緊急救援活動

スマトラ島沖地震・津波緊急救援活動
AMDA Journal 2005年 3月号より掲載




インドネシア・スリランカ・インド3カ国における保健医療支援

AMDA多国籍医師団:AMMM(AMDA Multi National Medical Mission)スタッフ合計 97名 医師46名、看護師14名、薬剤師1名、調整員35名、ソーシャルワーカー1名  参加AMDA支部 10カ国(本部、インドネシア、インド、スリランカ、カンボジア、ネパール、 台湾、バングラデシュ、カナダ、ニュージーランド)(2004年12月26日〜2005年2月2日)

活動国
現地協力団体 派遣者及びそのAMDAインターナショナル所属支部(AMDAインターナショナルは日本:岡山を本部とし現在28カ国で組織されている)
インドネシア
インドネシア保健省
UNICEF(国連児童基金)
Sulawesi Sultan (インドネシア・スラウェシ島マカッサルの医療職グループ)
ケスダム軍病院・ザイナルアビディン病院・ファキナ病院
AMSA : Asian Medical Students' Association
AMDAインドネシア支部
ハッサヌディン大学
医師(インドネシア支部19名、カンボジア支部2名、ネパール支部 2名、カナダ支部 1名、芳野圭介、高橋徳 計26名)
看護師(台湾支部 1名、カナダ支部2名、ネパール支部2名、現地看護師2名、大城七子 計8名)
調整員(諏原日出男、柳田展秀、奥谷充代、金山夏子、石沢陸夫、山道拓:AMSA、インドネシア支部1名、インドネシア医学生:AMSA2名、ネパール支部1名、計10名)

*ジャカルタ在住ボランティア(小林真理)
*他に医学部教授と医学生グループ120名
スリランカ
トリンコマリ県保健行政局
キリノッチ県保健行政局
ムラティブ県保健行政局
CHC : Centre for Health Care
サルボダヤ (Sarvodaya)
National Institute of Health
AMDAスリランカ支部
医師(イギリス、ニュージーランド支部、カンボジア支部、 カナダ支部から各1名 計4名)
看護師(長谷川あすか、佐々木久栄、武田未央、柳瀬世史子4名、現地看護師2名 計6名)
調整員(幸長由子、山中睦子、吉見千恵、植木恵子、吉冨久美子、出水幸司、富田彩香、現地スタッフ12名 計19名 ソーシャルワーカー(ニュージーランド支部 1名)
インド
マニパール医科大学
ICEF : India Canada Environment
Facility Friends' Society in Social Service
AMDAインド支部
医師(インド支部11名、ネパール支部4名、バングラデシュ支部1名計16名)
薬剤師(インド支部1名)
調整員(松永一、インド支部1名、ネパール支部2名、バングラデシュ支部2名 計6名)

 

AMDAは、大地震と津波の発生した2004年12月26日から、インドネシア、スリランカ、インドの3カ国において、 上記10カ国参加のAMDA多国籍医師団による緊急救援活動を本年2月末までの予定で実施。
 災害発生当日より活動を開始し、現在の時点(2月2日) で、3つの被災国に97名以上のスタッフを派遣し、被災者 への巡回診療や予防接種、保健衛生指導等の医療救援活動 を実施できた今回の緊急救援活動は、迅速な活動開始と多 数のスタッフ投入ができたことにより、予想以上に充実し た医療活動が可能となった。
 今後、復興支援活動へ移行すべく、現地調査を並行して 実施している。

【インドネシア】

スマトラ島北部バンダアチェで、12月28日より活動開始。
 地震・津波発生直後から2〜3週間は、病院(ケスダム 軍病院、ファキナ病院、ザイナルアビディン病院)での緊 急手術や診療、投薬及び壊滅状態になっていた病院システ ムの構築やICU病棟、破傷風患者などに対する特別病棟の 設置に従事。病院システムの再構築、入院患者受入れ体制 の整備完了後は、医療支援が行き届いていない人々を対象 にした巡回診療と仮設診療所での診療を実施している。ま た、1月19日以降、ユニセフ(国連児童基金)とインドネ シア保健省に協力し、はしかワクチンの接種を行っている。巡回診療は計11ヵ所で、はしかワクチンの接種は計7 ヵ所で2月末まで実施している。

【スリランカ】

北部キリノッチ、北東部トリンコマリ、南部カルタラに おいて被災者を対象に感染症対策を目的とした巡回健康教 育とソーシャルワーカーによる心のケアを実施している。
 1月7日から開始した巡回健康教育に加え、24日から従来のスリランカ事業である「医療和平プロジェクト」の巡回診療を再開。
 巡回健康教育では、避難所にて「トイレの使い方」につ いて教育を実施し、終了後にトイレ用ブラシとトイレ用洗 浄剤を贈呈。海岸沿いの地域では、従来トイレを使う習慣 が無く、海で用を足していたため、避難所で初めてトイレ を使用する人々が多い。集団生活がこのような状況下で続 く中、トイレの使用について伝えることは、伝染病予防に不 可欠である。海岸地域ではこの手法を継続して行っている。

【インド】

タミルナドゥ州カダロアとナガパッティナムの2地域 で、1月2日から避難民キャンプ内での処置および診療を行うチームと巡回診療を行うチームの二手に分かれて医療 活動を行っている。28日から新たにチタンバラン地域でも 巡回診療を行っている。





−インドネシアでの緊急救援活動と今後の活動−
調整員 金山 夏子・医師 高橋  徳 活動報告より
(2005年1月3日〜2月7日)

 


<AMDAケタパン仮設診療所>
1月7日以降バンダアチェ市内のケタパン(Ketapang)地区に、仮設診療 所を設置し、被災住民への診療活動を実施している。度重なる降雨の影響を 受け、診療所周辺の環境・衛生状態の悪化が危惧されたため、13日に近隣か らの申し出を受け仮設テントから空き家へ移動した。患者数は20〜60人/ 半日(累計:約300人)。再診などの患者も定着し、地元コミュニティーの信 頼も得て存続の要請を受け、今度は週一回程度の診療を継続していく予定。

 
<巡回診療>
 12日から確定した3ヵ所と新規2〜3ヵ所の候補地で各地3日から4日に一 度のペースで巡回診療を実施している。

@セウブン・アヨン(Seubun Ayon)キャンプ
 津波による直接的な被害を蒙り、一つの集落内で生き残った人々約400名 が居住する、国連によって登録されている国内避難民キャンプである。 AMDAはこれまでに三回巡回し、初診に続き、継続的な再診や投薬が必要な 患者を対象にしている。地理的条件によりバンダアチェ市中心へのアクセス が困難なこともあって病院には行きづらいまた、症状が重く移動が困難な 患者や高齢者については訪問診療も行った。ここでは、AMDAのインドネシ ア側協力者であるスラウェシ・スルタン・グループ(インドネシア・スラウ ェシ島マカッサルからの派遣医療グループ)が事前に行ったはしかワクチン 接種の副作用を防ぐため、ビタミンAの配布を実施した。

Aイリエ(Ilie)
 津波による直接的な被害を受けていないため、被災者が親類や友人の家庭で受け入れられている。そのため、国連やインドネシア政府によるIDP(国内避難民)キャンプ内の避難民としての定義上においては、カテゴリーが異なるIDPを対象にし、避難民も地元コ ミュニティーの人々も区別することなく、医療を提供している。避難民は心 的な障害や悪衛生環境によるアレルギーを訴える一方、地元コミュニティー側は、これまで最も利用してきた病院(ザイナルアビディン病院)が津波の被害により機能しなくなったため、慢性疾患の患者も津波以後に健康を損ねた患者も共に病院での受診が出来ないという問題を抱えていた。津波の直接 的被災者のみを緊急医療の対象とするのではなく、医療システムの崩壊によ り悪影響を受けている二次的被災者にも注視せねばならず、このような地域で巡回医療をおこなう重要性は高い。

Bデサ・ミルク(Desa Miruk)
 地元コミュニティーの要請を受け18日に初めて巡回診療を行い、約90名を 診察した。津波の被害を受けた地域ではないが、集落内の人々から20名の死者がでたとのこと。もともと医療過疎地であり、病院にかかったり、薬をこれまで服用したりした経験があまりみられない患者が多数であったというの がAMDA派遣医師たちの印象である。医療過疎地に急激に大量の医薬品を短期間に提供した場合に起こりうる医療汚染を憂慮し、一定の期間をおき再巡回する予定である。津波による直接的被害や国内避難民が居住しない地域で はあるが、国際社会が大規模に医療支援を行う今段階において、これまで政府やNGOが支援してこなかったことに不満や不安を抱いてきたコミュニティからの要請であった。このような不満や不安を放置させることは、今後国連やインドネシア政府が国内避難民の再定住計画や中・長期の復興活動を行っていく際に、コミュニティーの疎外や対立という問題へと発展していく要因を十分にはらんでいることから、巡回診療の対象地域として重視している。

<はしか予防接種事業>
 19日に一回目の活動をおこなった。実施地はアテウク・ジャウォ(Ateuk Jawo)。ユニセフ(国連児童基金)のはしかワクチン・キャンペーン事務所でワクチンを受け取り、インドネシア保健省の担当者が実施地域を指定し、AMDAチームと合流して移動。地元コ ミュニティーのヘルス・クリニック側の担当者と対象となる15歳までの子 どもの登録方法などを協議後、AMDAの医師・看護師が加わり実施。これまでユニセフとインドネシア保健省が抱えてきた問題としては、各NGOが独自にワクチン接種をおこなってきたことにより、予防接種が行われた地域と行われていない地域が明確でなく、把握できていないことである。その解決策 としてユニセフとインドネシア保健省が実施地域を指定し、ワクチンを提供するというNGOとの協調・協力アプローチへと発展した。ユニセフはバンダアチェ市における1万人の子どもを対象とし、AMDAはその2割を担当したが、はしかワクチン接種は2月末でほぼ完了する。感染症拡大が懸念されているが、はしか以外では、赤痢は検査の必要がある症例があるものの、コレラ、破傷風とともに危険性は低下している。反面、マラリアは下水道の不備や被災後の不衛生な環境の中で、媒体となる蚊の大量発生により拡大が予想 される。住環境の整備と、早急な殺虫剤の散布が望まれる。


<今後の活動>
 AMDAでは急性上気道炎(風邪等)、熱下痢等の患者が絶えない状況を考慮し、巡回診療とAMDAケタパン仮設診療所での診療を、被災の有無にかかわらず、医療アクセスが困難な人々を対象に期間を延長し、継続していく。また、バンダアチェ市内の破壊された病院はハード面では復旧されてきているが、多数の医療従事者が亡くなっており、人材(ソフト面)が非常に不足 している。AMDAではインドネシア支部、ハッサヌディン大学と協力し、医療機関への医療従事者の補充を目的とした人材育成プログラムの実施を決定。中長期的な活動として、バンダアチェ市内のザイナルアビディン病院を拠点とし、バンダアチェの医療充実を支援していく。





スリランカ津波被災者への巡回健康教育

 

衛生状態の悪化と避難所での集団生活が重なり、感染症の急激な広がりが 心配されることから、地元(キリノッチ、ムラティブ、トリンコマリー県)の 保健行政局長からAMDAが実践してきた、地元行政機関の現地スタッフ組 織とともに、各小学校等を巡回して行う保健衛生教育が今回の津波被災者への感染症予防に有効であり、また他にこの事業を即実施できる団体がないことから、キリノッチ、ムラティブ両県内の全ての小学校、トリンコマリ県内 では全ての避難キャンプで予防健康教育を実施してほしい旨要望及び緊急救援対策会議決定を受け、活動を拡張展開している。そもそもこれらの地域は、LTTE(タミルイーラム解放の虎)勢力地域で、LTTE側の保健行政機関 と、政府側の保健行政機関の双方に対し活動の許可を取り付ける等の手続きが従来必要であり、そのような環境下でAMDAは2003年2月から活動を開始し双方との信頼関係を築いてきた経過の上に今回の活動拡張に至っている。津波被災後緊急事態となって以来、キリノッチでの各種緊急救援活動 についてはLTTE側援助担当窓口がコントロールしており、今回新たに国外 のNGOが物品提供以外の実働的な活動を開始することは非常に許可がおりにくい状況であることがわかった。AMDAの感染予防教育・医療活動に対 するLTTEと政府側双方合意による活動の拡張要請が、いかにこれまでの活動への信頼に基づいたものかが改めて実証された形となった。

<北部・キリノッチ県>

「手洗い」をテーマに巡回健康教育を実施した。
 1月10日、Pallai地区ウドゥスライ(Uduthrai Maha Vidyalayam)小学校避難者数1800人受講者数92人。
 11日、Mulative県Vidyananda College避難者数1072人。受講者数290人。
 12日、キリノッチ県Kandawalay地区Tharumapuram学校では、ここのケ アを目的に、被災者の話をゆっくり聞いたり、椅子取りゲーム等をして共に時間を過ごすことに集中した。
 13日、キリノッチ県Pallai地区Mantheinkene避難者数2250人、受講者数164人。14日、ヒンズー教のThai Pngalという1月の大祭で、ポンゴルとよばれる甘く炊いたご飯を食べる日 にあたる。 通常であれば1月は当地では収穫月であり、この祭りの時は日の出前に寺院に参拝し、自宅に戻り甘いご飯を神に捧げ、また自宅だけでなく近隣に配り祝い、また地域ごとの壮大な凧あげ大会も開かれる祝い一色の時期である。が新年を祝うことができなった今年は、人々は14日のポンゴレ に特別の感慨をもって接した。
 土砂に埋もれた6ヶ月の赤ん坊が地面の中から救われた話や、また波にさらわれ椰子の木のてっぺんで生き伸び ていた幼子の話など、人々が体験した非日常は我々の想像をはるかに越える ものである。海岸べりの地域はいずれも農作物は皆無となり、流されずに残った椰子の木も塩害により枯れる運命となっている。人々は避難所となって いた学校から出なければならないが、未だに死臭が漂う海辺の自分の村に帰 りたがらない。ムラティブ県だけでも行方不明者は1200人を数える。
 これまで一時避難所として学校が使用されてきたが、学校が始まるにつれ て避難者は新たなキャンプに移らねばならない段階にきており、人々の移動情報を的確に収集しながら、巡回健康教育サイトを決定しスケジュールを立 てるという業務段取りで事業を進めている。いかに多くの被災者の人々に効率よく感染予防知識を得てもらうかという努力が現場の看護師・調整員等に より続けられている。津波後感染症予防のため健康教育に特化して活動を行 ってきた。1月24日から巡回診療を再開する。

<北東部・トリンコマリ県>

長谷川看護師とニュージーランドから参加のタミル語を話すAnn U.Georgeソーシャルワーカーが、地元の保健行政機関とともに、現地スタッフへの健康教育の技術移転を視野に入れながら、各小学校での健康教育お よび避難所視察を継続している。18日にはトリンコマリ市内のUNHCR設営 の避難キャンプ内の学校にて「手洗い・うがい」をテーマに健康教育を行った。ここでも学校のトイレが流されており、生徒達は同じ敷地内のキャンプのトイレを使っている状態である。 またここでも降り続く雨により水溜りが点在しており、蚊の大量発生による マラリアが心配される。
 24日、内戦及び今回の津波で孤児となった8歳から20歳までの女児65名 が暮す孤児院を訪問し、生理用品やタオルを贈呈し、少女達と交流を持つ。 生理用品の寄贈が喜ばれた。施設内は衛生的で整然としており、教育も行き 届いている様子が伺えたが、やはり子供達の中には津波のショックが残って いる子供もいた。交流をとおして心のケアに努めたい。
 また25日から26日、健康教育実施者養成のためのセミナーを開催。地元 の公衆衛生管理員やヘルスボランティアといった直接の担当者10名に加え 助産師や保健行政官も希望者が参加。この地区は殊に、健康教育の人材育成 に熱心で、保健衛生啓蒙用ポスターなどの自主制作にも積極的。昨年から継 続してきた人材育成が、この時期実を結んだ観がある。


<南部・カルタラ県>

植木調整員、吉冨調整員はカルタラの国立健康協会(National Institute of Health)のIndra氏とともに、避難民キャンプでの巡回健康教育を本格的に開 始。10日の、カトゥクルンダ(Katukurunda)地区のBuddist Junior SchoolとRoman Catholic Schoolの2箇所をかわきりに一日2箇所で「手洗い」について健康教育を実施。ムカデ競争 や人間知恵の輪など5種類の皆が参加するゲームを行い子供にも大人にも笑顔がもどる時間となった。
 26日までにカルタラ県内の全ての避難所を回り、「手洗い・爪きり・うが い」などについて健康教育を行ったことになる。いずれの地域でも健康教育 に加え、椅子取りゲームなどを取り入れるとともに、終了後場所に応じてぬ いぐるみやタオルなどを贈呈している。28日には、上記2地域(北部キリ ノッチ、北東部トリンコマリー)のAMDA派遣者が一同に会しカルタラ での健康教育実施に参加。





インドにおける緊急救援活動

 

タミルナドゥ州カダロアとナガパッティナム地域で、1月2日からAMDAインド支部の医師、薬剤師、ネ パール支部の医師、調整員、そして本部派遣の松永調整員により、避難民キャンプ内での診療を行うチーム と、巡回診療を行うチームの2チームに分かれて医療支援活動を実施。けが、化膿等の処置の他には、慢性 疾患の患者受診が多くみられた。
 1月28日よりバングラデシュ支部とインド支部によるチタンバラン地域での巡回診療も開始。この地域で も外傷患者が多少みられるものの、内科系疾患の受診患者が多くみられた。1月2日から2月2日までの1ヶ 月の受診者数は2143名となった。
 今後、AMDAインド支部長のDr.Kamathと松永調整員は巡回診療と同時に中長期的医療支援に向けて、現地調査を実施する。

なぜインドで活動するのか
調整員 松永 一

インドにおける今回の津波に対するAMDA多国籍医師団の活動は、2005年 1月2日からタミルナドゥ州のカダロア、ナガパッティナム両地区において 行われている。
 多国籍医師団のメンバーは、現在までに3回に分けて、インド、ネパール、 バングラデシュの各AMDA支部と本部より医師、看護師、薬剤師、調整員 が合計23名派遣された。
 2月1日現在までに16回の巡回診療を行い、2121人の患者を診察してい る。主な患者の症状は、津波の被災による骨折や切り傷、擦り傷等は少な く、大半は呼吸器系の疾患や栄養の欠乏といった慢性疾患の患者である。今 回の津波に対して、インド政府は国際社会に向けて援助の要請はしていない 理由がここに窺える。インドに来る途中の経由地、バンコクで出会った日本 政府の緊急救援隊(プーケットに向かう100名余りの消防庁、海上保安庁合 同チーム)によると、インド政府からの要請が無いので派遣は無いだろうと のことだった。さらにインドネシアやスリランカでみられるような、村が全 滅して死体が路上に放置されているといった悲惨な現場はインドではみられない。それならばインドでの活動は終了しても良いのではないか、と思いがちになるが、果たしてそうなのだろうか?
 津波被災による患者があまりみられないのは、被害に遭った漁村から重傷 患者が内陸の都市部の病院に搬送されているからであり、それも広範囲にわ たって患者が分散されているため、被災者の状態が把握しにくくなっているからである。
 さらにインドネシアやスリランカと比較すると被害が少ないと思われるイ ンドという図式は、あまりにも大きな被害に対して、ある意味で感覚が麻痺 しているのではないかと思われる。今回のインドでの死者約1万人(2月1日 現在)は、阪神淡路大震災の際の死者数約6000人を超えている。けっして被 害が少ないわけではない。私自身、阪神淡路大地震の被災者であり、被災地 では多くの患者が仮設の診療所に押し寄せて診療を待っている光景は今も目 に焼き付いている。診療を必要とする人々は多いはずである。支援はまだま だ必要なのである。
 また現地の人々の習慣にも問題がある。被害に遭った漁村地域が本来貧し い医療サービスしか受けられない、病院や医師の数が足らない地域であると も言える。そんな地域に住む人々にとっては、薬での治療が主である。また 薬の依存は通常の医療行為でもみられる様で、被災地で活動していた政府や 地元のNGOの医療活動も、看護師による薬の配布のみといった場面も多く みられた。


 薬の依存は家庭における健康に関する知識が乏しいことにも繋がっている ようだった。例えば傷を放置していたために、化膿していたり、食生活の偏 りからビタミン不足に陥っており、予防や対策の知識の欠如から、薬で治す という発想が見受けられた。この様な過度の薬の依存は決して望ましい状態 とは言えず、地元の恒常的な問題のように思われる。
 AMDAの定義する支援を必要としている究極の人たちは
1. 誰からも関心を持たれない人たち
2.誰からも必要とされない人たち
3.誰からも記憶されない人たち
である。
 今回のインドのケースはまさにこれに当てはまる様に感じられる。NGO であるAMDAがインド政府の要請が無くても活動をする理由はここにあ る。不足している医療サービスの手助けをし、保健衛生に関する教育をし、 津波以前よりもさらにより良い健康的な生活ができる基礎作りをする。それ がAMDAの定義に沿った、今後のインドの被災地での支援活動だと考える。
最後にインドでの緊急救援活動の現場責任者として、様々なかたちでご支 援下さった方々に、紙面を借りて御礼申し上げますと共に、これから始まる 予定の復興支援事業に対しましても、変わらぬご支援を頂けますようお願い 申し上げます。




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