ケニア

エイズ予防プロジェクト
─ナイロビ・キベラスラム─


John N. Nderitu, プロジェクトマネージャー
AMDAインターナショナル・ケニア
翻訳 藤井倭文子
AMDA Journal 2001年 10月号より掲載

 エイズは予想をはるかに超えて蔓延している。世界中で3,400万の人々がエイズウイルスに感染しており、その内、3分の1は10歳から24歳の若年層でしめられている。(世界銀行2000年) ケニアでは最初の事例が約18年前に報告されて以来、その流行には非常に悩まされている。


 1999年末におけるエイズ感染者の生存数は210万人にのぼり、これには成人と子供も含まれている。(国連エイズ計画2000年) 

 この調査によると、1999年にエイズを原因として死亡した成人と子供の数は18万人で1日平均500人が命を失っている事になる。現在、220万のケニア人がエイズウイルスに感染しており、毎日700人がエイズ関連症状で死亡している。


 これらの恐るべき数字を目前にして、ケニア政府は教会や市民グループ等と協力して、ウィルスの蔓延を抑制するために様々な支援プログラムを企画した。


 AMDAインターナショナル・ケニアもこの問題の重大さに気づきエイズ撲滅のために協力したいと考えている。AMDAはキベラスラムで様々なプロジェクトを実施しており、2001年6月1日にキベラ・マシモニ地区のフレパルス地域看護施設と協力関係を結び、AMDAフレパルス診療所がスタートした。この診療所を基盤としてエイズ予防プロジェクトが展開される。

下記の医療サービスが、キベラの住民のために、安価な治療費で提供されている。

 1. 一般内科治療
 2. 出産
 3. 小児治療
 4. 性感染症
 5. 1歳以下の乳幼児の予防接種


 上記以外にも、診療所では自発的なカウンセリングや検査(VoluntaryCounseling and Testing:VCT)も行う予定である。これがエイズ予防プロジェクトである。


自発的なカウンセリング及び検査(VCT)

 VCTは定義上、患者自らの意思により実施される。これには検査前のカウンセリング、HIV抗体検査、検査後のカウンセリング、及び任意の事後カウンセリングが含まれている。これは様々な理由のために個人の血清状態を知るために各自が任意に決心しなければいけない事である。


 1997年12月に発行された国連エイズ計画報告書によると、3千万人のエイズ感染者の内、僅か1割の人しか自分の感染を自覚していない。感染初期の症状は現れないために、感染率を非常に高くしている。これはキベラの現状にあてはまる。多くの人々が感染しているにもかかわらず、各自の認識不足のために無防備で性交渉を続ける結果が、ウイルスの蔓延を生じている。


 エイズの蔓延に対し人々をすばやく対応させるために、個人個人がエイズに感染しているか否かという知識を持つ事が大変重要になってきた。各自のHIV感染の有無の知識は下記の予防及び指導と完全ではないが非常に密接につながっている。


○母親から子供への伝染を防ぐために、AZT等の抗レトロウイルス性薬剤の使用。
○母親から子供への伝染を防ぐために、授乳をさける。
○日和見感染(特に結核症)の予防法を使う。
○HIV感染者を調べ、治療をすすめ、社会的支援、増収のための活動、現在進行中のカウンセリング、孤児の保護、法的支援、日和見感染及び在宅ケア等の臨床管理の支援をする。


 AMDAは上記に述べた幾つかの支援をキベラ地域にて提供する予定である。


 その上、VCTは下記の面において上向きな効果を見せている。


○コンドームの使用、性交渉を持つパートナー数の減少等の性的行動の変化。
○妊娠する事への意思決定。
○妊娠中絶に関する決意。
○結婚に関する決意。
○最近HIVに感染して観察期間中かも知れない人が献血するか否かの決意。


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