コソボ

わたしたちの希望の名はHoRP(ホープ)

AMDAコソボプロジェクト事務所駐在代表
濱田 祐子
AMDA Journal 2001年12月号より掲載



 新生コソボの新しいプロジェクト、その名前を「HoRP:ホープ」と決め ました。

 “Hospitals Rehabilitation  Programme in Kosovo”の略、日本語では 「AMDA -UNDP コソボ地域医療再建プログラム」です。


 わたしがコソボに赴任したのは、2000年の2月です。インターン先の ホンジュラスにAMDA本部からメールが届きました。「コソボ復興のために行ってもらえませんか?」「わたしでよければ。」そう返事をした後で、「コソボって大虐殺やNATOの空爆があった所ではないか。」と怖くなり、日本の家族に相談しました。「世界を見る良い機会だ。是非行って来なさい。バルカンには、人類が克 服しなければいけない課題が集中している。」という父の言葉に励まされ、返事をした2日後にホンジュラスを去り、帰国しました。AMDA本部で5日間の研修を終え、涙ながらに行ってきます」と家族に別れを告げ、春未だ遠いコソボに赴任しました。

 現在のコソボは国連の保護下で小康状態を保っています。しかし最近では今年9月の合衆国でのテロ事件の後、関係者がバルカンに潜んでいるのではないかとの憶測が流れ、またもや緊張がはしりました。大使館からは軍事施設には近づくなと警告がきています。


 わたしは赴任した当初から、ひとつの計画を持っていました。それは、紛争で荒れるがままの州内の診療所や病院を整備し、もっとたくさんの人が安心して病院にかかれるようにしたいという希望です。

 州内の医療施設は、窓ガラスが飛び散り、空調が壊れているという有様で、なんとかまともな診療施設も診療に必要な器材が持ち去られてしまったか、機械が古すぎて使用不能か、なんにもないという状態なのでした。

 そんな状態ですから、人々は少しでもましな医療施設に殺到します。医薬品はいつでも足りず、医師も看護職も手が足りないという慢性的な自転車操業が続いています。

 HoRPでは、このような窮乏状態を緩和するために、日本でいうと保健婦さんや看護職など医療従事者のトレーニングに重点がおかれています。基本をしっかり身につけた専門家を臨床の現場に送り出すことが不可欠と考え、人材育成を早急に進め、近い将来、地元の医療者自身が医療サービスを提供することを目指します。同時に、州内4ヵ所の診療所や病院の建設と設備改善にとりかかります。医療機関の数が増えれば、医療関係の人々の 雇用対策にもなり、とくに農村部の患者さんは自宅からより近いところで、 待ち時間も少なく診察が受けられます。

 ここで私たちがめざすのは、最先端の機械を用いた、電子的な治療技術の移殖ではなく、日常的に試みられる、人々の健康増進のための地域的な活動全般の定着です。

 このプロジェクトには、故小渕恵三首相が国連に提言した「人間の安全保障 基金」が提供されることになりました。

 「人々の健康増進のための地域活動」とは、医療施設の中で行われる治療行為だけでなく、地域の慣習や気候を加味し、世帯内で日常的に実施できる、 衛生管理や病人看護、病気の予防、年齢に適した健康管理なども含まれており、地域ぐるみ、家族ぐるみで取り組む健康づくりのためのくらしの改善プログラムといえます。これをプライマリーヘルスケア(PHC)といいますが、 バルカンではほとんど初めての試みです。PHCは医療従事者のトレーニングでも大きな比重を占めます。これら専門家がこれから、コソボ全体の健康管理の先頭にたつのです。

 この人材育成、医療環境整備の二本の柱をもつプロジェクトの名前が HoRPです。

 平和は、だれかによって一朝一夕にもたらされるものではありません。私たち自身が日々努力して築き上げるものです。

 HoRPは平和の実現とはあまり関係のないところで始まるように見えるかもしれません。けれども、衣食足りて礼節を知るといいますが、戦争のさなかで傷つけあうときにはだれも、心身の状態など思いわずらう余裕もなく、 明日への希望も描くことはないのです。

 私たちコソボプロジェクト事務所の願いは、このプロジェクトの開始によってコソボの医療状況が少しでも改められ、また、明日はもっとよくしようと人々が希望を描く、その助けとなることです。

 HoRPは近く開始されることになり、準備も大詰めを迎えました。今まで応援してくださった日本の皆さんにお礼を申し上げると共に、これからもご支援よろしくお願いします。




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