ネパール

ネパール子ども病院 2歳の誕生日を迎えて

コミュニティサービス局 鈴木 俊介
AMDA Journal 2000年 12月号より掲載

この11月にネパール子ども病院(Siddhartha Children and Women Hospital= シッダールタ・子どもと母の病院)はめでたく2歳を迎えることとなった。 当初懸念されていた採算性の問題は、業務の効率化、患者数の増加、医療内容の高度化そしてスタッフの努力によって、克服されつつある。

患者に対するサービスの向上は、クライアント(=患者)層の裾野を広げるという結果につながった。 それは疑いもなく、人々の口コミによって、病院の医療サービスに対する評判が拡大したことによると考えている。 今年の5月から、一定数の常勤医師が確保できたことにより、また彼らが残業や業務の負担を苦にしなくなったことにより、患者をお客様として迎えるサービス業としての体制が出来上がりつつあるためとも考えられる。

page2 子ども病院 朝の外来前の風景
上の写真は、病院スタッフが毎朝の日課として、患者とその家族に対して診療システムを説明している光景である。 これは現在、子ども病院がお迎えする患者の6割が初診の方々であり、(特に女性の)識字率が低い国において、少しでも口頭によるガイダンスを提供したいという気持ちの表れである。

外来患者数並びに収入は、順調に伸びてきた。しかも、分娩数、手術数が増加したことにより、患者ひとりあたりの収入も上昇した。 10月はネパール最大のお祭り(日本の盆暮れが一緒になったと想像していただきたい)があり、よほどのことがない限り、患者は病院には来ない月である。

今年の10月は通常の月より開業日数が7日少なく患者数はかなり落ち込んだが、収入は3ヶ月前とほぼ同レベルを記録している。 これは収入内容が向上したとも評価できる。しかしながら、慈善病院であることには変わりなく、貧しい人々にも、質の高い医療を提供すべく努力しなければならない。
◆◆◆

 現在、子ども病院の診療代は初診料15ルピー(23円)、再診料10ルピー(15円)と、市中の私営クリニックなどと比較して約10分の1に抑えられており、また手術や入院費を含めた治療費も、患者の負担額は市中の医療費に比べ2分の1から3分の1程度に抑えられている。

これらは、総支出の5割以上を政府からの補助金でまかなっている公立病院の診療費と同程度である。 健康保健制度のないネパールの過疎地において、お世辞にも裕福とは言えない人々へも医療サービスを提供する、という人道的な介入を目的とした慈善病院が経済的に自立していくため、子ども病院はぎりぎりの線で運営することを余儀なくされている。

 今後とも、皆様のご支援を頂戴しながら、信頼される病院の確立に努めていきたい。



緊急救援活動

アメリカ

アンゴラ

イラク

インドネシア

ウガンダ

カンボジア

グアテマラ

ケニア

コソボ

ザンビア

ジブチ

スーダン

スリランカ

ネパール

パキスタン

バングラデシュ

フイリピン

ベトナム

ペルー

ボリビア

ホンジュラス

ミャンマー

ルワンダ

ASMP 特集

防災訓練

スタディツアー

国際協力ひろば