スタディツアー

AMDAペルースタディツアー報告
2003年8月21日〜8月29日
AMDA Journal 2003年12月号より掲載


スタディツアーで見たペルーの過去と未来
栗山 倫子

その小学校の教室には3年生33人が行儀よく座っていた。「みんなは自分のことが好きかな?どんなところが好きかな?」授業の進行役を務める AMDAのファシリテーターが問い掛けると、子供たちは一斉に手を挙げ、順番に答えていく。子供らしい元気さにあふれた教室だ。寸劇やファシリテーターとのやり取りで自分の体を好きになろうとすることを通じ、自分と他人への尊厳を養い、リプロダクティブヘルスの向上を目指すというのがこの取り組みだという。

お茶を手渡す栗山さん
お茶を手渡す栗山さん

ファシリテーターのワークショップの後、日本の茶道のお菓子と抹茶をクラス全員にふるまった。準備を整え、点前の亭主を務める私が始まりの礼をすると、教室は静寂に包まれた。子供たちが見ることに集中し、「しーん」とした教室に、茶せんと茶碗のこすれる音が響く。最後まで静けさは持続し、あれだけにぎやかだったワークショップの前半とは好対照をなした。

教育一般について言えることかもしれないが、子供たちの将来のために尊厳を養うといった取り組みの成果が現れるのは、本人が成長した後、つまり十数年後のことで、それもはっきりとした形で成果が現れるわけではない。それを調査し、評価することは困難だと思う。しかし、ファシリテーターが話すときや、おそらく生まれて初めて見る点前の様子を眺める子ども達の眼差しは、真剣そのもの。その彼らを見ていると、後に「あの時間は自分にとって必要だったな」と思える取り組みなのではないかと思える。話を聞く姿勢をきちんと持った子供たちに、ファシリテーターの話が通じていると信じたい。

さて、首都リマでAMDAの取り組みを見学した私たちは、一路、マチュピチュへと向かった。道中、バスの窓の外に広がるジャングルの中に野生の極楽鳥花が見える。鮮やかなオレンジ色のくちばしに、緑色のトサカという鳥の頭そっくりの花は、日本では見慣れぬ造形だ。地球の裏側にいることを実感する。

マチュピチュにて
マチュピチュにて

バスを降り、入山手続きを済ませ、歩いても目指す遺跡はなかなか見えてこない。足を滑らせれば谷底へまっさかさまかと思わせる藪をすぐ脇に、うねうねとした道を進む。と、突然、視界が開ける。中国の山水画に深緑を染め付けたような山がいくつもそびえ、それぞれの山がポンチョをまとったように山頂付近に石組みの「街」がへばりついている。大勢の観光客が遺跡の中を動き回っているのが、まるで蘇ったインカ人が住み込んでいるかのようだ。縦に細長い山の上に、重く巨大な石で街を造りあげたことを思うと気が遠くなる。何故、こんな困難な場所にこんな大きな遺跡を建造することができたのかと不思議で、また、こんなことをした祖先を持つペルー人に対する見方も変わってしまう。

私は、スタディツアーの参加にあたり、インカの遺跡とペルーの現代社会に非常に興味を持っていた。それらをいちどきに目の当たりにできてしまった今回のツアーにはとても満足している。さらに、今まであまり知ることのなかったNGOの方々の取り組みを拝見し、その力を実感するとともに自分に何ができるかを考え直すきっかけにもなった。

最後になりましたが、ペルーの方と交流するためにお茶を振舞いたいという私の申し出を快く引き受けてくださったAMDAの富岡さん、田中さんのご厚意と、ツアー中いろいろな心配りをいただいた参加者の皆さんには心から感謝します。


スタディツアーの感想
本郷 順子

一度は行ってみたいけれど私には無理という国が世界にはたくさんあります。ペルーもその一つでした。この夏、AMDAスタディツアーの案内の中にその名前を見つけて旅行は現実のものとなりました。それは予想を上廻る感動の連続でした。いろいろとお世話になりまして、ほんとうにありがとうございました。

世界平和、国際協力等、言葉は数多くありますが、まずお互いが相手のことを良く知ることから始まると思います。それぞれ気候風土によって、おのずと物の考え方、生活の仕方、習慣、周辺の国々とのかかわり方等々異なっていて、そして歴史となって現在に至ると思うからです。そしてAMDAの「相互扶助」の考え方は最も基本的で重要なものであると思います。様々な違いを越えて、手を取り合い、気持ちをつないで、平和な世界を目指すというのは何と素晴らしいことでしょう。

2003年9月22日、国連総会において、「取り組みを劇的に強化しなければ2001年の国連エイズ特別総会の掲げた目標達成はできない」との中間報告が発表されました。この大きな課題に取り組んで、AMDAペルーでは以前からHIV/AIDSの予防について、このプログラムを実施するためのファシリテーターの育成をはじめとしてそれに連なる様々な活動が展開されています。この他にも防災に関するものなどそれぞれのプロジェクトについて目標達成のために努力されています。AMDAでは勿論この他世界各国で災害時の救援、難民などとなった人々への支援、その他多種多様な活動が行われています。皆様のご努力に心から敬意を表しますとともにどうぞ健康でご活躍なさいますよう(特に海外へ派遣されていらっしゃるスタッフの方々)願っております。

AMDAペルースタッフとの交流
AMDAペルースタッフとの交流

スタディツアーに参加して
本郷 博子

世界遺産マチュピチュ、大空に響き渡るフォルクローレ、インカ文明の遺跡…。ツアー出発前、私はガイドブックで名所ばかりをチェックし、まさに観光気分で参加した。しかしこの旅で様々な人に出会い、そんな自分を反省したのだ。

ペルーではHIV/AIDS予防プログラムが実施されていた。その活動には多くの学生ボランティアが参加しており、心理学を専攻する方々が主だった。彼らはリマ市内の小・中・高校に行き、各学年の理解力に合わせてワークショップを行っていた。高校生に対するそれは、自己確知を求めるものだった。自分の存在意義を知ることで、他人を思いやることに気付かせるのが狙いだ。ボランティアの学生は事前にアンケートを実施しており、その回答に基づく詳しいシナリオを作成して実践に臨んでいた。また、小学生にはお面やぬいぐるみを用いて、自分を好きになりあるがままの自分を認めることを、分かり易く芝居仕立てにして教えていた。

活動を終えた食事の時、ボランティアの大学生に子供たちの反応について尋ねてみたところ、『初めは嫌そうに席に座っていた子供が、ワークショップが終わって帰る時には「また来てね。今日はありがとう。」と言ったことがある。それを聞いて嬉しかった。この活動を頑張って続けようと思った。』と語ってくれた。私は彼女のこのプロジェクトに対する熱意と信念を感じた。それらはボランティアの方皆さんに共通している。

彼らはHIV/AIDS予防プロジェクトの指導者になるための訓練を受けた『ファシリテーター』であるとのこと。AMDAペルーは恵まれた人材を十分活かすための教育・養成により、大きな効果を上げている。私は今回のツアーでAMDAペルーの活動について学び、更には誠意と情熱を持って支援することの大切さを改めて確信した。このツアーで出会った全ての人に感謝!




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