ホンジュラス

ホンジュラス活動報告

AMDAホンジュラス 渡辺 咲子
AMDA Journal 2005年10月号より掲載


学校での青少年育成教育 学校でエイズ予防教育

公園に近いホンジュラス事務所は9月が近づくと、独立記念日のパレードに備え、太鼓やトラン ペットのにぎやかな音楽が聞こえてきます。事務所内は、マーチングバンドのにぎやかな音楽 に負けず、スタッフの声があふれるようになりました。一昨年まで、調整員の私と、現地スタッ フ2名で事業を進めてきましたが、昨年からは現地スタッフの数が増え、現在11名になりました。

青少年育成・エイズ予防教育

2001年から継続している青少年育成・エイズ予防教育は、学校生徒だけでなく、ヘルスボランテ ィア、保健所、学校教師等多くの人たちが参加しています。現在の活動の中心となっている首都 テグシガルパ市のサンミゲール地区では、最初にエイズ予防教育を受けた当時小学6年生だった 児童が、中学 3年生になり、中にはリーダーとしてNGOで活動をしている生徒もいます。街中で 「サキ(私)」、「エメルソン(スタッフ)」と呼びかけられることもあり、声変わりして見違 えるように大きくなった彼らの姿を見ると、自分の子供の成長を見ているようで、うれしくなり ます。

青少年週間のエイズ予防キャンペーン 世界エイズデーのエイズ予防キャンペーン

首都テグシガルパ市の小中学校で、青少年育成・エイズ予防教育を継続して行っています。青少 年育成教育、「行動変容のためのコミュニケーション(BCC)」に焦点を当て、若者に向けた生 殖に関する知識、人格形成、人間関係と感情、セクシュアリティー、コミュニケーション、ジェ ンダーの問題、より安全な性行動(禁欲、初めての性体験の時期を遅らせること、パートナー制 限などを含む)、妊娠と HIVを含む性感染症(STI)の予防といったテーマを含んでいます。こ れらのテーマを、10歳から14歳対象、15歳から19歳対象に、年齢に合わせた教材を作成し、合計 5日間でワークショップを行っています。特により安全な性行動については、低年齢層のグルー プに、人生設計を立ててもらい、その目的のために、何をしなくてはならないか、妊娠をしたら (させたら)どのような問題が生じるかを考えてもらい、禁欲、初めての性体験の時期を遅らせ ることを中心にテーマを進め、コンドームの使用や、避妊についてのコメントは最小限に留める よう配慮されています。

エイズ予防や、性教育は、いつも歓迎されるとは限りません。学校で青少年育成教育を開始した 当初、ある教師から、「AMDAは生徒たちの性行動を刺激している」と言われました。しかし私は 、性教育が生徒の性に対する欲求を刺激したり、性行動の開始を早めたりするとは考えていませ ん。それよりも、生徒たちが性についてきちんと考えることで、自分を大切にする、つまり、セ クシュアリティーを理解し、望まない妊娠や性感染症から自分たちを守ることにつながると考え ています。

この経験を機に、学校での青少年教育は、教師対象のワークショップを最初に行うことにしまし た。教師対象のワークショップでは、自分たちの思春期を思い出し、現在の思春期の若者と比べ ることから始まります。実際にワークショップをしていると、教師であっても、エイズ、避妊、 生殖器の役割等、知識が乏しいことが分かりました。教師対象ワークショップで教師の青少年教 育に対する関心をしっかりとつかみ、生徒の授業に取り掛かると、学校教師と AMDAスタッフのコ ミュニケーションも良好となり、なかには 教師のストライキ中にも、学校を開放して授業を続行 させてくれたり、 AMDAスタッフのために、生徒用の給食(おやつ)まで用意していただいたりし ました。

休暇中の学校生徒、就学していない青少年を対象にワークショップを行いました。会場は地元の 教会を借り、近所の商店や学校の壁に張り紙をし、参加者を募りました。
 従来の学校で行うワークショップとは違い、初日には、どのくらいの参加者になるか想像でき ず、誰も参加しなかったらどうしようかと、スタッフと心配しながら会場に向かいましたが、会 場には張り紙を見てきた若者や、教会の牧師さんに誘われてきた若者が私たちを待っていて、中 には、その父兄も一緒に参加するワークショップもありました。このワークショップでは、5日 間でエイズ予防教育に限らず、若者がより健康的な行動がとれるように、人格形成、人間関係と 感情、コミュニケーション、セクシュアリティーと生殖をテーマに取り入れた青少年育成教育を 実施しました。このワークショップでは若者の積極的な参加があり、毎回のようにスタッフは質 問攻めにあっていました。若者たちは、性に関する疑問を、両親や学校の先生には聞きにくく、 年上の兄弟、友人に解決の糸口を求めます。しかし、その人たちが確かな、もしくは十分な知識 を持っているとは限らず、間違った知識、情報を伝えるケースも多く見られます。質問の中には 、「生理中はシャワーを浴びてはいけない、レモン、アボガドは食べてはいけない」、「性行為 の後、すぐにトイレに行くと妊娠しない」「妊娠させたくないときには、性行為の前にピルを飲 む(男性)」というのもありました。彼らは、信頼の置ける友人や兄弟に相談し、このような応 答をされると、それを容易に信じてしまいます。コミュニティでのこのようなワークショップは 、若者が新しい知識を得るだけではなく、彼らの疑問を解決する機会にもなりました。

ワークショップの最終日に多くの若者がAMDAの活動に興味を示し、自分たちでもエイズ予防教育 をしたいと言う若者が見られました。現在では、このような若者を毎月一度集め、彼らがエイズ 予防教育を行うことができるように、青少年リーダー研修会を行っています。この研修会は「Jo venes Salvando Jovenes」(若者が若者を救う)とスローガンを立てました。すでに一部のボラン ティアは中高校でエイズ予防教育を行い、小学校での青少年教育にアシスタントとして参加して います。

エイズ予防キャンペーン

毎年12月1日は世界エイズデーとして、様々なイベントが各地で行われています。AMDAホンジュ ラスでも、毎年エイズ予防キャンペーンを開催しています。昨年12月は4日間、サンミゲール・ ヘルスセンターと協力し、エイズ予防キャンペーンを実施しました。同ヘルスセンターの職員・ ヘルスボランティアと共に、エイズ予防のメッセージの入ったTシャツを着て、ヘルスセンター 前の路上で、10,000冊のエイズ予防についてのパンフレットを配布し、診察待合室では、エイズ 予防トーク、ビデオ上映、さらに、270人に対して性感染症の検査・診療を行い、46名に対してH IV検査、および50名に対してHIV/エイズカウンセリングも行いました。このキャンペーンでは、 美容専門学校生がボランティアとして参加し、住民の希望者120名に対して散髪サービスを提供 し、警察官が道路規制をするなど、地元住民の協力を受けることができました。

3月のホンジュラス青少年週間(2005年3月14日から3月19日)では、エイズ予防をテーマに、絵画 、作文、ポエムコンクールを行い、小学生の部はサンミゲール地区内の小学校から各校優良作品3 作品を、青少年週間最終日に、最終審査後優勝者を発表し、中学の部では、青少年週間中に3校 内で、予選を行い、小学生の部同様、最終審査を行いました。優秀作品は、エイズ予防教育の小 冊子内に載せ、サンミゲール地区内の学校に配布しました。

性感染症患者の治療支援

サンミゲール・ヘルスセンター内の青少年専用診療室において、性感染症治療薬などの医療品の 提供を行っています。性感染症治療薬は高価であり、保健省からヘルスセンターへの供与が非常 に限られており、受診者は性感染症と診断されても治療薬の購入が困難であるため、治療できな い、あるいは、治療期間を短縮してしまい、薬品に対する耐性を作ってしまうといった問題が生 じています。こうした状況に鑑み、同診療室で適切な性感染治療が行えるよう、検査薬と治療薬 を提供しています。

サンミゲール・ヘルスセンター所長 サンミゲール・ヘルスセンター内
フェリシモ・AMDA図書館を利用する生徒達
フェリシモ/AMDA図書室設置

同診療室を訪れる患者にリプロダクティブへルスの情報を提供するために、フェリシモ地球の村 基金のご支援のもと、待合室に図書コーナーを設置しました。受診者は、性感染症や若年妊娠の 問題を抱える人が多く、情報が少ないこの国では、診療を待つ時間を利用して、知識を深めるこ とで、予防や治療を進めるのに効果的であり、さらに、サンミゲール地区の学校生徒が、学校の 宿題、研究のためにこの図書室を利用しています。
 こうした青少年育成・エイズ予防教育に関する活動は、国際ボランティア貯金、フェリシモ地 球村の基金、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(UNDP:国連開発計画)、AMDA鎌倉クラブの ご支援等のもと実施されています。

トロヘス伝統的産婆(助産師)
育成と妊娠適齢期女性教育

コミュニティ薬局を運営しているニカラグア国境地域トロヘス市で新しい事業を開始しました。 トロヘス市はエルパライソ県内でも妊産婦死亡率、若年妊娠率の高い地域です。トロヘス市内に は、保健省の母子クリニックが設置されていますが、実際には、出産は各家庭で行われることが 多く、地域的にアクセスが悪く、貧困層の多いトロヘスでは、この施設を利用するのはトロヘス 中心部の住民とその周辺の住民に限られています。そこで、在ホンジュラス日本国大使館草の根 ・人間の安全保障無償資金協力のご支援のもと、今年4月から妊娠適齢期の女性対象に、妊娠、 ハイリスク妊娠、避妊法についてのワークショップ、伝統的産婆の育成、妊婦早期発見のための 妊娠検査(コミュニティ薬局に設置)、妊婦検診のための紹介システムの構築を行っています。

伝統的産婆の育成

ワークショップは20村で女性を対象に計画をしていましたが、この事業の説明のためにヘルスボ ランティアとの会合に行った際に、意外にも男性ボランティアから、「若い女性を妊娠させるの は、男だから、彼らに避妊方法を教えることも大切だ。」という意見が出てきました。このボラ ンティアは、最近18歳になる娘が妊娠し、家を出たものの、出産後、男性の協力が受けられず、 家に戻ってきたと言いました。この意見に対し、多くのボランティアも賛成したため、各村での ワークショップは、男性用、女性用と二つのワークショップを同時進行することになりました。

ワークショップの宣伝、村民を集めるのはボランティアの役割、会場では AMDA医師スタッフに よる妊婦検診、ワークショップとあわただしく進められていきます。このワークショップをはじ めて、男性の多くが避妊について感心があるものの、その選択は、女性に任せているケースが多 いことが分かりました。コンドームについては、着けたくないという意見が圧倒的ですが、実際 に使ったことがある男性はきわめて少なく、実際に使用したくないと言っている男性でも、その 装着方法を知らないということが分かりました。女性は、避妊法について、注射を使用している 人が大部分ですが、保健所の在庫がない場合は、保健所に避妊薬が来るまで待っているという人 に多く会いました。確かに注射当日に保健所へ行き、注射がない場合は、街の薬局まで買いに行 かなくてはいけないのですが、保健所まで2〜3時間かけてたどり着き、そこで在庫がない場合、 さらに2〜3時間かけて、街に出て行くことは難しいことです。このような経験をもとに、ボラン ティアに家族計画、避妊方法についてのワークショップを行いました。このワークショップでは 、家族計画カウンセラーとして、村内で家族計画指導ができ、コミュニティ薬局で避妊薬の販売 も行うことになりました。また、コミュニティ薬局では妊娠検査も行っています。若い女性が、 おじさんボランティアのところへ妊娠検査に来るものだろうかと少々心配していましたが、無料 で検査ができるとあって、導入後5人の妊婦を保健所へ紹介することができました。

各村のワークショップとともに、伝統的産婆の育成も行っています。ホンジュラスでは、まだま だ医療施設での出産は少なく、特に僻地の農村では、出産は伝統的産婆の手に任されています。 伝統的産婆による出産は、保健省も認めていますが、すべての産婆が教育を受けているとは限り ません。このことから、伝統的産婆の育成を開始し、16名の新しい伝統的産婆に、5日間のワー クショップを開催、その後、毎月ミーティングを持ち継続的に伝統的産婆教育を行っています。




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