AMDAホンジュラスでは現在3つのプロジェクトを中心に活動をしています。
1.保健衛生教育プロジェクト
2.エイズ予防教育プロジェクト
3.校内救急箱活用プロジェクト
1.保健衛生教育プロジェクト
保健衛生教育プロジェクトは2000年よりホンジュラス首都コマヤグエラ市(注)内のラモン アマヤ アマドール(以下RAA)とエル パライソ県トロへス市の2箇所で地域のヘルスボランティア育成に始まり、
ボランティア、地域住民の要請でコミュニティー薬局の運営をボランティア達が始めました。
ホンジュラスには「新規コニュミティー薬品ファンド」(以下FCM)という法律があり、今回この法律に法りボランティアがFCMを運営できるよう、ホンジュラス保健省と協力しセミナーを開催しました。
FCMは住民の健康サービスと医薬品使用の安全性、有効性、品質、低価格を保証するため法律化され、ホンジュラス保健省とNGO等の協力体制で運営されています。
これはスポンサーとなるNGOがFCM設立時の医薬品を無料で提供、もしくは貸付け,運営監視等を行い、売上金を次回の医薬品購入費に充てるというものです。
トロヘスコミュニティー薬局は2000年6月に11コミュニティーに設置、その後2コミュニティーはボランティアの意欲低下により閉鎖され、9コミュニティーが運営を継続していました。
今回新たに2コミュニティーを追加し FCMセミナー開催となりました。
セミナーは5日間、保健省薬局課FCM担当医師(マルガリータ医師)による集中講義で、FCM法の理解、一般的疾病の症状、予防法、助言方法を中心に行われ、
最終日には口答、筆記テストにより、FCM運営、健康助言者として適任か判断されました。
ボランティア達はトロへス市内に来るのに2〜3時間またはそれ以上かかり、そのため参加者は1週間親戚、知人の家に泊まり込んでセミナーを受講しました。
参加者の中には毎日の講義で体調を崩す者、マルガリータ医師が毎日出す宿題に頭を痛める者もいて、電気のない家にいたボランティアは毎晩公園の街灯の下でマニュアルを読んでいました。
今回セミナーには26名参加者があり、そのうち25名がFCMセミナー修了証明書を無事受け取りました。
私達はセミナー終了1ヶ月後、FCMで新たに追加した2コミュニティー(サマリア、サンルイス)へFCM運営開始時の医薬品を届けるため、コミュニティー訪問をしました。
セミナーを受けたボランティア達はFCM運営委員会を結成し私達の訪問を待っていました。
村民とのミーティングではボランティアがFCMの目的,運営方法を説明し、チャベリータ(地元看護婦、ボランティアのリーダー的な存在)から、
「無償で援助される時代は終わった、これからは自分達で健康を守り、FCMを守って行きましょう」と強い口調で話されました。
このコミュニティーは管轄ヘルスセンターまで徒歩3〜4時間という距離にあり、病人の重症度の判定,的確なアドバイスができるヘルスボランティアの存在はとても重要になります。
今回のサマリア訪問では、3日前に指先を切り落とした少女に会いました。彼女の父親は不在で、母親はヘルスセンターに少女を連れて行くこともできず、
毎日水で傷を洗い傷周辺は赤く腫れ上がり化膿寸前の状態でしたが、ボランティアは早速私達が手渡したFCM薬品で処置し、抗生剤の処方を行いました。
RAAでも12月17日から21日までトロへス同様FCMセミナーを開催し、2002年1月にFCM設置を予定しています。
今後トロへス、RAAで定期FCM運営管理ミーティング、ワークショップを開催していきます。
2.エイズ予防教育
エイズ患者は2001年4月までに12,350人、HIV陽性をあわせると15,870 人になり、このデータは保健省に報告されたもので、
実際にはその5〜6倍のエイズ患者がいると言われ、近年の若年層感染者増加は深刻な社会問題として取り上げられています。
AMDAホンジュラスでは2000年より外務省NGO援助資金のもと、学校、コニュ二ティー単位でエイズ予防プロジェクトを施行。
2001年10月よりプロジェクトサイトをサンミゲールヘルスセンターに移動し活動しています。
サンミゲールヘルスセンターではワークショップをヘルスボランティア、教師対象に行い、エイズ知識の向上と予防意識の向上をはかり、
教授法伝授によりボランティアの活動意欲を強化し、ボランティアがコミュニティーで予防教育を実行する際の助言と教材を提供しています。
また活動範囲を広げるため、地元警察官、若年妊産婦を対象としたエイズ予防教育を行っています。
警察官達は外傷者と接する機会が多く、HIV感染リスクが高い職務にありながら、予防対策は今までなにも考えていなかったと言っていました。
今回のワークショップ終了後上司やヘルスセンターに使い捨てゴム手袋等配給を申請していきたいと話していました。
12月1日世界エイズデイには、サンミゲールヘルスセンターとエイズキャンペーンを施行しました。
キャンペーンにはワークショップに参加したヘルスボランティア、ヘルスセンター職員、地元警察官がパンフレット、コンドーム配布し、
キャンペーンテント前を通るバスやタクシーはその場に止まり、ボランティアの話に耳を傾け、パンフレットを受け取っていました。
そのため、AMDAで提供したパンフレット1000枚、コンドーム1000個は開始後3時間ですべて配布してしまいました。
ヘルスセンターでは、HIV、梅毒検査、女性の性病検査が行われ、ここには各コミュニティの産婆が住民を誘い、検査のための長い列がみられました。
エイズキャンペーン
3.校内救急箱活用プロジェクト
防災、救急処置プロジェクトの一環とし首都内公立小中学校(貧困地域)教師対象にファーストエイドワークショップを開催しています。
救急箱配布プロジェクト開始前アンケートでは、対象教師441人中76%の教師がファーストエイドに関する教育を受けておらず、
30校中救急箱が機能しているのはわずか4校,その他備品が不足している18校、救急箱がない8校、過去2年以内の校内での児童死亡事故2件(誤飲による窒息死、転落死)と、
校内で応急処置にあたる教師の知識不足、応急処置必要物品の不足が問題になっていることが明確になり、ホンジュラス赤十字研修センターより講師を招き、ワークショップ開催となりました。
ワークショップは火傷、外傷、骨折、誤飲時の応急処置を中心に実技講習を行い、普段校内で見られる外傷の処置や医師の診察が必要になる例など質問も多く、積極的に参加する教師の姿が見られます。
ワークショップ終了後AMDAから救急箱の寄付と救急箱管理のアドバイスをしています。
AMDAホンジュラスではこれらのプロジェクトの継続とフォローアップを行っていきます。ご協力いただいた皆様に感謝を申し上げるとともに、今後もご支援いただけるようお願いいたします。
(注)ホンジュラスの首都は一般的にはデグシガルパ市ですが、正式にはテグシガルパ市とコマヤグエラ市を併せたものを言います。
ファーストエイドセミナー
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