ミャンマー

AMDAミャンマー
プロジェクトの歩み


AMDA Journal 2001年 3月号より掲載

■AMDAミャンマープロジェクト概要・設立背景
 ミャンマーのほぼ中央部にあるメッティーラ市近郊は、第二次世界大戦中に最も多くの日本人戦没者を出した地域の一つである。AMDAは、1995年11月に吉岡秀人医師を派遣し、AMDAミャンマープロジェクトとしての活動を開始した。その後96年12月には、外国のNGOとしては異例の早さでMOU(覚え書き)をミャンマーの保健省と交わし、活動開始から現在までに約16件のプロジェクトを展開。医療活動を中心に教育・社会開発の分野にまで活動領域を広げている。

 現在ではミャンマー政府(保健省)のみならず、日本の外務省、在ミャンマー日本大使館、JICAミャンマー事務所、UNDP、WHO、ABA(アジア仏教徒協会)、MIS(国際協力の会)、産経新聞明美ちゃん基金、ミャンマー子ども病院支援委員会など、多くの関係者と協力関係を築いている。現在の職員数は18名。その方針は(1)現地の文化の尊重、(2)現地の自立の支援、(3)相互の信頼関係の醸成であり、地元の持続的な発展のために、地域住民の参加を促しながら、共に活動を展開している。また2000年度より、活動を緊急救援活動分野にも拡大し、ASEAN地域で自然災害が発生した場合、ミャンマー人を含むASEAN地域の医師、看護婦、調整員で構成される「AMDA多国籍緊急救援チーム」をミャンマーから被災地へと派遣する方針を打ち出した。(2000年10月メコン川水害緊急救援のためカンボジア派遣実施)


■ミャンマー医療事情
 ミャンマーにおける乳児死亡率は、出生1,000に対し112という数字にも表されるように、東アジア・太平洋地域の45、開発途上国の90と比較しても、極めて高い(UNICEF「世界子供白書」1999/2000) 従って、ミャンマーにおける母子保健の改善は、保健行政にとって非常に重要な課題となっている。
 またミャンマー保健省は、第3次国家保健計画において、「地域保健ケアプログラム」を最優先している。1978年にWHOアルマ=アタ宣言で出された「Health for all by 2,000」を達成するために打ち出されたプライマリーヘルスケアーに対応し、地域の保健衛生環境を整備する必要性も高いと言える。

AMDAメッティーラ事務所
午後はAMDAクリニックとなり多くの患者が訪れます

■メッティーラ事情
 この地域では、住民の3分の2は市街地から遠く離れた村々に住み、農業によって生計を立てている。これらの農村に住む人々は、医療サービスを受ける機会が十分に与えられておらず、病気になったときは40km以上もの遠い道のりを、仕事を休んで病院まで通わなくてはならないことも多い。 そして病院で薬を買うためのお金や、病院に行くためのお金が足りないために、かなりの重症になってから慌てて病院に駆け込む人が大半である。特に苦しみや痛みを訴えられない小さな子どもは、手遅れになってしまうことも少なくない。

 これらの地区では毎日約4人の子どもが、そのほとんどは風邪や下痢をこじらせただけのことで、命を落としている。また、ミャンマー中央部乾燥地帯には、栄養欠乏及び不潔な水の摂取を原因とする下痢、視力低下、皮膚病といった病気が多い。これらは病気に対する抵抗力の弱い乳幼児を直撃する。そして保健衛生教育の不徹底やヘルスポストの未整備、インフラの未整備による非常時の移動の難しさ、水不足と井戸の未整備などがこれを助長している。

■AMDAミャンマープロジェクト
 AMDAミャンマープロジェクトでは、1997年より2年間、UNDPやWHOと提携し、ミャンマー中央部のメッティーラ市において、医療を軸とした包括的地域開発プロジェクトを実施した。その結果、約90,000人の住民が基礎的な疾病予防、保健衛生、栄養改善などの知識を身につけ、プロジェクトは健康促進に大きく貢献した。さらに日本大使館“草の根無償資金援助金”やJICA“開発福祉支援事業”によって、当初から展開していた無医村への巡回診療活動、AMDA診療所活動、栄養失調児への給食提供と母親への栄養教育活動を深化させ、多くの住民の健康状態が改善された。そして99年11月には「ミャンマー子ども院」が完成し、地域の母子保健医療活動の中核としての役割を果たしている。

■AMDAミャンマー メッティーラ事務所
 1996年7月より無医村における巡回診療活動を開始して以来、AMDAミャンマーにおける中心的なプロジェクト実施事務所として、現場業務を遂行している。 地元住民、地元NGO、地元保健省スタッフなどがヘルスポストとして気軽に立ち寄る場であり、AMDAスタッフはここから活動へと向う。 本事業においては、プロジェクト実施の中心的基地となると同時に、当地における他のプロジェクトも遂行する。
(2001年2月7日現在)



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