ネパール

私の日本研修記
(篠原基金)


ネパール子ども病院医師
Binod Kumar Parajule
翻訳 藤井倭文子
AMDA Journal 2001年 3月号より掲載

 日本で1年間の研修を終了し、この美しい国で勉強する機会を得た事を大変ありがたく思っています。関係者の皆様方からご協力をいただき、私の研修は順調に進み大変多くの事を学びとる事ができました。

 岡山済生会総合病院の小児科の井上先生は私がより優れた効果的な研修が受けられるようご尽力下さり、岡山滞在中全面的に支援して下さいました。井上先生に対する感謝の念は筆舌では尽くしがたいほどです。先生のご支援がなければ私の研修は好結果を生み出す事は難しかったと思います。

 岡山済生会総合病院の皆様及び小児科の皆様、岡山国立病院・新生児集中治療室の山内先生及び小児科の医師、スタッフの皆様方には新生児集中治療室における私の研修を成功させるために一方ならぬお世話になりました。心から感謝しています。また私の研修プログラムに関し連先生、小倉先生を始めAMDA兵庫のメンバーの方々に大変お世話になりました。

 研修期間の終り近くに私は故篠原医師の母校である関西医科大学の新生児集中治療室で学びました。小児科と新生児集中治療室のスタッフの皆様は全員親切で友好的でした。特に新生児集中治療室の木下先生には広範囲にわたりご指導いただきました。心からお礼申しあげます。



 皆様ご存知のとおり、ネパールはアジアで貧しい国の一つです。約3割の人々が特に貧しく、十分な食べ物さえ事欠いています。男性平均寿命は56歳、女性は男性より低いと言われています。ネパールでは子どもの死亡率が非常に高く、特に幼児及び5歳以下の死亡率が日本と比べて非常に高い現状で、日本の20倍以上です。毎年多くの子ども達が下痢性疾患や急性呼吸器感染症で亡くなっていますが、これらの疾患は本来予防も治療もできるものなのです。

 これらの疾患による高死亡率には次のような要因が考えられます。
1) 保健教育の不足
2) 不充分な医療設備
3) 貧困

 ネパールにおける下痢性疾患の一般的な原因は寄生虫感染、ウイルスや細菌性感染によります。マラリア、カラアザール(リーシュマニア症)、髄膜炎、脳炎等の疾患が通常夏季に見られます。日本では見かけませんが、リュウマチ性疾患はネパールの子ども達には一般的な疾患です。

 その他の小児疾患は日本とネパールとほとんど同じですが、ネパールには子どもの精神病や川崎病等はめったにありません。また、熱性痙攣はネパールより日本の方がもっと一般的だと思います。

 日本における小児死亡率は非常に低く、その原因は通常難病です。しかしネパールでは感染症によります。AMDAネパール子ども病院は多数の親切な日本の皆様方の支援により、ネパールの小児死亡率を減少させるために設立されました。ネパールの子ども達を代表して、また私自身からも関係者の皆様に心からお礼を申しあげます。ネパール子ども病院でネパールの子ども達の医療状況を改善するために私達も一生懸命努力しております。

 私は東部ネパールの僻地で生まれました。私の幼年時代小さな病院が1軒ありましたが、常勤の医師がいなかったため医者の診察を受ける事は大変難しい事でした。その当時多くの子ども達は些細な健康問題で亡くなっていました。経済的に余裕のある人達は治療を受けるために大都市へ行きましたが、恵まれない人達は死と直面する以外方法はありませんでした。その当時から私は医者になる事を心に決め、これらの無力の人々を助けたいと思いました。AMDAは国際的な人道援助機関で、開発途上国の貧しく無力な人々のために活動しています。私は医科大学卒業直後、貧しく無力な人々を助けたい一心でAMDAのメンバーになりました。自分は人間であると言う事を念頭において、人類のために何かしなければいけない、特に無力で助けを必要としている人達に、と切望しています。

 日本での研修期間中に私は新しい知識と技術を習得しました。これらの知識と技術をネパールの子ども達が恩恵を得るために活用したいと思っています。「子ども達は全人類の未来です。」私達が彼等が成長する課程において良い環境と優れた医療を提供する事ができれば、彼等は将来国のために大きな貢献をする事ができます。それゆえ、子ども達を助けてあげる必要があります。ネパールの小児死亡率を減少させるため、彼らのために活動したいと心から思っています。同時に私の国の医療状態を微力ながら改善する事もできます。

 大事なことを一つ言い残しましたが、私が研修を受けた各病院のスタッフの皆様方、日本の友達、大阪でホストファミリーになって下さった寺沢さん家族等多くの方々が日本滞在中大変親切にして下さり、助けて下さいました。皆様のご恩は決して忘れる事はありません。
 「子ども達の未来のために、皆様一緒に助け合いましょう。」ありがとうございました。
 



緊急救援活動

アメリカ

アンゴラ

イラク

インドネシア

ウガンダ

カンボジア

グアテマラ

ケニア

コソボ

ザンビア

ジブチ

スーダン

スリランカ

ネパール

パキスタン

バングラデシュ

フイリピン

ベトナム

ペルー

ボリビア

ホンジュラス

ミャンマー

ルワンダ

ASMP 特集

防災訓練

スタディツアー

国際協力ひろば