ネパール

患者さん報告

─新しくなった病棟も、多くの患者さんに頼られています─



AMDA Journal 2002年 6月号より掲載

シバちゃん(5歳)

シバちゃんの家族はインドからの出稼ぎの家族です。インドとネパールは繋がりが深く、フリーボーダー(ビザなし、簡単な手続きで相互の国を行き来できます。)で、通貨も固定レート(1インドルピー=1.6ネパールルピー、ネパール国内で、インド通貨を使用する事も可能です。)のため、物資、人共に交流はとても多く、出稼ぎ者も多くいます。 ネパールからインドへの出稼ぎが中心ですが、シバちゃんのお父さんは逆で、ここブトワールのあるインド国境に接するルパンデヒ郡で、土木作業をしています。シバちゃんは、お姉さん4人、お兄さん1人と一緒に、お父さん、お母さんについてインドからネパールに来ました。 しかし、馴染みのない土地で、肺炎にかかってしまいました。知らない土地で、どの病院が良いか判らなかったのですが、近所の人に「お医者さんがちゃんと診てくれて、治療費も高くないから。」と、勧められて、子ども病院に連れてこられました。 お父さん、お母さんは仕事を抜けられないのか、シバちゃんは、いつもお姉さんに見守られていました。お姉さんの思いが伝わったのか、シバちゃんは1週間ほどの入院で元気になり一緒に帰っていきました。

ビシュヌ君(2週間)

ビシュヌ君は、ルパンデヒ郡の隣の郡、カピルバストゥ郡のタルー族の村でチョーザリー家の初めての子として、自宅出産で生まれました。しかし、1.2kgしかない極小未熟児で、お母さんとお父さんに子ども病院の急患室に連れてこられました。 急患室当直の CMA(村落保健士)は、ビシュヌ君の様態を見て、すぐに、NICU(新生児集中治療室)へ入院させようとしました。しかし、最初、両親は金銭的な問題から入院を躊躇していました。 入院をしなければ、ビシュヌ君が死んでしまう事は明らかだった為、入院費が比較的安く押さえられている事等も伝え、両親を説得し、ビシュヌ君は2月の2週目にNICUに入院しました。 その後、ビシュヌ君は、数日をインキュベーター、数日をインファントワーマー、その後、ようやくお母さんと一緒になり、ICUのベットで5日間治療を受けた後、退院することができました。 NICUの看護婦も、ビシュヌ君が回復した事を驚いており、「ここ(NICU)ができてから、子ども病院の乳幼児死亡率が下がっているわ。」と、嬉しそうです。

クシュ&ラウちゃん(10ヶ月)

クシュ&ラウちゃんは子ども病院で生まれた双子の赤ちゃんです。お母さんは、バイラワから出産にやって来たのですが、双子の男の子誕生に大喜びでした。この双子ちゃんには、お姉さんが3人おりますが、ネパールでは、今も男の子が産まれるまで出産を続ける女性も多いと聞きます。 出産後、元気に2人は帰っていったのですが、その後、肺炎で子ども病院に戻ってきました。そして、いつも子ども病院でケアされて元気になるのですが、家に帰ってしばらくすると、また、肺炎になってしまうのです。今回は、なんと3回目の入院です。 看護婦によると、「家には子どもが5人いるけれど、面倒を見るのはお母さんだけで、手が回らないのよ…」との事でした。お母さんは中々たくましく、新しくなった病棟への初めての入院で「綺麗な病棟ができたのですね。」などと言っており、双子ちゃんも、ケアするにつれ、日に日に回復し、5日間の入院で退院して行きました。

小児病棟で幼児のケアをするマナ看護師
小児病棟で幼児のケアをするマナ看護師
※新小児一般病棟では、24のベットと8人のナースが24時間体制で患者さんをケアしています。集中治療室(8ベット、4人のナース)同様、多くの子ども達が、ここで元気になり、帰っていきます。みんな元気に育ってね!


赤ちゃんができたら

ネパール妊婦検診


ネパールでは自宅出産が多く、8割以上のお母さんが、病院へ行かず、家族や伝統的産婆(Traditional Birth Attendant: TBA)の介助を受け、出産しています。「妊娠したら、産科へ行こう」という考えは村落地帯ではまだ浸透していません。

国内の母子保健政策では、妊婦は妊娠期間中に5回の検診を受けるように勧められます。1回目は妊娠6〜8週目、2回目は16〜22週目、3回目は 28週目、4回目は36週目、そして、出産直前の5回目です。通常一度だけ、2回目の検診の際に、エコー(超音波装置)をお母さんに勧めます。 しかし、実際は、自宅出産の女性達は妊婦検診を受けず、また、病院で出産する女性達の何割かは、出産直前まで病院を訪れることすらありません。ネパールは、現在妊婦検診の普及段階にあります。

緊張した面もちでエコー検査を受ける妊婦
緊張した面もちでエコー検査を受ける妊婦

子ども病院は、ネパールで初めての「子どもと女性の為の」病院です。妊婦検診をお母さん達に受けてもらい、少しでも、お母さんや赤ちゃんに、リスクの少ない出産をと、常々考えています。子ども病院での出産数は年々増加の傾向にあり、現在、年間2,000人近くの赤ちゃんがこの病院で生まれています。 リスクを伴うケースとしては、例えば、頭の大きすぎる子の出産があります。この場合、児頭の骨盤通過が困難で、出産に時間が掛かり過ぎ、脳にダメージを受ける場合あるのです。しかし、妊婦検診でエコー検査を受けていれば、帝王切開を予定できます。 このような理由から、妊婦検診の一環として、1999年、岡山の笠岡第一病院より、中古のエコーをご寄付頂き、週に2回の検診を初めました。非常にありがたく、大切に使っていたのですが、2001年5月、調子が悪くなりだし、毎回「動きますように」と祈りながら、使う状況が続きました。 その頃、子ども病院を訪問された、設立当初からの支援者、JSファンデーション様が、この事態を憂慮され、エコーの購入支援を決定して下さいました。その後、入札等を経て、昨年11月末に新しいエコーが子ども病院に到着しました。 エコー専門医ムコンダ・パンティ医師、ビーマル院長を始めとするスタッフ一同、これでさらに良いサービスを患者さんに与える事が出来る、と大喜びでした。5ヶ月経った現在、このエコーを使い診断を受けた患者さんは約1,000名(婦人科、小児科も含む)に上ります。 ネパールの女性の中には、病院、検査は「痛い、怖い」と思っている人も多く、エコー検査を受ける時は、皆、とても緊張しています。しかし、実際、エコー検査を受けると痛くもなく、大変驚かれます。その上、赤ちゃんの状況が判り、安心して出産を待つ事が出来ます。 故障中の最初のエコーは、修理を試みており、産科外来、あるいは産科病棟で使用し、サービス向上に役に立てさせて頂きます。これら2台のエコーにより、危険の伴う出産を事前に防ぐ事が出来ればと考えております。

妊婦検診するサンタ看護師
妊婦検診するサンタ看護師

子ども病院は、医療過疎地でも、より安全で優しい医療サービスを患者さんに提供できるようにと、全力を尽くしています。「赤ちゃんができたら、子ども病院へ行こう。お母さんにも、赤ちゃんにも良い病院だから。」と、患者さんに言ってもらえるように、そして、多くの赤ちゃんとお母さんが健康に生活してもらえるように。




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