緊急救援活動

スマトラ島沖地震・津波緊急救援速報
インドネシア・スリランカ・インド多元3カ国支援
AMDA Journal 2005年 2月号より掲載

2004年12月26日、インドネシア スマトラ島沖で発生した地震(マグニチュード9.0)による津波の被害 は、インド洋沿岸国13カ国に及びました。インドネシア、タイ、スリランカ、インド等における被災者は日 に日にその数を増し、地震発生後2週間を過ぎた2005年1月9日現在、死者15万人、負傷者50万人、そして 支援を必要とする人は500万人と報告されています。また、今回の災害において150万人が子どもの被災者 であることも特記すべきことです。
 AMDAは、12月26日より、インドネシア、スリランカ、インドの3カ国において、AMDA海外支部、協 力団体等10ヶ国参加によるAMDA多国籍医師団(1月9日現在73名)を編成し、救援活動を開始しました。ス リランカでは、2003年より北部、東部、南部各地域において巡回診療や保健衛生教育を実施して きた医療和平プロジェクトや、病院再建および医療従事者育成を 実施する基礎保健システム復興支援プロジェクトのスタッフが即座にを開始しました。
 被災者への救援物資配布を始め、巡回診療、蔓延が 懸念される感染症(マラリア、コレラ、チフス、下痢、風邪等)の予防に力を入れた保健医療支援活動が 中心 ですが、親を失った子どもたちへのケアも行おうと、保健衛生教育と並行してソーシャルワーカーに よるメンタルケアを開始し、また、AMDA本部では絵本等を集めて現地に送ろうとしています。

 は、2月末までの見通しで、復興支援活動へと継続していく予定です。
 引き続き皆様のご支援をお願いいたします。

インドネシアでの

インドネシアでの
1.活動期間:2004年12月26日〜2005年1月9日現在
2. 活動地:    インドネシア共和国ナングロアチェ州バンダ・アチェ市、北スマトラ州メダン市、西ジャワ州ジャカルタ市
3.被災状況及び活動概要  (ア)被災状況

【一般情報】

ナングロアチェ州西海岸沿岸では、地震直後津波が発生 し、海岸沿いから500m〜1000m地域によっては7kmに及び海水が流れ込んだ。沿岸部 に建設された家屋の多くは津波による水圧に耐え切れず倒壊し、逃げ遅れた人々は津波 に飲み込まれ、現在でも州全体で20,000人が行方不明との 一部報道もある。同地域の建造家屋の多くは、木造または レンガにより建設されているが、建築方法を問わず倒壊し ており、現在は空地と化している地域も多くある。
 聞き取り調査によると、運良く津波から逃れた住民の多 くは、津波発生直後すでに被災地域を離れ職場に向かって いた者などで、死亡が確認されている住民の多くが津波の 発生に気づいていない、もしくは家屋の中に逃げ込んだも のの波に飲み込まれたとの報告を受けている。また、津波に よる被害を免れた被災者の中にも、その恐怖から住居に帰れない被災者も多く、高台な どに設置された避難所等での生活を今なお余儀なくされて いる。
 市内のライフラインは20%〜30%が被災し、水道管なども地震・津波の影響により50%程度の供給が出来 る程度で、さらに破損により多くの地域でいまだ復旧のめどは立っていない。海水の流れ込んだ地域の殆ど は未だ電気・水道の供給は再開できておらず、病院などの一部で復旧(9日現在)したことが確認できた程度である。
 また通信においても、携帯電話などでの通信が出来るも のの、電波状況が悪く、通常のサービスには至っていない。

【市内医療機関】

バンダ・アチェ市内には、7つの医療機関があるが、被 災後医療行為を行える状態にあった病院はIskandar Muda Kesdom Military Hospital(以後ケスダム軍病院)、Fakinah Hospital(以後ファキナ病院)の2病院のみで、その他の5 箇所{ ULELE Hospital(ウレレ病院)、Pernata Hati Hospital(プルナタハティ)、Malahayati Hospital(マラハヤティ病院)、Bhayangkara Police Hospital(バヤンカラ警察病院)、Zeinoel Abidin Hospital(ザイナルアビディン病院)}の病院では9日現在、未だ復旧のめどの立っていない病院も多い。また被害の少なかったファキナ病院でも、医師、 看護師が死傷、家族が被災、行方不明などを理由に被災当時医療行為を行える状態にはなかった。※現在はオーストラリア軍、救援チームの支援により通常通り診療を開始。
 1月6日以来AMDAが宿舎として滞在しているザイナルアビディン病院でも、海水が流れ込み、一階部分の施設の 殆どの機能が停止し、床に沈殿した5cm程度の泥水や海水により、医療機材の殆どが利用不可能となっている。

(イ)活動概要

2004年12月26日午前7時40分頃、インドネシア共和国スマトラ島沖において発生した地震・津波災害に対し、 被災地域における緊急医療支援活動を決定した。当該事業開 始につき、AMDAでは各国支部に対し医師並びに看護師等の救援参加を要請し救援活動を実施している。
 12月26日、AMDA本部では、諏原日出夫調整員(本部)のナングロアチェ州への派遣を決定、28日インドネ シア支部医師団6名と共に被災地バンダ・アチェ市に到着、被災地調査・医療支援活動を、イスカンダル地区ケスダム軍病院において開始 した。
 1月1日からはファキナ病院に移動、更に1月7日からは市内ケタパン地区において仮設診療所を開設し、 津波被災者に対する一次医療の提供を行っている。

  

【イスカンダル地区ケスダム軍病院の活動】

 AMDAでは28日以来、インドネシア支部医師団による 医療支援活動を展開している。インドネシア支部は、本邦 派遣諏原調整員と共に28日同病院を訪問した。同病院では、市内病院の被災により、多くの重症患者が搬送され、 医師の不足が確認されたため、インドネシア支部Dr.Patrusiを中心とする医療チーム6名は、同病院におけ る支援活動を開始した。また、同じくアチェ入りした諏原は28日〜31日までの期間、現地の被災状況の調査 を実施。その後、食料・生活物資などの不足により現地での長期滞在が不可能と判断し、物資の輸送開始準 備のため一時ジャカルタに退避した。

【支援物資輸送】

AMDAでは、28日〜31日までの調査結果に基づき、派遣医療職の安全管理のための物資輸送が不可欠と判断し、 1月2日本部から調整員1名(柳田)の追加派遣を決定、1月3日諏原と合流、在インドネシア大使館、渡辺正人公使 と面会後、被災地から南東約650kmに位置するインドネシア第3の都市メダン市に、ロジスティックポイント 確立のため出発した。メダン市は、被災後、多数の支援機関、政府などが輸送物資調達または対策本部の設 置などを行って おり、輸送用車両などの確保も常時より困難な状況にあっ た。5日には在日メダン総領事館を訪問し、現地状況の確 認また今後の活動予定などを協議し、その後調整員2名は 日本企業の代理店のメダン支店の協力を得て、同市内で物 資を調達し、5日22時30分頃、物資を乗せた輸送車両が国連の車両群に同行してメダン市を出発、翌6日午 後4時 ごろ、バンダ・アチェ市内のザイナルアビディン病院に到 着、物資の一部をケスダム軍病院に配布し、残りをザイナ ルアビディン病院に滞在しているAMDAインドネシアチーム及び同じく同病院に滞在してい る支援ボランティア、 関係機関(約100名)などに提供した。
 なお、現在はメダン市での調整の結果、ジャカルタ市ま たは日本国内からの遠隔操作が可能となり、現在メダン市 には駐在員は不在。

【仮設診療所】
 

28日から31日まではイスカンダル地区のケスダム軍病 院にて医療支援を行い、1月1日からはファキナ病院に移動して診療を続けてきたが、市内病院の被 災により多くの 被災者が十分な医療の提供がなされていないことに端を発 し、仮設診療所での医療支援を決定した。AMDAでは、被 災地での仮設診療所の立ち上げ準備のため、1月3日・5日 に、本部より調整員1名(金山夏子)、医師1名(芳野圭介)、 医療調整員1名(山道拓)また、ジャカルタでの後方支援 として本部職員1名(奥谷充代)の計4名を派遣し、1月6日、同じくメダン市内でロジスティックスを 担当していた 調整員1名(柳田)とも合流し、アチェ市内での仮設診療 所立ち上げの準備を開始した。
 仮設診療所の設営には、AMDAインドネシア支部Dr.Tanra(ハサヌディン大学麻酔科教授)の協力により、 市内Ketapang地区(ケタパン)において仮設診療所を開設し、医療活動を開始した。また1月8日にはAMDA カンボジア支部より医師2名がバンダアチェ市に到着、さらに 9日AMDAカナダ支部より医師1名、看護師2名、AMDA 台湾支部看護師1名が到着し、仮設診療所での診療にあた った。

【その他の支援活動】


・ザイナルアビディン病院ICUでの診療活動…  AMDAカンボジア医師2名
・ファキナ病院における医療支援活動…  AMDAカナダ医師1名、看護師2名  AMDA台湾看護師1名
・ジャカルタ市内での支援活動…小林真理

4. 支援活動概要(下表)
活動現場活動チーム投入人員備考
ケスダム郡病院AMDAインドネシア6名オペレーション
ケタパン地区仮説診療所AMDA本部5名一次診療
ザイナルアビディン病院AMDAカンボジア2名ICUにて診療
ファキナ病院AMDAカナダ2名一般診療
5. 今後の活動計画

AMDAでは、上記活動を引き続き実施すると共にバン ダ・アチェ市周辺の被災地域における巡回診療を1月12日 より開始しようとしている。被災後、支援物資や医療支援 などは市内の中心部に集中しつつあるが、津波を警戒し退 避している住民の中には、市内から外れた高地に避難して いるものも多く、今後は医療アクセスが困難な地域での避 難を余儀なくされている住民に対する巡回診療を行いつつ、これまでの活動を継続して実施する。




緊急救援活動

アメリカ

アンゴラ

イラク

インドネシア

ウガンダ

カンボジア

グアテマラ

ケニア

コソボ

ザンビア

ジブチ

スーダン

スリランカ

ネパール

パキスタン

バングラデシュ

フイリピン

ベトナム

ペルー

ボリビア

ホンジュラス

ミャンマー

ルワンダ

ASMP 特集

防災訓練

スタディツアー

国際協力ひろば