スタディツアー

ネパールスタディーツアーに参加して
─とにかく感動を伝えたい─


藤井 弓子
新見公立短期大学看護学科学生
AMDA Journal 2002年 6月号より掲載

私は、短大の看護学科3年に在籍する看護学生です。今回のスタディーツアーに参加したのは、(1)将来、看護師として国際ボランティアに関わりたい、(2)看護(卒業)研究で国際ボランティアにおける看護師の役割について研究したい、という2つの目的からでした。 試験終了直後で、準備不足のまま出発した旅ではありましたが、たくさんの感動を持って帰ることができました。

ネパールに到着して、空港からホテルに向かう車の中から見たカトマンズの印象は、とにかく「活気」にあふれているということでした。 車はクラクションを鳴らしながら我先にと先を急ぎ、人はそんな車にもひるむことなく堂々と道路を横切る、道端には牛がウロウロ歩いていて、日本とは全く違う光景が広がっていました。「生きている」という力強さをすごく感じました。 自分が今まで、何のために生きているのだろうなどと考えていたことが、とても小さなことに思えて涙が出てきました。日本で都会を歩く人たちを見ても感じることがないことでした。

特に印象に残っているPHASE(フェーズ)プロジェクトは、女性のグループに対して、保健衛生教育、識字教育などの啓蒙活動を行い、住民のモチベーションを高め、自立支援を目的としており、現在、カリカという地域でトイレを16個作ったということを聞きました。 住民が自らトイレを作りたいと言うようになるまで、1年かかったそうです。1年で、今までの生活の中にはなかったトイレを作るところまで、住民の意識を変化させられたことは素晴らしいと思いました。実際に作っているトイレをいくつか見せていただいた時には鳥肌が立ちました。 看護学生である私は、実習中、患者さんに生活習慣を見直すように教育する場面をよく目にします。しかし、それは大部分が正しい知識の押し付けに過ぎません。長い時間をかけて習慣化されていることを変えようとすることは大変な事です。 それでも、諦めず患者さん一人一人の生活背景を理解した上で、相手を尊重しながら工夫して働きかけていく事が大切です。PHASEプロジェクトを見学して、そのことを強く感じました。看護の対象が変るだけで、内容や目指すところは同じなのだと思いました。 保健衛生教育も見学する事ができました。その方法は、職員によるロールプレイングやパンフレットを用いた説明、発電機を使って子供向けのビデオを上映するなど、働きかけの方法は様々で子供にもわかりやすいように工夫されていました。 また、働きかけの対象を家族の食事を作り子供を育て、家族の健康に関わる女性を中心にすることで、より効果が上がるのだと思いました。

学んだ事は山ほどあり、今すぐに国際ボランティアに参加できなくても、その準備としてもスタディーツアーに参加した意義は大きいものがありました。 看護師になりたいと思ったきっかけは、人の役に立つ仕事がしたいという、今から考えるとおごった気持ちからでしたが、実際、実習に出ると患者さんから教わる事の方が大きいことに気づかされました。国際ボランティアに関心を持ったのも、そのようなおごった気持ちがありました。 途上国は遅れているという一方的な見方でしたが、国や地域によって様々で、自分がその中に入って働くことで学び成長させられる事の方が多いことに気づきました。 異文化の中で、相手を尊重することの大切さも学びました。これから、働きかけの方法を創造・工夫することや、今回、学んできたことのように、様々なことに気づくことのできる感受性を磨いていきたいと思います。

今回のスタディーツアーでは、国際協力に関わる様々な職種の人や国の人の取り組み方を身近に感じる事ができ、とても刺激を受けました。将来は、絶対に国際ボランティアに参加したいという強い希望がわいてきました。 この感動を自分の周りの人たちに伝えられるように、看護研究として更に深めていきたいと思います。

木村 有希
岐阜薬科大学学生

高校生のとき「AMDAネパール子ども病院」のことをテレビ番組で見てから「将来は医療を通して途上国の人の役に立つ仕事がしたい…」となんとなく大学の薬学部に入学し、そろそろ進学か、就職かを決断する時期に、ちょうどAMDAのスタディツアーのことを知り、迷わず参加させていただいた。 これまで自分なりに薬剤師が途上国に行ってできることは何かといろいろ調べてはいたが、「薬剤師」に求められる業務はあまりはっきりとせず、やはり百聞は一見にしかずで実際に途上国に行ってみてからこれからの進路を考えようと思っていた。

保健衛生プロジェクトは興味のあるものばかりだった。ダマックのブータン難民キャンプに行ってみて一番驚いたのが、子ども達がとても生き生きとしていたことだ。難民キャンプでは子どもの肺炎と下痢が多いということだ。 難民キャンプ内の水は別のNGOによって水質チェックが行なわれているため、水道水ぐらいのレベルの水質を保っており、疾患の原因は個人の衛生管理がきちんと行なわれていないということだ。 キャンプ内の診療所ではビタミンAの摂取の重要性、ファミリープランニング、ハンセン病、エイズについてのポスターを見かけたので、難民への教育も行なわれているようだった。

またダマックのAMDA病院ではSTDプロジェクト(HIV/エイズ感染予防プロジェクト)も行なわれていて、ハイウェイの近くでトラックドライバーを教育するようにトラックの整備士にSTD予防教育を行なっているそうだ。 実際、ダマックからブトワールへ向かう12時間のハイウェイ移動中は、エイズ予防を呼びかける大きな看板をいくつも見かけた。

ブトワールではPHASEプロジェクトとして保健衛生プロジェクトのトイレ建設と衛生教育の様子を見学した。PHASEプロジェクトで訪れた村の子ども達も、難民キャンプの子ども達のように目がきらきらとしていて元気一杯だった。

これらの事業はどれも、人の健康にかかわる基本的な教育にかかわるもので「薬剤師」という領域にこだわらず、「医療従事者」として何か貢献できることがあるのではないかと思った。 特に、難民キャンプやPHASEプロジェクトの村では、彼らの基本的な衛生状態の向上が、直接疾患減少へとつながり、彼らのQOLの向上につながるのではないかと感じた。そういった教育を通して、薬の大切さ、個人管理の方法なども同時に教育することができれば、薬剤師として協力できる仕事のひとつかもしれないと思った。

日本のとても清潔な生活に慣れきっている自分がネパールのトイレットペーパーの置いていないトイレ、濁った水、冷たい水シャワー…に抵抗無く過ごせたことに驚きもあった。同時に自分に足りないことが本当にたくさん見つかり、これから途上国、国際協力、医療など様々な分野について勉強していきたいと思った。 今まで将来のことでいろいろ迷いがあったが、やはり「薬剤師として国際協力に携わる」という目標に向かって頑張ろうと決心することができた。




緊急救援活動

アメリカ

アンゴラ

イラク

インドネシア

ウガンダ

カンボジア

グアテマラ

ケニア

コソボ

ザンビア

ジブチ

スーダン

スリランカ

ネパール

パキスタン

バングラデシュ

フイリピン

ベトナム

ペルー

ボリビア

ホンジュラス

ミャンマー

ルワンダ

ASMP 特集

防災訓練

スタディツアー

国際協力ひろば