コソボ

診療所再建開所式に参加して
コソボの社会情勢と今後:5つのキーワードから


AMDA本部職員 植草 和則
AMDA Journal 2003年 2月号より掲載

2002年10月末から11月初旬にかけての3週間、コソボ地域医療再建プロジェクトにおいて再建した4ヶ所の診療所の開所式に出席した。 10数年におよぶ社会混乱により破壊されたうちの4ヶ所の医療施設の修復と医療器材の提供を行ない、現在は各々、現地医師3〜5名、看護師5〜10名のスタッフがローテーションで約1万人を対象とした24時間体制の一次医療(一部小規模な一次医療)を実施している。

コソボ自治州滞在中に見聞きしたことを5つのキーワードにまとめ、これらを通してコソボの現状と将来を考えたい。

レンガ色の街

コソボの至る所において赤茶色のレンガを目にした。これは、過去10数年に渡る社会混乱により破壊された多数の家屋や公共施設の修復並びに建設によるものである。

ある都市がどれほど活性化しているかの一つの目安として、建設現場の多少を挙げることができる。この観点からすると、建設ラッシュのコソボは今まさに生きているという感じがした。

一方、レンガを産出するためにあちらこちらで山が削られ、秋の紅葉の時期とは裏腹に、その無残な禿山が印象に残った。

また、当分の間は建設事業に関わる雇用は増大するであろうが、いずれ頭打ちになることが予想される。基幹産業の乏しいコソボにおいて将来の雇用の行方が不透明であることが懸念される。建設業が儲かるということで農業から退いたり、農地を建設用に転売している状況も心配である。

カフェと喫煙

町には大小多数のカフェがあり、くつろいでいる人々をよく見かけた。 AMDA事務所のあるプリズレンでは、川沿いの日当りの良いカフェが人気で有名観光地を思わせるほどであった。トルコやイタリア文化の影響からエスプレッソなどの濃いコーヒーが楽しまれていた。 また、カップを片手にタバコを吸う姿がごく一般に見られた。

各民族間の緊張や社会混乱などの一般的イメージからするとカフェは全く場違いのリゾートのように見えるが、実は、カフェの中にもコソボの現状が見え隠れしていた。カフェには失業している人々が集い、一杯のコーヒーを何時間もかけて啜っているということが多いようだった。 また、喫煙の習慣は若年層にまでおよび、街中で小学生からタバコをねだられたこともしばしばあった。喫煙の是非はともかく、若者が時間潰しに吸っている現実には考えさせられた。

廃棄物

コソボは周りを1500から2000m級の山々に囲まれ、大小の河川を懐に抱いている。

冬の寒さは厳しいけれども自然が豊かな土地と言える。しかし、一見美しい川も町中ではゴミ捨て場と化していたのには驚いた。町外れは言うまでもなく、山の中腹の村においても大量の廃棄物を目にした。

コソボに限らず、社会混乱が治まったばかりの状況では、まず自分達の生活を立て直すことが第一であり、ゴミのことなど構ってはいられないのは仕方がない。また、下水道設備も機能していないようで、診療所の一つがあるぺヤ市では、川に汚水を垂流していた。

復興に向けるコソボの将来の課題の一つが廃棄物処理と言えるであろう。

ろうそく

滞在中はほぼ毎日、数時間の計画停電があった。発電所が落雷により完全に機能していないのが原因であった。そのため、各商店や家庭ではろうそくや発電機を常備している。

個人的には、ろうそくの柔らかい炎に郷愁を感じるところもあったが、電力供給事情の乏しさは将来の基幹産業育成への課題となっている。

子ども達

コソボの将来を担う子ども達は、元気一杯だった。ある意味で田舎のコソボでは、子ども達は泥んこの道で遊び、石だらけのグラウンドでサッカーに夢中になっていた。コンピューターゲームをして家にいるというよりは、外で活動することが多いようだった。

スポーツは盛んなようで、たまたまプリズレン市の体育館では、テコンドーの地区大会が行われており、日本の柔道着を着ている子ども達に会った。

コソボでの教育はまだ校舎修復などハード面での課題が多いようだが、ソフト面としては英語教育の普及を挙げたいと思う。

以上、5つのキーワードからコソボの現状を見てきた。

暗い話題ばかりのように思われるかもしれないが、長年の社会混乱を経験してきたコソボの人々に対し、現状をきちんと把握したうえで、復興に向けてのエールを送ることが大切ではないかと考える次第である。

ペヤ診療所(before) ペヤ診療所(after)
ペヤ診療所(before) ペヤ診療所(after)
アルバナ診療所(before) アルバナ診療所(after)
アルバナ診療所(before) アルバナ診療所(after)
アルバナ診療所開所式
再建となった4ヶ所の内の1つアルバナ診療所開所式(2002年10月23日)
在ユーゴスラビア日本大使館岡本治男公使とクレジウ・プリズレン郡長によるテープカット
アルバナ診療所での診療風景 開所式に集まった子供達
アルバナ診療所での診療風景 開所式に集まった子供達




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