ホンジュラス

AMDAホンジュラスプロジェクト

AMDAホンジュラス 渡辺 咲子
AMDA Journal 2003年 6月号より掲載

青少年育成プログラム

首都テグシガルパ市内の低所得者居住地内にある、2つの小中一貫校6、9年生を対象、昨年7月から5ヶ月間に渡り、ホンジュラス保健省メトロポリス保健所、青少年課製作の青少年育成プログラムを行いました。

    テーマ            目 的
1.ホンジュラス青少年の状況2.グループ形成ホンジュラス青少年の実態を知る。プログラム開始にあたり、この授業のルールを決め、グループを作る。
自己意識自分とは。現在何ができるか考える。
コミュニケーション青少年と両親との交流を考える。
家族、母親(父親)になるとは家族の役割を見つめる。
思春期とは思春期に起こる精神的、肉体的変化を知る。
性とは、思春期の変化を知る。
自己実現将来の展望。
性感染症予防性感染症とその予防。

このプログラムでは、単に性教育、リプロダクティブヘルス教育に留まらず、自己実現のために必要な、個人の可能性、男女平等、精神の発達の必要性を工作、ゲームを取り入れ展開しました。

そして、各プログラム終了時に感想や意見を記入してもらい、プログラムの評価を行いました。その中で多かった意見は、「プログラムは学校授業では受けられないもの、近い将来の自分のためになる問題が起きた時、このプログラムのことを思い出したい」といった内容が多く見られました。この感想文は、プログラムが進むにつれ、相談事や家族や恋人との問題を書く生徒もおり、毎回生徒達が書くあまり綺麗とはいえないスペイン語を読むのが楽しみでした。時にはスタッフのカルメンと、生徒の置かれている現状に涙を流しながら読むこともありました。

青少年育成プログラムの評価は、個人の成長の中で、どのような変化をもたらしたかが重要になってきますが、このような短期の事業ではその効果が見えにくいため、評価は、各プログラム終了時の感想に基づいて行いました。その結果、生徒の反応は良く、中にはこの授業があるから学校にきたという生徒もいました。生徒が個人の可能性を知り、自分の欲求に根ざした目標をもち、それを実現していくために、自分の価値観に基づいて行動できる案内の役割を果たしたと考えています。

また、青少年の積極的な社会への参加を推進するため、エイズキャンペーン、エイズ予防行進を実行。青少年育成プログラム対象校以外の学校にも呼びかけています。

エイズ予防キャンペーンは12月1日の世界エイズデイと3月のホンジュラス青少年エイズ予防週間最終日に路上キャンペーンを行い、Ramon Montoya Cerrato小中一貫校、 Principe de Asturias Philippe Borbon 小中一貫校を管轄する2箇所のヘルスセンターと協力し、エイズ予防キャンペーンではヘルスセンター職員と学生達が共にパンフレットの配布を行い、エイズ予防啓発活動に参加しました。

エイズ予防行進
エイズ予防行進

ホンジュラス青少年エイズ予防週間は3月第3週に決められており、 Ramon Montoya Cerrato小中一貫校、サンミゲールヘルスセンターとの呼びかけでエイズ予防行進を行いました。行進の先頭には、ヘルスセンター職員の自家用車に宣伝用マイク、スピーカーを搭載し、その後をエイズ予防の看板を持った生徒が行進を行いました。

Principe de Asturias Phelippe Borbon小中一貫校では、青少年エイズ予防週間を記念し、学年対抗サッカー大会を開催しました。Principe de Asturias Phelippe Borbon小中一貫校、小学部は前日から始まった教師のストライキで中止になってしまいましたが、中学部ではグループ対抗戦を行いました。サッカーはホンジュラスでは子供たちに一番人気のスポーツであり、どの学年の生徒達も大いに盛り上がりました。また、このサッカー大会に並行し、エイズ予防講習も開催。ビデオによる視覚教材を活用し、エイズ感染経路とその予防法を学び、エイズクイズで生徒のエイズ知識の評価を行いました。

エイズ感染予防啓蒙活動の一環として、青少年エイズ予防週間には、青少年が好んで聞くラジオ局に、エイズ予防メッセージを流しました。このラジオアナウンスは青少年エイズ予防週間4日前から1週間行いました。 Principe de Asturias Phelippe Borbon小中一貫校のスポーツ大会では、ラジオアナウンスを聞いたという生徒達や、もう一度AMDAの授業を受けたいと言う生徒がいました。

コミュニティー薬局

AMDAでは首都のテグシガルパとニカラグア国境山岳農村地帯のトロヘスでコミュニティー薬局の運営を支援しています。コミュニティー薬局とは、ヘルスボランティアがコミュニティー薬局運営のための教育を受け、医薬品を低価格で販売するものです。医薬品をAMDAが一括して薬品会社から大量購入することで、単価を下げ、購入時と同価格でヘルスボランティアに販売し、低価格で医薬品を住民に提供することができるシステムを作っています。AMDAの調査では、AMDAコミュニティー薬局は市価の 1/3〜1/4の値段で住民に一般の薬局と同じ薬品を提供することができています。テグシガルパには低所得者居住区ラモン・アマヤ・アマドール地区とモンテ・デ・ベンディシオンの2箇所にコミュニティー薬局を設置し、昨年 6月から今年3月までに、1308人の住民がこの薬局を利用しました。利用者は同地区住民に限らず、他の地域住民も利用しています。

トロヘスでは、2001年11月からトロヘス市内11コミュニティーで薬局が運営されていましたが、今年2月に5コミュニティーのヘルスボランティアに薬局運営セミナーを行い、3月から運営が開始され、現在16箇所でコミュニティー薬局の運営を行っています。トロヘスのヘルスボランティアは男性が圧倒的に多く、86 %が男性で、残りの14%が女性です。僻地へ行くほど、女性の地位は低く、学歴も下がっていきます。トロヘスは典型的なホンジュラスを表しているのでしょう。それでも、今回の運営セミナーには11人中4人の女性が参加しました。各コミュニティー3名のヘルスボランティアを募集し、エスパニョール・グランデというコミュニティーからは3名の若い女性ヘルスボランティアが参加しました。トロヘスのような僻地では、保健衛生の知識を持つヘルスボランティアは村人からの信頼が高く、町内会や農業組合などの委員、委員長を兼任しているボランティアが多くいるのですが、エスパニョール・グランデのように、住民が若い女性ボランティアを選出してくることは、女性の地位向上のためにも、他のコミュニティーに良い影響を及ぼしてくれることを願っています。
コミュニティー薬局とヘルスボランティア
コミュニティー薬局とヘルスボランティア
今回のコミュニティー薬局運営セミナーも、ホンジュラス保健省薬局課から講師を招き、1週間に渡り講義が行われました。毎日午前8時から午後6時まで、薬品についての知識から、一般的な疾患の予防法、処方、助言などを学び、最終日には評価試験が行われました。ボランティアの中には、あまりの緊張で体調を崩すボランティア、神への祈りを口ずさむボランティアもいました。試験は全20問あり、看護師の私でさえも、この講習を受けていなければ、合格できるか不安になるような、高度な問題もありました。最後のボランティアが終るまで、なんと試験開始から3時間かかりました。この試験中、重度の肺炎患者が運ばれてきました。患者は2歳で、父親は3時間かけ、炎天下徒歩で患者を抱いて運んできたのですが、呼吸状態が悪く、脱水も見られ、一刻も早い処置が必要でした。しかし、トロヘスでは、肺炎を治療できる施設がなく、救急車で2時間半の病院まで行かなければなりません。父親は救急車を頼むお金がないと言い、泣き声になっていました。この話を聞いた参加者達は、救急車代を出し合い、無事にこの患者を病院まで送り届けることができました。この患者のおかげで、参加者のボランティア達が、肺炎の症状を知ることができ、また予防の重要性を再認識できたことでしょう。

巡回診療

昨年10月からエル・パライソ県ダンリ市内を中心に巡回診療を開始しました。無医村を毎月一回訪問し、無料診療にあたっています。この診療は在ホンジュラス日本大使館の資金援助、ホンジュラス派遣中のキューバ人医師グループの協力を受け実施しています。ホンジュラス国内にはハリケーン・ミッチ後、カリブ沿岸地域で第一位の医療先進国として有名な医師団がキューバから派遣され、現在も国内の公立病院や僻地診療所で活動しています。巡回診療では、毎回650名から900名以上の患者を対処し、今年4月までに、5,624名の患者の対処を行いました。

薬局を担当する私たちは、毎回多数の処方箋を処理するのに、言葉を失うほど大変な作業ですが、キューバ人医師達の典型的なラテン系の陽気さで私たちの笑いを誘ってくれています。




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