ミャンマー

AMDAミャンマープロジェクト
21世紀の新たな挑戦(その1)


AMDAミャンマープロジェクト駐在代表 小林 哲也
AMDA Journal 2001年 3月号より掲載

 1995年に11月に吉岡医師が単身で赴任し、数多くの苦労と共に立ち上げたAMDAミャンマープロジェクト(以下AMDAミャンマー)の活動も、今年で7年目を迎えました。多くの困難に直面しながらも、ここまで何とか順調に活動を続けられたのは、ひとえに支援者の方々の熱意と暖かいサポートを頂けたからに他なりません。AMDAミャンマーを代表して、改めて心より御礼申し上げます。


 いよいよ世界は21世紀に入りました。新しい世紀を迎え、ミャンマーでのAMDAの活動は今後どうあるべきでしょうか? 私は「ミャンマー地域保健医療のモデル事業となり得るAMDAプロジェクトの実施」という方向性を、21世紀初めの目標として掲げたいと思っています。

 お陰様で過去6年間に渡る活動の実績が評価され、AMDAミャンマーは 2001年度から活動地域を拡大し、より多くの地域住民の方々に保健医療サービスを提供出来ることになりました。国際協力活動の評価は、その規模だけで量るべきものでは決してありませんが、やはり自分達の活動の成果が各方面に認められ、より必要とされることは大変嬉しいことです。

 しかし、活動の拡大を契機として、改めて認識しなければならないのは、 AMDAミャンマーのプロジェクトが未来永劫まで永遠に続く訳ではないということです。勿論、支援が必要とされる限り、私達は地域住民の方々のために働き続けたいと願っていますが、だからといって、それが何十年も続くという考えは非現実的ですし、地域の自立的発展を促すという見地からも、決して望ましいことではないでしょう。また、いくら活動を拡大するとはいえ、ミャンマー全土から見れば、受益者数はまだごく僅かに過ぎません。つまり、「期間と対象者が限られている中、限られた資金を用いて実施するプロジェクトについて、何を目標とするか?」という根本的な問い掛けに対し、我々は新しい世紀の初めに改めてもう一度、明確な答えを出す必要があるのではないでしょうか?

 この問い掛けの中で、私達の前に立ちはだかっているのは、実施期間、対象者、資金という3つの有限性です。この限界を超えなければ、プロジェクトの成果はどうしても部分的、限定的なものに止まってしまいます。そこで私は、@「直面する地域保健医療ニーズに最大限応えること」に加えて、A「現地当局自らが将来、AMDAの活動の手法を他の医療分野や地域等に応用出来ること」を前述した問い掛けに対する、AMDAの活動の基本目標にすべきではないかと考えています。

 これはミャンマー政府の政策決定にインパクトを与えるプロジェクト、つまり将来、政府が保健医療事業を実施する際、モデルとして取り入れるようなプロジェクトを実施するということです。そうすれば3つの有限性を超え、 AMDAの活動は将来、時間と空間を超えてミャンマー全土に広がることが可能になります。

 そしてそのために最も重要なのは、活動の「成果」をいかにして計測するか、つまりモニタリングをどのように行って、結果を目に見える形にするかということです。


 道路や橋などのインフラ基盤、いわゆるハードウェアと異なり、保健医療サービスの提供による受益とは、「健康」という目に見えにくいもの、物差しで測定しにくいものです。従ってどうしても評価が曖昧になりがちであり、「目の前にいる人々の状況が改善されている」ことで良しとする傾向があることは否めません。また支援している側にも「良いことをしているのは間違いないから、そこまで厳密な評価は必要ないだろう」、という甘えが、各自の意識の中に生まれがちです。

 しかしそれでは、活動の成果は全く示されていません。指標や統計をしっかり活用し、データ収集を的確に行って、成果を目に見える形で示すこと、そしてその成果を、時間的空間的な差を乗り越えて政策決定者が共有出来るような「情報」にまで高めることが、目標達成のためには必要だと思います。


 これは現在、別の側面からも同時に求められている課題です。それは私達が多くの支援者の方々から尊い浄財の信託を受け、時には日本政府からの財政支援という形で、国民の税金を使わせて頂きながらプロジェクトを実施しているからです。

 先日、ある新聞社が行なった世論調査では、長引く景気低迷を反映してか、「ODAは止めるか削減すべき」という意見が増加していました。目先の景気に左右され、国際協力を広げたり止めたりすることは、決して良いことではありません。しかしこうした世論が、徐々に国内に広がりつつあることは事実であり、私達が直視しなければならない問題です。国際協力を行う NGOの活動といえども、ただ漠然と「何らかの形で受益者が出ていれば良い」という考え方は、もはや通用しないでしょう。「これだけの資金を投入して、これだけの受益者を生み出し、結果としてこれだけの効果があった」ということをより明確に示す責任、いわゆるアカウンタビリティ(説明責任) が我々には求められています。


 では具体的にAMDAミャンマーは新しい世紀の初めに何をするのか? 大きく分けて、@地域母子保健医療の拠点形成、A僻地における住民の健康維持、B医療専門家の育成、C保健衛生知識の向上とその実践を可能にする所得創出、という4つの柱が中心となります。

 @はメッティーラ総合病院内に一昨年の11月に建てた子ども病院(小児病棟)を中心とした、母子保健医療体制の整備です。昨年末、同じ中部乾燥地域の他の都市で、総合病院や子ども病棟を見る機会を得ましたが、残念ながらその設備、医療内容とも非常に不完全なものでした。まだまだ課題は残されていますが、メッティーラ子ども病院は、地域レベルでは間違いなく第一級の医療サービスを誇れる施設です。こうした医療環境を少しずつ整備し、将来ミャンマー政府が地域医療の充実に本格的に乗り出した時、モデル事業として他の都市のお手本となれれば、活動は大成功だと考えます。そのためにも、日本からの医師や看護婦の派遣、医療器材の導入などにより、子ども病院における医療技術の向上や施設の充実を図り、その効果を客観的に示せるよう、今後も活動を継続していく必要があります。幸い昨年の夏から、日本の看護婦さん達が切れ目無く子ども病院で働いて下さっており、看護技術など着実に向上しつつあります。また母子保健医療の更なる充実のために、総合病院内に産婦人科病棟を建設する計画も、出来る限り早い時期に具体化したいと考えています。

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