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ウガンダプロジェクト報告
アフリカ地域プログラムオフィサー 横森 健治
AMDA Journal 2001年 6月号より掲載
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ウガンダで実施されているプロジェクトは大きく2つに分けることができます。
1つは、AMDAプロジェクト事務所があった当時から続くマイクロクレジットとエイズケアであり、
もう1つは、本年2月に誕生したAMDAウガンダ支部が、
その前身のNWASEA (National Women's Association for Social and Education Advancement) の頃から続けている識字教育、
有機農業指導、プライマリーヘルスケアです。
1) マイクロクレジット
1999年にAMDAプロジェクト事務所を閉鎖する際、当時、連携していたVAD(Voluntary Action for Development)
およびACBHPU(Association of Community based Health Professional of Uganda)という2つのNGOに、
裁縫訓練とマイクロクレジットを委託しました。
どちらも返済金の回収率は40%以下と悪く、私たちが訪ねた時は、今後の方向性を模索している段階でした。
今回、これらの業務をAMDAウガンダ支部が引き継ぐことになり、上記のNGOと引き続き連携することが決まりました。
「グループ圧力が効かない」「リーダーがリーダーシップをとらない」「返済せずに出身地へ帰ってしまう」など、
問題山積のマイクロクレジットでしたが、ウガンダ人同士で地元の知恵を出し合って難問に挑戦してほしいところです。
2) エイズケア
AMDAウガンダ事務所はNyumba Ya Watoto (子どもの家)というエイズケアのための施設を建設し、
MASA(Mukono Aids Support Association)に管理を委託しました。
Nyumba Ya Watotoでは、HIVテスト、コンドームの普及、性生活改善普及、健康相談を続けています。
1回のHIVテストに約210円を徴収しており、本年1月から3月までの記録によると、99人がテストを受け、
そのうち42人が陽性だったそうです。
現在、ウガンダ政府からの補助を受けているものの、患者の輸送費の捻出に苦心しており、
AMDAウガンダ支部の支援を受けたいとの申し出がありました。
3) 識字教育
AMDAウガンダ支部は、イガンガ県において識字教育や有機農業指導を続けています。
今回私たちに、ブラマギ地区における識字教育プロジェクトと有機農業指導プロジェクトを見せてくれました。
この地区では、BFWA(Bulamagi Farm Women's Association)というCBOが以前から活動していましたが、
技術面、資金面での支援をウガンダ支部の前身であるNWASEAに求めたことがきっかけとなりプロジェクトが始まりました。
ウガンダ支部(識字教育プロジェクト)
ブラマギ地区の村々から、男性34名、女性55名がルガンダ語とルソンダ語を学んでいます。
私たちがサイトを訪れると、太鼓の音と共に「チャンガー、チャンガー」とリズムに乗って踊りながら、
盛大な歌で迎えてくれました。そして、識字教室で覚えた文字で、黒板に各々の名前や私たちの名前
を書いて見せてくれました。「Ms. Anneが来てから、私たちはとっても若返った」と訓練生たちは笑顔で語っていました。
4) 有機農業指導
識字教室と同じ場所でウイリアムさんが農園を作っています。そこには、彼の有機農業を学ぶために近所の人々が集まります。
彼は、広大な農園に、薬用植物、野菜、コーヒー、とうもろこし、パーム椰子などを植え、牛の糞を使った堆肥や、
独自に開発したインドせんだんを使った防虫剤により、環境にやさしい農業を営んでいます。
家畜も多く、やぎ・牛・うさぎ・にわとりを飼い、自給性の高い生活となっています。
ウイリアムさんに、これらの知識をどこから学んだのかと訊いたところ、父親から基礎を教わったが、
外国のNGOやラジオ放送から有機農法を学び、自ら改良しながら大きな農園を作り上げたとのことでした。
特に印象に残ったのは、牛の排泄物を糞と尿に分けるためにコンクリートの穴をつくり、そこに溜まった糞を堆肥に使い、
尿を防虫剤の原料にしていることでした。
ウイリアムさんは、コーヒーや有用樹木の苗木作りも行います。
その作業と収益を見せながら農業指導をするため、学ぶ側は、作業意欲が沸くようです。
彼の奥さんは、識字教育のリーダー格になっており、この家族がこの地区のまとめ役であるように見受けられました。
5) プライマリーへルスケア
この活動は、今回は視察できませんでしたが、まずボランティアヘルスワーカーにマラリアやエイズなどに対する感染症予防法、
基礎的な疾病処置法などを指導し、その知識を得たワーカーが、今度は住民に指導するという、いわゆる「2段階指導法」によって、
プライマリーへルスケアーの普及に努めているとのことでした。
現在、イガンガの町にトレーニングセンターを建築するため、資金集めをしているのですが、
このセンターでは、プライマリーヘルスケアのみならずさまざまな訓練を実施する計画のようです。
私たちは、日本大使館の草の根無償資金への申請方法を紹介し、申請のコツを助言しました。
新生AMDAウガンダは誕生したばかりですが、非常によくまとまり、活力溢れる支部です。
これからもご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
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