コソボ

ベオグラードにおける難民及び
国内避難民のための
「心に傷をうけた人のケアー」
プロジェクト


Milan Stojakovic
精神科医、AMDAスラプスカ共和国支部代表及び
プロジェクトマネージャー
Cvetana Crnobaric
精神科医、プロジェクト調整員
翻訳 藤井倭文子
AMDA Journal 2000年 4月号より掲載

心的外傷後ストレス障害(PTSD)
及びその他のストレス障害に苦しむコソボからの
難民及び国内避難民のための社会心理学的支援


情況の概要

 現在ユーゴスラビア連邦共和国には50万人を超える難民と約20万人の国内避難民がいると予測されている。彼等はユーゴスラビア連邦共和国の集合避難所、個人住宅、親戚、及び友人宅等で生活している。

  私達はベオグラード地域にある組織化された避難所にいる難民を定期的に訪れ面倒をみている。現場での評価によると、これらの避難所の生活環境は悪いところが多い。その殆どは収容能力の限られた労働者用の仮小屋やモーテルで、収容人数の3倍の人々で一杯である。(例えば、“ベオグラードペンション”は40人の収容人数に対し、現在124人の仮の住まいとなっている。)部屋不足のため非常に小さな部屋に通常5-8人が寝泊りしている。ベッド数の不足も問題のひとつである。

そのため多くの避難所では年齢や健康状態に関係なく、現在でも床の上で寝起きしている人々もいる。衛生設備は非常に粗末なものである。ムラデノバックにある1番大きい避難所(ナップレッドのキャンプ)では、乳幼児、子ども、若者、大人、老人、及び病人を含む180人に対し1つの風呂と4つのトイレしかない。

どの避難所にも台所設備はなく、難民や国内避難民は紛争による罪の無い被害者の苦しみに同情した数々のボランティアグループや非政府団体からの食料に完全に頼っている。被害者の大多数は生命の危機、心理的・肉体的暴力、家族の死、別離、全財産の損失、前の社会経済的地位からの急変、将来に対する不安、自信喪失等、様々な非常に激烈なストレスを体験をしている。どの難民も国内避難民も何等かのかた ちで心理的に傷ついている事は確かで、これらの傷が癒されるには長い時間がかかる。より傷ついた人々の中には深刻な精神的・肉体的な障害が現れ、彼等の健康が完治する事はまず難しいと思われる。

  難民は毎日の必要最小限の生活用品に関しても困窮している。暖房用燃料は人道援助機関からの寄付により散発的に入手している。以前住んでいた場所や家へ帰りたいと願う気持ちは非常に強く、常にその思いに駆られている。

活動報告

1999年12月28日(火)
  ベオグラードスタッフ会議の開始(1999年9月からのベオグラードプロジェクトの再開)。参加者はスタッフ全員。この会議で次期の計画や予定についてより具体的に討議された。

1999年12月29日(水)
  別のスタッフ会議。プロジェクトの主要目標についてより具体的に説明した。参加者はスタッフ全員:Milan Stojakovic医師、Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Mirela Stojakovic(Mrs.)、Dubravka Nikolovska 医師、及びMilan Crnobaric 医師とボランティア。

1999年12月30日(木)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdian Milovanovic医師及びMilan Stojakovic医師はNPK“Avala”避難所を訪れた。
目的(1) 以前の人口統計資料をチェックするため。 女性37人、男性38人、18歳以下の子ども54人で難民総数は129人である。女性グループの年齢層は22歳から70歳で、男性は21歳から83歳である。
目的(2) 以前のストレス経験やひどい生活環境により、何らかの障害が進行しているかもしれない弱者を選別するため。Dubravka Nikolovska 医師はオフイスに残った。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

1999年12月31日(金)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、及びMilan Crnobaric 医師がPTT“Kosmaj”避難所を訪問した。
目的(1) 以前の人口統計資料をチェックするため。女性17人、男性21人、18歳以下の子ども13人で難民総数は51人である。女性グループの年齢層は20歳から70歳で、男性は21歳から73歳である。
目的(2) 以前のストレス経験やひどい生活環境により、何らかの障害が進行しているかもしれない弱者を選別するため。Milan Crnobaric 医師はクリニックで診察した。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

2000年1月1日(土)2日(日) 休日

2000年1月3日(月)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Milan Stojakovic医師、及びDubravka Nikolovska医師はクリニックで女性8人、男性4人、計12人の患者を診察した。これらの患者は率直に自分の問題や希望について話す事ができたが、その内5人の女性に軽度から中度の抑鬱性症候群が認められた。

2000年1月4日(火)
Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Milan Crnobaric医師、及びMilan Stojakovic医師はムラデノバック“ナップレッド”避難所を訪問した。
目的(1) 以前の人口統計資料をチェックするため。女性38人、男性62人、18歳以下の子ども36人で難民総数は136人である。女性グループの年齢層は21歳から83歳で、男性は21歳から75歳である。
目的(2) 以前のストレス経験やひどい生活環境により、何らかの障害が進行しているかもしれない弱者を選別するため。Dubravka Nikolovska医師はクリニックで診察した。

2000年1月5日(水)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Milan Stojakovic医師は“ペンション・ベオグラード”避難所を訪問した。
目的(1) 以前の人口統計資料をチェックするため。女性33人、男性33人、18歳以下の子ども58人で難民総数は124人である。女性グループの年齢層は21歳から69歳で、男性は20歳から95歳である。
目的(2) 以前のストレス経験やひどい生活環境により、何らかの障害が進行しているかもしれない弱者を選別するため。Dubravka Nikolovska医師はクリニックで診察した。

2000年1月6日(木)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Milan Stojakovic医師、及びDubravka Nikolovska医師はクリニックで、女性10人、男性5人、計15人の患者を診察した。これらの患者は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができたが、その内6人の女性に軽度から中度の抑鬱性症候群、2人の男性に不安・鬱混在症候群が認められた。

2000年1月7日(金
 ユダヤ教正統派のクリスマススタッフ全員が難民センターでの中央クリスマス式典及び催しに参加した。

2000年1月8日(土)9日(日) 休日

2000年1月10日(月)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Milan Stojakovic医師、及びMilan Crnobaric 医師は最近認められたムラデノバックの避難所を訪問した。ジプシーの難民がそこに収容されている。このグループはコソボのあちこちの村から集まった村民達である。特殊な文化的背景や非常に悪い生活状態のために、私達は確かな人口統計資料を入手する事はできなかった。Dubravka Nikolovska医師はクリニックに残った。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

2000年1月11日(火)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Milan Stojakovic医師、及びMilan Crnobaric 医師はクリニックで、女性11人、男性7、計18人の患者を診察した。これらの患者は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができたが、その内4人の女性に軽度から中度の抑鬱性症候群、1人の男性に不安・鬱混在症候群が認められた。3人の男性にアルコール依存症も認められた。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

2000年1月12日(水)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Dubravka Nikolovska医師とMilan Stojakovic医師はムラデノバックのナプレッド避難所を訪問した。診察はいつもあらかじめ定められたグループ療法から始まり、避難所の全員が出席した。彼等は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。同時に、スタッフメンバーは最も治療が必要な人達を認識できた。実際に心理的問題(不安、怒り、恐怖感、興味不足、鬱傾向等)をもつ人を特定したあと、何らかの個別療法が行なわれた。私達は15人の患者を診察した(女性9人、男性6人)。私達は彼等にこの様な状況で個別の心理療法を行なうのは不可能なので、私達のクリニックを訪れるようすすめた。 Milan Crnobaric 医師はクリニックで診察した。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

2000年1月13日(木)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Milan Stojakovic医師とDubravka Nikolovska医師はクリニックで、女性6人、男性8人、計14人の患者を診察した。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。これらの患者は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。3人の女性と1人の男性に軽度、中度の抑鬱性症候群、及び2人の男性にアルコール依存症が認められた。

2000年1月14日(金)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Dubravka Nikolovska医師とMilan Stojakovic医師はNPK“Avala”避難所を訪問した。診察はいつもあらかじめ定められたグループ療法から始まり、避難所の全員が出席した。彼等は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。同時に、スタッフメンバーは最も治療が必要な人達を認識できた。実際に心理的問題(不安、怒り、恐怖感、興味不足、鬱傾向等)をもつ人を特定したあと、何らかの個別療法が行なわれた。私達は15人の患者を診察した(女性10人、男性5人)。私達は彼等にこの様な状況で個別の心理療法を行なうのは不可能なので、私達のクリニックを訪れるようすすめた。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。Milan Crnobaric 医師はクリニックに残った。

2000年1月15日(土)16日(日) 休日

2000年1月17日(月)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師とMilan Crnobaric 医師は新しく認められたゼムンにあるノバガレニカ避難所を訪問した。ここにはアルバニア系のジプシーが収容され、約200人がひどい生活状況の中で、日常必需品も無く生活している。いかにしてもこの様な状況のもとでは人口統計を集計することも、心理療法を行なうことも不可能であった。Dubravka Nikolovska医師はクリニックに残った。

2000年1月18日(火)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師とDubravka Nikolovska医師はクリニックで12人の患者を診察した(女性7人、男性5人)。これらの患者は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。4人の女性と2人の男性に軽度、中度の抑鬱性症候群、及び2人の男性に不安・鬱混在症候群が認められた。

2000年1月19日(水)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師とDubravka Nikolovska医師はペンションベオグラード避難所を訪問した。診察はいつもあらかじめ定められたグループ療法から始まり、避難所の全員が出席した。彼等は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。同時に、スタッフメンバーは最も治療が必要な人達を認識できた。実際に心理的問題(不安、怒り、恐怖感、興味不足、鬱傾向等)をもつ人を特定したあと、何らかの個別療法が行なわれた。私達は15人の患者を診察した(女性8人、男性7人)。私達は彼等にこの様な状況で個別の心理療法を行なうのは不可能なので、私達のクリニッックを訪れるようすすめた。Milan Crnobaric 医師はクリニックに残った。

2000年1月20日(木)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師とDubravka Nikolovska医師はクリニックで10人の患者を診察した(女性6人、男性4人)。これらの患者は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。私達は2人の女性と2人の男性に軽度、中度の抑鬱性症候群、及び1人の男性に不安・鬱混在症候群を認めた。

2000年1月21日(金)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Dubravka Nikolovska医師とMilan Crnobaric 医師はクリニックで14人の患者を診察した(女性5人、男性9人)。 これらの患者は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。3人の女性と1人の男性に軽度、中度の抑鬱性症候群、及び2人の男性に不安・鬱混在症候群、1人の男性患者にアルコール依存症が認められた。

2000年1月22日(土)23日(日) 休日

2000年1月24日(月)25日(火)   ベオグラード:吹雪

2000年1月26日(水)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Dubravka Nikolovska医師とMilan Stojakovic医師はクリニックで16人の患者を診察した(女性8人、男性8人)。これらの患者は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。2人の女性と1人の男性に軽度、中度の抑鬱性症候群、及び3人の女性と1人の男性に不安・鬱混在症候群が認められた。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

2000年1月27日(木)
 Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Dubravka Nikolovska医師とMilan Stojakovic医師はクリニックで14人の患者を診察した(女性5人、男性9人)。これらの患者は率直に自分の問題や希望及びニーズについて話す事ができた。3人の女性と1人の男性に軽度、中度の抑鬱性症候群、2人の男性に不安・鬱混在症候群、1人の男性にアルコール依存症が認められた。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

2000年1月28日(金)
 私達は新しい避難所“ピンキ”について耳にしたので、情報収集を始めた。その後、Cvetana Crnobaric医師、Srdjan Milovanovic医師、Milan Stojakovic医師、Milan Crnobaric医師はクリニックで13人の患者を診察した(女性7人、男性6人)。2人の女性に軽度、中度の抑鬱性症候群、3人の男性に不安・鬱混在症候群、1人の男性にアルコール依存症が認められた。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

2000年1月29日(土)30日(日) 休日

2000年1月31日(月)
 ベオグラードスタッフ会議。メンバーの全員が出席した。前月の反省とプロジェクトの今後について討議した。Mirela Stojakovic女史が難民と避難民のために無料で法律相談を行なった。

2000年3月末までの予定

1. 難民キャンプへの定期訪問(各精神科医につき、月々8〜12回)、教育活動、及び調査をする。   以前のストレス経験やひどい生活環境により、何らかの障害が進行しているかもしれない弱者を選別する。   難民と国内避難民、特に子ども、妊婦、老人等の弱者グループのために作業療法を含むリハビリ及び医療支援をする。   AMDAスタッフ、すなわち、この分野に十分な経験のある医療専門家、医師による支援をする。   ファースト・エイド:その場での支援と治療を提供する。また、他の種類の支援に関する情報も提供する。   水系感染による疾患や伝染病を防ぐために飲料水の品質検査等、キャンプ内の衛生状況の定期的な調査をする。

2. クリニックで精神科医やセミプロのボランティアによる心理療法を提供する。

3. 公衆衛生や病気予防に関する講座や相談、集合宿泊設備等の緊急時における生活、精神的・肉体的諸問題に関する専門家による講義等を提供する。

4. 最新情報に基づき新しい避難所を見つける。人口統計調査や情況分析をする。

5. 難民を支援するために1人の弁護士を含む法律相談を提供する。

今後の計画

1. 基本的な救援支援を超えて私達の活動を拡大する。たとえば、最も弱い立場にいる人達の自立支援を助けるために、編物、織物、小さな修理やその他の同様なワークショップを開き技術訓練を行なったり、教育を目的とした外出を企画する。

2. ストレスの解消法、くつろぎ方、グループ心理療法、音楽療法、戦争によるストレスに対処するための一般的な方法等を指導する。




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