スリランカ

スリランカ ジャフナ事業 活動日誌

AMDAスリランカ 岡崎 裕之
AMDA Journal 2004年 3月号より掲載

プロローグ −2004年1月−

ジャフナでの新年は、大晦日にあちこちで爆竹が鳴り響いていたものの、その他はこれといって特に行事 もなくごくごく平凡に迎えました。また、暦上は休日ではないので普通に仕事でした。スリランカに赴任し たのが昨年の 6月なので滞在期間はもう7ヶ月になりますが、つい最近来たばかりのように思えます。

昨年の11月と12月にプロジェクト対象地域の2箇所の村でAMDAが建設・改修したコミュニティーセンターの オープニングセレモニーが行われました。活動はセンターが完成してからが本番であると言えるのですが、 とにかく一区切りついた、という感じでホッとしています。この7ヶ月にはいろいろなことがありました。 それを振り返ってみたいと思います。

1. 2003年6月〜7月

首都コロンボで2〜3日打ち合わせを行った後、活動地域である最北部のジャフナへ移動。距離にして400 キロ程だが、途中に軍やLTTEのチェックポイントがあったりするので車で10時間以上かかる。ジャフナは 住民のほぼ全員がタミル人なので、街中の看板もタミル語一色。女性の服装といい立ち並ぶヒンドゥー教 寺院といい、コロンボとは随分雰囲気が違い、まるで別の国に来たかのような印象を受ける。ジャフナは乾 燥地帯であり暑さも厳しいという話だったが、半島地帯であり始終強い風が吹いているのでそれほどの暑 さは感じない。また、内戦後の取り決めによりLTTEの支配地域であるキリノッチを通過してジャフナに持ち 込む物品には関税がかけられているせいで、ジャフナでは他地域に比べ概ね10%物価が高い。

プロジェクトは吉見千恵調整員がすでに大体の下準備を進めてくれて、ある程度の路線は出来上がってい たが、オフィスがまだ見つかっておらず物件探しと並行しながらのスタートだった。内戦による混乱も収ま り、ジャフナでは続々と各地に避難していた住民が戻ってきており、損壊住居の再建ラッシュである。その ため建設従事者が常に不足がちで、人件費も高騰している。これに目をつけて一時的に他の職種から鞍替え する者も多い。

そういう事情もあってオフィス探しは難航した。おまけにどの物件も数年前の2〜3倍の賃貸料に跳ね上が っており、7月になってやっと見つけた物件は改修が必要だったため、結局7月末までの丸2ヶ月はゲストハ ウス暮らしだった。

2. 2003年8月

オフィスを開設し、スタッフも正式に雇用する。ようやく本格的に動き出した感じがする。ここで、AMDA が支援対象としている村のプロフィールと活動内容を簡単に説明したい。

(Madduvil)

住民の多くが農民である農村地帯。内戦中に多数埋設された地雷がまだ除去されていない土地もかなりあ り、自分の土地を耕せないでいる農民も多い。電気はない。
1940年代に立てられたコミュニティーセンターがあるが、半壊している。ただ基礎部分はかなり堅固であ るので、住民や建設業者と話し合った結果、これを改修することにした。
 また、乾燥地帯なので乾季の野菜栽培では水の確保に苦労している。 AMDAは灌漑用ポンプを供与するこ とにした。正確には、より多くの農民に恩恵を、という意図でローンという形式にし、回収金はコミュニ ティーで協議した上で再度農機具を別の農民に供与することにした。更に現地での調査の結果、耕作用の鍬 が不足しているとの実情が判明し、鍬も供与することにした。

(Kaithadi)

住民のほぼ全員が漁民。同じく電気はない。ジャフナは海産物資源が豊富である。内戦前はスリランカ全 土の漁獲高の30%を占めていた。しかし、内戦後スリランカ軍が多数駐留し、空港施設や沿岸地帯など戦略 上重要拠点と認識しているかなりの地域を接収している。Kaithadiでもすぐそばに軍の駐屯地があり、その せいで漁民に許されている漁場は沖合い2キロまでと制限されており生活は逼迫している。
 ここではコミュニティーセンターを新たに建設した。また、定置網による漁法を行っており魚網が傷みや すく、2年に一度は魚網を買い換える必要があり、常に需要が高いことを考慮して魚網を供与することにし た。これはやはりローン形式にし、回収金は他の漁民に貸し付ける方式を採用した。

私が赴任する時点ですでに上記のプログラムは決定しており、建設業者との話し合いもかなり進んでいた 。だからといって赴任後すぐに実行できたわけではない。建物を建てたり物を供与することは「コミュニテ ィーを活性化」し「村人たちの自主運営能力を向上する一助となる」ための手段であって目的ではないの で、準備段階でかなりの時間を費やした。コミュニティーセンター建設においては、利用計画・運営方針・ 建設における責任問題について何度も話し合い、住民の無償協力についても了解を得た上で、AMDA・コミュ ニティー間の合意書を作成した。物品供与についても対象者の聞き取り調査を行い、戸別訪問により資産調 査も行った。

ただ、これらの活動がすんなり村人に受け入れられたわけではない。頻繁に村を訪れていながら具体的に 何も動き出さない状況を、村人としてはかなり訝しく思っていたようである。通訳によると、「あの日本人 は一体村になにしに来ているんだ?本当は支援じゃなくて大学かなにかの調査できているのじゃないのか?」 と聞いてきた村人もいるそうだし、私としても村人の対応に徐々に軽い失望の色が現れてくるのを感じ取れ るようになってきた。

建設業者も同様である。最初に見積もりを取ったのは2003年1月だが、この半年ですでに人件費や材料費が 20%以上高騰しており、「何度も話し合いを重ねているが、こちらとしても建設が遅れれば遅れるだけ物価 が上がって利益が少なくなる。」 という苦情も受けた。先にも述べたがジャフナでは建設ラッシュで、 どの業者も仕事に追われており、AMDAだけ に関わっているわけにはいかない、という態度が見て取れた。

そんなわけで、8月中旬からようやく建設が開始した時には正直ホッとした。Kaithadiでは新築なので地鎮 祭を執り行ったが、今までとは明らかに違う生き生きとした態度の村人たちを見ているとこちらも嬉しくな ってきた。 Madduvilでも工事が始まると日に何度も作業の様子を眺めに来ては知り合いと今後の計画につい て語らう村人も出てきた。当時は多少の焦りを感じたが、今となってはこの時期に辛抱強くじっくりと事を 進めてきてよかったと実感している。
 8月末にはKaithadiで魚網を供与した。ジャフナでは同じ製品でも二級品が混じっていることが多いので 、品質に信頼のおけるコロンボの販売元で購入してジャフナに搬入した。

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