA)と協力しながら、首都にあるジョージコンパウンドを中心とするスラムに て、活動を展開しています。

<AMDAプロジェクト>

 現在のAMDAザンビアプロジェクト事務所の駐在代表は、マンボ氏(Dr.Vikandy Silusawa Mambo)。94年のルワンダ 危機よりAMDAにかかわるDRコンゴ人(コンゴ民主共和国[旧ザイール])で、日本在住9年の経験を持ちます。日本では 大学院で、火山の研究をしていました。人とのコネクション作り、書類作成などが得意で、日本語もペラペラです。3 人のお子さんも幼稚園から日本に住み在住7年、マンボ家で話をしているとそこは一体どこなのか、不思議な感覚に陥 ります。マンボ氏は99年8月よりAMDAウガンダよりザンビアへ赴任、現在に至ります。

 2001年5月からは海外青年協力隊との提携プログラムの一環として、村落開発隊員の岸明子氏(24)がAMDAザンビア 事務所に配属となり、地域農園プロジェクトを中心に積極的に業務に取り組み始め、ザンビアはますます明るく、活気 付いてきています。

1)ABCプロジェクト(MOPT、ルサカ市ジョージコンパウンド)

a)識字教室
 98年12月よりCHW(コミュニティキヘルスワーカー)を中心に指導を開始しました。現行のクラスは2000年5月末 から2002年4月までの2年間のコースで、1年目のベーシックコース(ニャンジャ語)が終了し、アドバンスコース (英語、数学、地理)を受講しています。週3回、1回2時間、受講料は無料で、約30名の生徒がいます。ほとんどが ジョージクリニック関連のCBO(Community BasedOrganization)メンバーで、30歳〜50歳の年齢層です。

 生徒たちは字を覚えてから、自分のサインを書けるようになって、物の売買などで相手を疑わなくて良くなりました。 何より、家で子どもに勉強を教えられたり、子どもから質問されても答えられるようになったので、恥ずかしくて泣く ことがなくなり自信がついたことが、極めて大きな変化であったようです。

b)縫製教室
 現在の生徒は2000年10月より6ヶ月間のビギナークラスを受講し、2001年5月から6ヶ月間開催されるアドバンスクラ スに所属しています。 それ以前には2回のビギナークラスを開催していました。月曜日〜金曜日まで午前中4時間、受 講料は月10,000クワチャ(約$3) で、約30名の生徒がいます。全員がジョージの住民で、ほとんどが女性で18歳〜46歳 です。

 受講生へのインタビューによると、先にこのクラスを受けた友人から紹介されて、自らも受講することになった人が多 いようです。現在は子ども服、短パン、下着、ワンピースなどが作れるようになりました。

 なお、生活状態をアンケートしたところ、下記のような結果でした。

 【水】1日100〜200リットル購入し、1月約3,000クワチャ(約$10)かかる。水運びは重要な仕事で、自らが行ってい るケースが多い。水ポンプが設置されている場所に、いい場所とそうでない場所がある。

 【ゴミ】収集所へ自らが捨てに行っており、Lusaka City Councilが収集することになっているがきちんと実施されてお らず、JICAが集めているようだ。それによって、衛生状況は少しずつ改善されている。

 【感染症】コレラには感染したことはないが、全員がマラリアになった経験を持っている。現在は蚊帳やスプレーなどに よる予防法は知 っている。

 【エイズ】なぜ罹患するかァその予防方法等、一応の知識は得ている。

 【趣味】料理、髪結い、遊ぶこと等。


c)保健教育
 ジョージクリニックにて、縫製教室の生徒を対象に、JICA/PHCの妹尾看護婦が担当しています。衛生観念の改善、安全な 水利用、トイレ後と食前の手洗い奨励、病気(コレラ、下痢、マラリア、エイズなど)の予防法などが伝えられています。

2)地域農園プロジェクト(庭野平和財団・JOCV、ジョージコンパウンド)

 ジョージクリニックの栄養失調児の栄養改善と女性の自立のために、CBOが農園を開墾し、とうもろこし、大豆、メイズ、 ナッツ、サツマイモなどを栽培しています。

 現在は、4月に収穫した大豆を事務所内の敷地で脱穀しており、その作業にはCBOが積極的に参加しています。農園はフェ ンスがないと、作物の盗難などの恐れがあるので、大々的に栽培ができません。灌漑施設も不十分です。ジョージクリニッ クの栄養失調児に充分な給食をあげたり、商品として販売するまでの道は遠いようですが、2.5ヘクタールに及ぶ農園を有効 に活用するために、今後の努力が期待されます。

3)マイクロクレジットプロジェクト(日本工営、グローバルリンクマネジメント、ルサカ市バウレニコンパウンド)

 1999年12月〜2002年2月まで実施されるプロジェクト。32週の返済期間で、115,000クワチャ?500,000クワチャ(約$35〜 $150)を10%の利息で、5名×10グループに貸与しました。現在は第3フェーズ。18歳〜50歳までの女性が対象です。

 今回、9名の元受益者と対話する機会を得ましたが、参加者は返済を完了した人に限られていました。下記に数例を紹介します。

 【20歳女性】夫(空軍勤務)と2人の子どもの4人家族。元々は炭を売って 生計を立てていたが、117,000クワチャ(約$ 36)の融資を受け、中古の靴売りに転身した。炭は雨が降ると解けてしまったりして利益を得ることが困難だったが、靴売り になって生活状況が改善した。現在は1月に60,000クワチャ〜70,000クワチャ(約$18〜$23)の収入が見込める。

 【45歳女性】両親、夫、6人の子ども(うち4人は親戚の孤児)の10人家族。メイズ売りから中古の布とソーセージ売りへと 転身し、現在は1週に60,000クワチャ(約$18)の収入を得られるようになった。

 【35歳女性】5人の子ども(うち3人は親戚の孤児)と6人家族。夫は死亡。布売りを5年間続けているが、マイクロクレジ ットを得て、収入は2倍に拡大した。

 【50歳女性】4人の子どもと5人家族。夫は死亡。マイクロクレジットを得て、炭売りを始めることができた。


 対話の結果、未亡人や孤児を養育しているケースが目立ちました。病名、死因は明らかでありませんが、感染症、エイズなどが 考えらます。

4)トレーニングセンタープロジェクト(GAGRP、ジョージコンパウンド)

 建築に関してはルサカシティーカウンシルの土地の許可を待っている状態ですが、5月末頃には取得できる様子。建物ができれ ば、ABCのトレーニング部門を開催したり、ワークショップ、また新たに料理教室なども開催していく予定です。


 なお、ミコノの会からの寄贈による日本からの古着をルサカ周辺のアンゴラ・DRコンゴ・ルワンダ難民へUNHCR(国連難民高等弁 務官事務所)・NGO・CBOなどを通じて配布するプロジェクトを98年11月より99年5月まで実施しましたが、今年度もミコノの会の協 力を得られれば、同様のプロジェクトを実施する予定です。



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