ケニア

AMDA DAY on 2001年9月30日
〜AMDAドリーム・プログラムの開始〜


AMDAケニア事務所 駐在代表 横森 健治
AMDA Journal 2001年 12月号より掲載

はじめに

 本年1月に赴任以来、妻の佳世とわたしは、いくつかの進行中のプロジェクト を2つの大きなプログラムにまとめてきました。そして、それらを「保健医療 プログラム」と「AMDAドリーム・プログラム」と名づけました。保健医療プログラムは、わたしたちが新たに立ち上げたプログラムです。6月 よりナイロビ市のキベラ・スラムにある診療所と提携し、一般診療活動、保健 衛生改善プロジェクトを展開しており、エイズ予防プロジェクトを 2002年2月か ら開始する予定です。 AMDAドリーム・プログラムは、菅波理事長が考案した新しい発想の青年育成プ ログラムです。これを推進するにあたり、その節目ごとにケニアの人びとを招 待し、その成果と問題をともに確認しようという意味で、半年ごとに「AMDA DAY」を開催することにしました。本稿では、本年9月30日に開催された第1回「AMDA DAY」について報告します。

AMDAドリーム・プログラム

 では、「AMDAドリーム・プログラム」とはどんなプログラムでしょうか。そ れは、キベラ・スラムに住む若者に夢を与えようというもので、青年育成をね らいとしています。しかし、従来の「青年育成プログラム」と「AMDAドリー ム・プログラム」とは違います。これまで国連機関・政府系援助機関・NGOが実 施した青年育成プログラムでは、識字教育・職業訓練といった能力向上や、小 規模融資などの機会獲得のための支援がほとんどでした。AMDAは、これら能 力・機会に加え、動機に注目します。

 能力があり、機会に恵まれても、たとえば事業を推進する動機が欠けていて は、成功しないでしょう。特に若者たちは、動機の持ち方次第で大きく変化します。何かを成し遂げようとする力、それが動機だとすると、それは、Open、Challenge、Cooperationという三 つの要素を備えた環境によって育まれるのではないでしょうか。これを、わた したちはその頭文字を取ってOCC(オック)精神と呼びます。Open とは誰に対し ても開放的で友好的な態度であり、相手を受け入れ、自分からも他者に積極的 に働きかける心です。Challengeとは、失敗を恐れず、積極的に挑戦する精神で す。Cooperationとは、助け合いによって、障害を乗り越えようとする態度で す。

 このOCC精神を育むため、スポーツ・芸術・芸能などを従来の青年育成プログ ラムに付け加えたものが、「AMDAドリーム・プログラム」です。具体的には、 次の三つのプロジェクトから構成されています。


職業訓練プロジェクト(縫製・木工訓練、小規模融資)保健教育プロジェクト(保健教育、クリーンアップキャンペーン) AMDAクラブ(音楽クラブ、サッカークラブ)


 こうした構想のもと、約半年間、上記プロジェクトに着手し、ある程度軌道 に乗ってきたと判断しましたので、第1回「AMDA DAY」を開催しました。場所 は、縫製・木工訓練センターのある県役場でした。

参加者

 アフリカ時間といわれるほど時間に遅れがちなケニア人たちは、やはり、当 日なかなか集まりませんでした。主役の卒業生たちさえ開始予定の9:00 にそろ っていなかったので、ヒヤヒヤしました。それでも卒業証明書の威力は大き く、1時間遅れの10:00から、開会式が始まりました。

 ケニア政府から地区事務官とその部下のチーフを呼んでいたのですが、2 人と も現れず、来賓あいさつは、JICAケニア事務所の仁田次長に急遽お願いしまし た。

 他の日本人の参加者は、NGO関係者、青年海外協力隊員、商社駐在員、そして 2名のAMDAスタディーツアー参加者でした。「AMDA DAY」は、当初参加者4名の このスタディーツアーの日程に合わせて日取りを決めたのですが、アメリカの 同時多発テロ事件の影響を受けて、2名に減ってしまったのです。そんな状況に もかかわらず参加したのは、わたしの母と妻の母でした。

スタッフ紹介

 AMDAエッセイコンテストの後、会場を外に移しました。サッカー・リフティ ング・コンテスト、人形劇、AMDA音楽クラブといった視覚に訴えるプログラム が始まると、通行人が会場にどんどん入り、300人以上の観衆となりました。

縫製訓練と木工訓練の卒業式および卒業製作発表会

 10時半からの卒業式にはほぼすべての訓練生が集合しました。縫製指導員の フィビーと木工指導員のフレッドがそれぞれの言葉を訓練生に送り、訓練生代 表がお礼の言葉を返しました。 縫製訓練は、9ヶ月間。卒業できたのは44名中25人でした。今回が第5期目で す。毎日、朝10時から12時半までみんなまじめに出席しました。これまでの訓練では縫製訓練と保健教育に加 え、事業経営の講習が含まれており、訓練後に小規模融資の機会が訓練生に与 えられたのですが、今期からは縫製訓練と保健教育に特化しました。これまで の実績から、小規模融資と事業経営講習を受けても、訓練終了後すぐに事業を 開始することが難しいと判断したためです。

 木工訓練は、今回から開始したものです。訓練生ははじめ8名でしたが、卒 業できたのは5名でした。こちらは、毎朝10時から12時。指導員も訓練生も手 探りの授業でした。訓練期間は6ヶ月。訓練後に、小規模木工工場に6ヶ月間弟 子入りできる制度を整えたのですが、訓練生の誰一人これには応じませんでし た。木工訓練はさらに仕組みを改良する必要があります。

 卒業証明書がすべての卒業生に手渡された後、今度は、卒業製作発表会とな りました。
この企画は今回の卒業式から始まりました。

 縫製訓練生は自分が縫った子供服を見せながら、どんな点に苦心したのかと か、どのくらい時間がかかったとか、自分なりの感想を述べました。縫製の優 秀賞は投票審査の結果キャロライン・オシタが受賞し、賞状と賞品のハサミを 受け取りました。

 木工訓練生のルビアが椅子づくりの様子を語ってくれました。彼は最年長で あり、家族を持っています。いつも男性訓練生の先頭にたち、木工訓練とクリ ーンアップキャンペーンで活躍しました。惜しくも優秀賞受賞は逃し、賞状と 賞品の金槌はサムソン・ボヤの手に渡りました。

木工クラスの生徒一人ひとりが作品についてユーモアを交えて語った

 訓練生たちによる自作の歌詞による歌と踊りも披露され、代表者がリズムに 乗ってAMDAスタッフたちに握手をして回り、楽しいひと時となりました。

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