スリランカ

スリランカ医療和平プロジェクト
     ウルトラプラム病院における発電機の寄贈式

ニティアン・ヴィーラヴァグ(現地統括)
     
翻訳 藤井倭文子
AMDA Journal 2005年 1月号より掲載

 

ワダカッチ病院は、キリノッチの中心地より7〜8kmほど東に位置する病院です。医師1吊に助産師1吊、それに数吊の医療ボランティアの方々で運営されています。規模こそ小さな病院ですが、人口1万6千人を対象とするキリノッチ東部の中心的病院として機能しています。内戦中はこの地区もかなりの被害があり、2002年にようやく現在の、本来の場所での診療が再開されました。しかし、この地区にもまだ電気・電話などの設備は備わっておらず、まだまだ人々の生活は豊かであるとはいえません。

 2004年の6月、岡山の方々の善意によってワダカッチ病院に1台の発電機が寄贈されました。内戦中より14年間この病院には電気がなく、夜間の分娩もランプの小さな明かりで行っていたそうです。6月の発電機の寄贈式には私も参加させていただきましたが、14年ぶりの灯りの点灯の瞬間には、病院関係者の方々・地域の住民の方々も感無量な面持ちでした。また、寄贈してくださった日本の皆様の代表として式典に参加させていただき、私自身も感謝の気持ちでいっぱいでした。

 発電機寄贈式から約5ヶ月が経過し、今回は自転車でワダカッチ病院を訪ねてみました。先週より降り続いた雨のため一部浸水した道路を渡り、汗をかきながら大草原のなかのデコボコ道を走り続けること約1時間、豊かな緑に囲まれた静かな場所に建つ病院に辿り着くことができました。1日の平均外来患者数は約100〜150吊、また月に4〜5件の分娩があるそうです。今はちょうど雨季ということもあり感冒症状や下痢などを訴えてくる患者さんが多く、1日200吊を越える患者さんの診察に1吊の医師が日々あたっていました。そんな中、忙しい診察の最中にも関わらず、病院のスタッフが笑顔で私を迎えてくれました。

 現在発電機は、1日3回(朝・昼・夕、計約8時間/日)決められた時間と、ネブライザー(吸入器)などが必要な患者さんが来院された時に運転されています。発電機の寄贈後、病院では様々な変化があったようです。夜間のお産の介助が容易になったことはいうまでもありませんが、その他冷蔵庫の使用が可能になったことで、従来は病院での保存が困難であった注射液やワクチンの保存が可能になったこと、発熱のある患者さんに解熱をはかるためのアイスが使用できるようになったことなどスタッフの方よりたくさんの喜びの声を頂きました。また、ステライザー(滅菌器)が使用できるようになったことにより、患者さんへの処置もより清潔に行われるようになったのではないでしょうか。これらは日本の病院では極々当たり前のことですが、このワダカッチ病院がどのような環境下で戦中・戦後機能して来たのか、今回私にとって考えさせられるよい機会となりました。また、設備や環境の上十分な中での医療行為には、計りしれない苦労があったと思いました。

 そして、今回嬉しいニュースはこれだけではありません。病院のすぐ裏に位置するワダカッチの学校でも、この寄贈された1台の発電機を利用し電気が使用されているのです。ワダカッチ病院よりこの学校の創立50周年を祝って、電気がプレゼントされたのです。発電機の寄贈式が行われて2〜3 週間後、病院長より学校への配線の話があり、すぐに工事が行われたとのことでした。夜になると、灯りを求めて勉強をするために学校にやってくる生徒もいるそうで、寄贈された発電機が病院以外でもこのように地域で利用されていることに感激しました。現在学校ではこの電気を利用し、2台のコンピュータを動かしているようです。使用しているのは主に先生方ですが、今後は生徒を対象に新たにコンピュータのクラスも開講したいとの豊富を校長先生が話して下さいました。また、今後教室や図書室でも電気を使用できるように現在検討中であるとのことです。地域の中で病院と学校が助け合い、この電気を通じ更によりよい関係が築かれていることも大変喜ばしいことです。

 このように寄贈された1台の発電機は、多くの人々のために今日も動き続けています。そして、この発電機が多くの人々・子どもたちにとって夢や希望を与えるものであって欲しいと願うばかりです。ワダカッチ病院では、地域住民の方々のために更に設備の充実を計るよう努力されています。まだまだ病院として、設備面・衛生面において充分とはいい難いのが現状です。しかし、寄贈された発電機によって病院としての機能は確実に向上しているといえます。また今後この病院そのものが地域の希望の灯りとなるようがんばって欲しいと願っています。

 日本の皆様にこの文面だけでこちらの現状を理解していただくことは、極めて難しいことであると感じていますが、様々な思いを込めて集めて頂いた資金や贈り物が地域の人々にどのように届けられ、またどのように使用されているのか知って頂きたいとともに、こちらの方々の感謝の気持ちをそのままお伝えできればと思います。それこそが、寄贈して頂いた方々へのお礼と、こちらで活動している私たちの役割であると感じています。

 最後に一言・・・こちらの方々が口をそろえて『サントーサン=happy』と大きな笑顔とともに私たちに投げかけてくれます。これこそが私たちの日々の活動の原動力です。そして今後もこの1台の発電機を通して生まれた絆を大切にし、様々な面において支援していくことができればと思っています。




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