スリランカ

ヴァヴニア巡回診療における
創傷処置について



井上 純子(看護師)
AMDA Journal 2003年 10月号より掲載

1.巡回診療における創傷措置の意義 1)巡回診療における創傷処置は、適切な判断と処置により、 できるだけ早く健康を回復させるように必要に応じた医療を提供する。 また、程度に応じて適切な医療を受けるまでの応急処置的なものとする。
2)創傷処置が、単なる治療だけに終わることのないよう、
  保健教育の機会として活かす。
 ・個別指導:傷病原因、予防と手当てについての知識、技術を指導しな
        がら処置し、予防する態度を養う。
 ・集団指導:患者、家族などの集団に対し、傷病原因、
        予防と手当てなどについて指導する。
3)自己の自然治癒力や傷病原因について考えることで、生命の尊さ、他人への思いやり、助け合いなどについて理解を深める機会になるように働きかける。

2.創傷処置への対応の流れ
1)健康障害の把握:
患者の観察、視診、問診、可動検査などに より、障害の性質、症状の軽重、緊急度などを把握する。
  (例)年齢、性別、受傷日、傷病原因、創部の部位、創部の状態、感染の有無、障害の有無、医療的介入の有無
2)治療計画:総合的な考察により、患者に対してとるべき処置の方法を医師とともに判断し、決定する。
3)応急処置:決定した治療計画に基づき、応急処置を施す。医療機関受診が必要と思われるときには、医師が紹介状を記入し、可能な限り受診を促す。また、緊急時には搬送を担うこともある。
4)保健指導:自己の障害を振り返り、正しい判断、処置法を知り、再び障害を起こさないように保健指導の場として活用する。

*外科的処置をどの程度まで巡回診療で行うかは今後検討予定。現状では、下記にのべる理由から、AMDAの巡回診療(vavuniya)では、切開を必要とする処置は行わず、可能な限り医療機関受診を促す事とした。

@不衛生な環境(屋外における非滅菌物の使用、風塵等)
A不十分な物品
B使用物品の滅菌処理が出来ないことによる患者間または医療者への感染の拡大
C局所麻酔等を使用しない治療による患者への疼痛の増大
Dガーゼ交換など事後処置の困難
E医療処置に対する不明瞭な責任問題
しゃしん

3.まとめ
 巡回診療における創傷処置を行うには、これらの事柄について医師をはじめとしたチームスタッフ全員の共通理解を得て、患者へ説明することが大切である。地域柄Vavuniyaでの巡回診療では、医療費が無料ということや、バスの交通が比較的確立していたことなどから、患者は医師の説得に応じてなんらかの医療機関受診に応じることができていた。
 しかし今後、医療機関受診が困難と思われる他の地域での巡回診療において、切開等を必要とする処置を行うならば、まず上記の問題点を解決せねばならないであろう。そして、海外での医療活動において、全医療スタッフへ現地の使用薬品の説明や処置方法の説明と、感染対策についてのオリエンテーションがなされるべきである。緊急時を予想して、携帯できる簡易型の人工呼吸用マスク(一方向弁付き呼気吹き込み用具)なども用意されているとよい。  なお、現在の創傷処置においても、早急に器具用の消毒薬品等を準備したり、使用後の物品を煮沸消毒したりする必要性があると思われる。さらに、感染源となる医療廃棄物の処理についても検討せねばならない。Vavuniyaでは、 MOHの協力により、地元病院にて処分させていただけることとなった。
左 川原看護師
左 川原看護師
 このように、巡回診療を行うにあたり、日本のMedical  NGOとして、医療者としての普遍の倫理に基づきながら、改善できるところは出来る限り実行していかなければならないと痛感する。経済的理由や現地の状況で異なる点もあり、現地の方法に合わせる部分もあると思う。しかし、これらのわれわれの行動が、地域住民への健康教育のみならず、現地の医療スタッフへの意識改革や人材育成につながっていくのではないか。そして、これらのことを通じ、地域政府への働きかけが出来たり、地域住民が疾病への予防や生命への理解を深めることが出来たりすれば、とてもうれしく思う。




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