ミャンマー

第1浄水機調査と第3浄水機の経過報告

短期調整員 内藤 武司
AMDA Journal 2002年 7月号より掲載

ミャンマー中部乾燥地帯のメッティーラ市にて実施されているプロジェクトの一つに人々が安全な水を手にいれるための「浄水供給による健康促進プロジェクト」があります。これは長年に渡ってAMDAと協力関係にある、佐賀県伊万里市に本部を置くNGO「MIS(国際協力の会)」が中心となって、外務省の草の根無償資金の助成を受けて展開している事業です。 このプロジェクトではこれまで、メッティーラ市内に2機の浄水機を設置してきましたが、このほど第3号機の設置工事が開始されました。今回はこの3号機設置プロジェクトの進捗状況並びに、先日行った第1号浄水機の利用実態調査についてご報告します。

第1号機
第1号機
第2号機
第2号機
メッティーラの街の中心にはメッティーラ湖という非常に大きな湖があります。そのためそこに住む人たちは、中部乾燥地帯の他のエリアに住む人たちよりは、水資源に恵まれています。彼らは古くから湖の水を生活用水として利用してきました。しかしその水は決して衛生的な水とは言えません。 そのため湖の水をそのまま飲む事により下痢を起こしたり、水浴びに利用して皮膚病を起こしたりということがよくありました。これらの症状は清潔な水さえ手に入れることが出来れば、防ぐことが出来ます。そのためMISでは1994年からミャンマーの水事情を調査して浄水機の設計を行い、96年にはメッティーラの「ナガヨンパゴダ」内に簡易濾過方式の浄水機1号機を設置しました。 続いて2000年にはメッティーラ市民病院内に2号機を設置しました。これら2機の浄水機はメッティーラ市民の間で非常に好評で、毎日朝と夜の水汲みの時間には多くの人が浄水を求めて訪れます。

次にこの浄水機の仕組みを説明します。この浄水機は1台でメッティーラ湖の水を毎日約25トン浄化していきます。浄化槽の構造はシンプルで、砂と砂利と石を満たした多重の濾過槽に水を通すことで、汚れを取り除きます。このような仕組みにしたのは、メンテナンスを容易にするためです。 現在のメンテナンスは、非常勤のエンジニアを雇い、月に数回濾過材である石や砂を洗浄するだけですんでいます。水は第1層に入る段階では湖水そのものなので透明度は低いのですが、第2、第3槽を経て蛇口から出るときには細菌量が10分の1に減り、臭いの無いきれいな水になります。 この浄水機の効果は絶大で、この浄水を利用して下痢になる人は皆無です(下記の調査結果参照)。

そして今回3機目の浄水機をメッティーラ中央市場内に設置する事になりました。この市場は毎日約2000人もの人が利用する大規模なものです。そのため、これまでの二つの浄水機を上回る利用者が見こまれています。今回のプロジェクトに関しては市場の管理者が全面的に協力を申し出て下さり、市場内の浄化槽を設置する場所は無償で提供を受けました。 また湖から市場まで水を引いているパイプラインの利用も可能になりました。

さらに今回のプロジェクトの特徴として、AMDAとMISでは今後この浄水機のミャンマー国内での生産を視野に入れており、そのためにMISの全面的なご協力の下、ミャンマー人エンジニア2名を日本に招き半年に渡って日本で研修を行いました。そして彼らは、その研修の成果を試すべく、今回の設置工事において建設管理に当たる事になっています。

先日、設置工事に先立って市場関係者、近隣住人に対して行った調査でも、この浄水機に対する期待の大きさがはっきり表れました。特に市場内の飲食施設から、この浄水機の完成が待ち遠しいとの声が多数ありました。現在市場内に水道の設備はありません。 そのため各飲食店とも炊事用の水は、あまり清潔でない井戸水を水屋から買っており、さらに使用量を節約するためその水を何回にも渡って使い回しています。それが市場内に浄水機が出来ることで、大量にしかも無料できれいな水が使用可能になり、飲食店の衛生状態の大幅な改善が期待できます。

日本で作られた浄化槽は現在ヤンゴンで通関中で、まもなくメッティーラまで陸送され設置工事が始まる事になっています。そしてこの浄水機が実際に使用されるのは6月末の予定です。

次に先日実施したメッティーラ市「ナガヨンパゴダ」内の1号浄水機の利用実態調査について報告します。調査は2002年4月9日の17時〜18時という、最も浄水機の利用者が多い時間に行いました(総利用者数…35人)。

質問1. 自宅から浄水機までの距離
5キロ以下…33人
5〜10キロまで…2人
質問2. 自宅から浄水機までの移動手段
徒歩…4人
自動車…2人
自転車…27人
オートバイ…2人
質問3. 自宅から浄水機までの所要時間
10分以内…26人
10〜30分…9人
質問4. 水を汲みに来る頻度
毎日…19人
週2〜3日…14人
週1日…2人
質問5. 一回に汲む水の量
5ガロン(22.5リットル)以下…17人
5ガロン〜10ガロン(45リットル)…16人
10ガロン以上…2人
質問6. 浄水の一番の使用目的手
飲料…33人
炊事…2人
洗濯…0人
その他…0人
質問7. 浄水を飲んで下痢をおこした人…0人

以上のように、浄水機を日常的に利用している人が殆どであり、その存在がメッティーラ市民に深く浸透していることが伺えます。 また使用目的は「飲料水として」との解答が最も多かったのですが、インタビューをしてみると、特に「子どもと老人には必ず浄水を飲ませる」と話す人が多くおり、「健康のためには飲料水はきれいな水を」との認識が定着していることを感じました。 このような利用実態調査は今後とも定期的に続けていきます。

最後になりましたが、ミャンマープロジェクト運営に関して多大なご協力を頂いているMIS様に誌上を借りて御礼申し上げます。




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