ミャンマー

マイクロファイナンス「ABC」プログラム

Assistant Director ナン セン エ
AMDA Journal 2002年 7月号より掲載

AMDAは、ABC(AMDA Bank Complex)と名付けられた理念の下、長期間に渡る、持続的開発の促進に乗り出しました。これは、人々の収入源の創出と保健と教育の相互関係を通して、開発を促進することを目的としています。 今回は私が担当するこのABCコンセプトの1つであるミャンマーでのマイクロファイナンス(小規模融資)活動をご紹介します。

現在ミャンマーでは、マイクロクレジットはUNDP(国連開発計画)と国際NGOの活動によってよく知られるようになりました。 UNDPは、グラミンバンク(バングラデシュのNGO)が行うデルタ地帯のプログラム、PACT(アメリカのNGO)が行う中央乾燥地帯のプログラム、GRET(フランスのNGO)が行うシャン州でのプログラムという3つの大きなプログラムに資金を提供しています。 またいくつものNGOも、試験的な段階ではありますがマイクロファイナンスを行っています。

AMDAでは1997年から、主な活動地域であるメッティーラ市近郊のニャンピンエ村、セゴーン村でプライマリーヘルスケアプロジェクトの一環として試験的に開始しました。借り手は全部で117人という本当に小規模なものでしたが、そこから得た経験は非常に大きなものでした。 その後この活動を拡大するため、より効率的な方法と新しいアイデアが必要になり、2000年春、私はAMDAバングラデシュに研修のため派遣されました。

AMDAバングラデシュではマイクロファイナンスの仕組みを考案したグラミンバンクを手本にプロジェクトを展開していました。そのやり方は以下の通りです。

まずプロジェクトを実施する地域の選定のために、社会調査として、経済状況、社会状況、人々の文化をデータとして収集、分析します。その後、交通インフラの整備状況、市場経済との接する機会の有無、村にどんな人が住んでいるか(男女比や年齢分布、所得水準など)ということを加味して、実施地域を決定します。

返済のためのミーティングと同時に保健セミナーも実施
返済のためのミーティングと同時に保健セミナーも実施
地域が決まったら、次にプロジェクトの説明会を実施します。その際には、AMDAの理念、活動の内容、特にABCプロジェクトとマイクロプロジェクトの説明に力をいれます。説明会は最低3回は実施するのが通常ですが、もちろん地域地域の事情にもよります。

プロジェクトの参加者の選定基準はまず女性であることです。さらに、その村に3年以上住んでいること、年齢は18才から48才までであるということです。参加者は5人で1つのグループを作ります。そのグループが4つで1つのセンターになります。 参加者は自分たちでグループリーダーを選び、グループリーダーは主リーダー、副リーダーを選び、それぞれを助けます。

AMDAバングラデシュでは、貸し出し用の資金の一部にする為に、参加者に貯金をしてもらっています。利子は年5%。参加する人々にとっても貯金という良い習慣を、身につけることができます。借り手になる為には、少なくとも3ヶ月は貯金をする必要があります。 また保証金として、グループ税というものがあります。これはローン総額の5%をAMDAに納めるもので、5年後、無利子で返却されます。3ヶ月の準備期間の後、参加者はお金を借りることが出来ます。 その際には5人のメンバーの中で最初は2人が借りられ、2週間後に別の2人、最後の1人はもう2週間後というようになっています。貸し出しの金利は年10%。参加者は毎週ミーティング(集まり)に参加し、元金と利子を返済していきます。 私は、当時のバングラデシュのプロジェクトが開始から1年しか経っていないにも関わらず、このように効率的かつ厳格なルールに基づいた運営がなされていたことに大変驚き、深い感銘を受けました。

AMDAミャンマーも基本的には、このAMDAバングラデシュのやり方を踏襲しています。しかしいくつかの部分をミャンマーの国情に合うように変更しました。そのアイデアは、既にミャンマーで行われていた2つのNGOのプロジェクトを参考にしたものです。

まず、AMDAはデルタゾーンでプロジェクトを展開していたグラミンバンクに私を派遣しました。グラミンバンクではバングラデシュの本部の方法を、国情に合わせて修正していました。最も大きな変更点はグループ税という保証金を取っていないことです。 これはミャンマー人がとても正直で、きちんと返済するからという理由からです。ここの貸出金利は年20%。また貯金制度もあり、その利子は15%です。

次に私はPACTにも行ってみました。PACTもまたグラミンバンクを参考にしながら、修正を加えていました。グループ税はここでも取っていません。貸し出し金利は年22.5%。PACTでは、貯金の他に掛け捨ての生命保険を実施していました。 保険金は参加者やその親戚が災害で死亡した場合のみ支払われることになっています。その掛け金があるため貯金の利率は25%となっていました。

結局、AMDAミャンマーでは貸出金利は15%、預金金利は8%、グループ税は取らないことに決めました。利率はミャンマー中央銀行(国営)に合わせました。なぜならば、地域で突出した金利の提供を特徴とするよりも、金利はあくまで一般の銀行と同じにし、銀行から借りられない人に貸し出しを行うことを特徴にした方がより良いと考えたからです。 また5人のグループを5つから7つ作り、それを1センターとしています。参加者には、2週に1度のミーティングに参加し、元金の返済と利子を支払ってもらいます。

お菓子屋さんを始めたプログラムの参加者
お菓子屋さんを始めたプログラムの参加者
そしてAMDAミャンマーのマイクロファイナンスの特徴として、月に1度、返済のためのミーティングの際に、参加者に保健衛生セミナーを行うことがあげられます。内容はAMDAのスタッフが毎月テーマを決めて、5種類の病気や保健事例を選んで説明します。 その後、参加者から毎回発表者を選び、例えば下痢の発生原因と予防法についてなどをあらかじめ村の保健婦から知識を教わっておき、仲間に発表してもらいます。また、将来的には、このプログラムの利子収入によって、村々の保健医療施設の充実を図ることを目標としています。 このようにAMDAミャンマーでは、他のNGOのやり方を参考にしながら、マイクロファイナンスによる所得の向上に加えて、健康増進や教育普及を同時に推進しようというAMDA全体の理念(ABCコンセプト)を活かしたプロジェクトを実施しています。

現在、このプログラムには既に599人の参加者がいて、576人に実際にお金を貸しています。当初、我々スタッフはこのプロジェクトに参加しないかと、住民を声をかけて回らねばなりませんでした。しかし今では、状況はすっかり変わり、村人の方からうちの村でもやってくれとスタッフを誘うようになりました。 1年間で参加者の収入と生活水準は大きく改善されました。それだけでなく、病気の予防や対処法といった健康に対する知識も増えたことでしょう。私や他のスタッフ達はこれからも地域の人々のために全力で取り組みます。




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