防災訓練

2004年静岡県総合防災訓練参加報告
<広域医療搬送実働訓練

緊急救援事業部職員 柳田 展秀
AMDA Journal 2005年 01月号より掲載

域内ヘリ搬送時には、医師看護師も同乗し、患者の継続治療にあたる。
AMDAからは則岡医師(左)、鵜野看護師(右)の二名が参加した。


緊急救援事業部職員 柳田 展秀 【日 時】2004年9月1日(水)
【場 所】航空自衛隊浜松基地(広域搬送拠点)
【参加者】※敬称略
 岡田眞人 (静岡県・聖隷三方原病院院長補佐・医師)  則岡美保子(大阪府・そうべつ温泉病院・医師)
 若山由紀子(静岡県・聖隷沼津病院・医師)
 古村由香(神奈川県・舞浜倶楽部・看護師)
 鵜野明美、塚本智子(京都府・武田総合病院・看護師)
 川上侑希、影山小凡里、加藤隆
        (岡山県・吉備国際大学生・調整員補佐)
 柳田展秀、諏原日出夫、佐伯美苗(AMDA本部職員)
【訓練参加機関】※順不同  
 内閣府、厚生労働省、文部科学省、防衛庁(陸海空自衛 隊)、消防庁、静岡県、独立行政法人国立病院災害医療 センター、AMDAなど
【活動背景と目的】

日本国内で想定される大規模災害に対して、被災地ニーズの多様化や想定される災害の種類、また高齢化な ど各自治体の抱えるであろう問題は一律の訓練では対応しきれなくなっているのが現状である。阪神淡路大 震災以降、それぞれの地域性に適応した、またニーズに即した災害対策を検討している自治体も数多くみら れ、特に東海・東南海・南海地震など津波を伴う地震被害が懸念される太平洋側の地域では、広域医療搬送 システムの整備を進めている自治体もある。なかでも静岡県では、東海地震対策の一つとして近隣都道府県 と連携した広域搬送システムを導入した訓練を実施している。AMDAでは阪神淡路大震災以来、地震を中心と する大規模災害対策の一環として、東京都、静岡県などの実施する防災訓練に参加している。
 本年度の訓練では、昨年度から取り組んでいる広域医療搬送システムにおける民間団体の参画と各参加機 関との連携などを目的として参加した。特に、これまで取り組んできた航空機を用いた患者搬送時の救急対 応や災害医療技術の向上、地域防災民間緊急医療ネットワークの強化が主眼となった。

【訓練概要】
1. 広域医療搬送実働訓練(訓練全体)

広域医療搬送実働訓練(広域搬送)は、静岡県において「東海地震発生を想定した政府総合防災訓練」の主 要な訓練項目と位置づけられ、実施する総合防災訓練と連動させた形で一連の広域搬送過程について実際に シュミレーションを行うものである。
 広域搬送とは、自然災害や人的災害時など大規模災害が発生した場合、被災地域内(以後域内)の医療機 関では高度救命治療、また専門的治療が困難と判断される重症患者に対し、域内の災害拠点病院から被災地 域外(以後域外)の専門的治療を施すことができ、かつ患者の生命維持が可能な専門病院に搬送するシステ ムである。さらにこのシステムでは、域外搬送の必要性のあるすべての重症患者は一旦広域搬送拠点(浜松 基地)に集結され、この拠点を中心に域外各地(訓練では入間基地・福岡空港)の専門病院に搬送される。
 また、本訓練では、大きく1)自衛隊による域外患者搬送訓練、2)地方自治体による域内搬送訓練の2種 類に分類することができ、広域搬送拠点から域外拠点への搬送を自衛隊が、域内の災害拠点病院から広域搬 送拠点までの搬送を静岡県が、それぞれ担当するものである。
 このうちAMDAでは、静岡県との連携により2)域内搬送訓練に参加した。
 全体の訓練項目は以下の通りである。
(イ)医師等の広域搬送拠点1への参集
   (静岡県要請の医師、AMDA等)
(ロ)ステージング・ケア・ユニット2(以後SCU)の設置
(ハ)災害拠点病院から広域搬送拠点までの模擬患者搬送並びに医療救護(参加医療機関の派遣医師、AMDA等が機内での医療救護を実施)
(ニ)SCUにおける治療
   (被災地域外からの派遣医師並びにAMDA医師)
(ホ)自衛隊航空機3による医師等
   (上記(イ))の搬送(参集拠点から広域搬送拠点)
(ヘ)SCUから広域搬送航空機までの患者搬送
(ト)自衛隊航空機による患者搬送
(チ)搬送航空機内での医療行為(派遣医師)
(リ)被災地域外拠点における航空機から救急車への患者乗換え(地元消防救急隊員等)
(ヌ)被災地域外拠点から受入病院までの患者搬送
   (地元消防の救急車)

2. AMDAチーム訓練概要

今回の訓練では、模擬患者のヘリ搬送に同乗するヘリ同乗医療チーム(則岡・鵜野)、SCUでの医療救護を 担当するSCU医療チーム(若山・塚本)、さらにSCU/県外搬送用航空機間の患者搬送を行う地上搬送チーム (古村、佐伯、川上、影山、加藤)の3チームを編成し、上記(イ)(ハ)(ニ)(ヘ)の訓練を関係省庁 ・自治体・民間機関との連携のもとに実施した。

1)ヘリ同乗医療チーム

9月1日、10時30分広域搬送決定の連絡を受け自衛隊浜松基地に向け出発する。12時30分には浜松基地に到着 。参加医師・看護師は基地内に設けられた対策本部にて登録を行う。本来は、この登録時に広域搬送拠点内 での活動現場の振り分けが行われるが、今回は事前に則岡、鵜野の2名がヘリ同乗チームとして参加するよう 手配を進めた。
 ヘリ同乗チームの主な活動は、被災地内にある災害拠点病院・救護所に運び込まれる重症患者や被災地内 の病院での治療が難しいと判断された患者をヘリでSCUまで空路搬送することにある。今回の訓練では、1 .「静岡県内の災害拠点病院」⇒2.「域内搬送拠点浜松基地)」⇒3.「域外搬送拠点(福岡空港・入間 基地)」⇒4.「域外専門病院」までの患者搬送を実施した。これは域内災害拠点病院から域外専門病院ま での一連の患者搬送過程を実際に行う為、ヘリ同乗チームには患者搬送時のスピードだけではなく模擬患者 の状態を考慮した搬送・救護が求められた。
 ヘリによる患者搬送訓練は13時から開始され、AMDA から参加の則岡、鵜野は自衛隊ヘリに同乗し、患者の 待つ災害拠点病院へ向かった。拠点病院では搬送される重症患者のカルテを準備し、同乗しているAMDA医療 チームに申し送りを行い患者を引き継ぐ。その後患者はヘリで広域搬送拠点まで搬送される。この間ヘリ同 乗医療チームは、移動中の患者状態のチェックや患者の急変時の対応を行い。広域搬送拠点までの継続治療を実施した。

2)SCU医療チーム

被災地から運び込まれる搬送患者は、広域搬送拠点内に設けられるSCUにおいて維持・管理がなされる。SCU には、2張のエアーテントに各4名分の医療機材が準備され、最大8名までの患者収容が可能である。また今回 の訓練にはAMDAの他、国立災害医療センター、近隣の医療機関などのチームにより構成され、医師4名、看護 師4名(AMDA 含む)がSCUにおける医療救護訓練を実施した。AMDA SCU医療チームは医師1名、看護師1名の2 名で構成され、それぞれ若山、塚本が担当した。
 広域搬送拠点に到着した模擬患者は、静岡県医療室職員で構成された地上搬送チーム(看護師1名、搬送要 員4名)によりSCU内に運び込まれた。このように被災地から運び出された患者は、すべてSCUに収容され、模 擬患者は域外搬送準備が整うまでの間、SCU治療チームによる継続治療が実施される。
 SCUは統括責任者の大友康裕医師(国立災害医療センター)と副責任者の岡田眞人医師(AMDA国内防災機構 )の2名が統括し、患者の受け入れや搬出など細やかな指導・助言がなされた。SCUでの医療行為は、患者と 共に送られてくる患者データとヘリ同乗医師からの口頭での引継ぎのみで行われるため、簡潔で正確な情報 伝達が要求された。

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