緊急救援活動

今後の洪水支援活動について
バングラデシュ洪水

AMDA職員 岡崎 裕之
AMDA Journal 2004年 10月号より掲載

7月上旬よりバングラデシュ全土で大規模な被害をもたらした洪水は8月に入ってようやく水が引き始め、8月中旬には平年の雨期の水位にまで下がった。AMDA職業訓練セン ターに避難していた住民は8月13日までに全家族が各自の家に戻り、AMDAも8月14日より通常の職業訓練やマイクロクレジット業務を再開した。
 洪水は一段落したと言える。ただ、今回の洪水のもたらした災禍はすさまじいものである。
 以下、現在までの被災状況を簡単に説明する。


■被害を受けた県:全64県中46県
■被災世帯:700万世帯
■被災者数:被災者数3,300万人
      (全人口の約25%)
■洪水による死亡者:700人以上
■損壊家屋:全壊 147万戸
      半壊 285万戸
■建造物・産業:推定4000億タカ (約8000億円)
 ジュート・被服工場への被害推定 220億タカ(約440億円)
■教育:60の学校が全崩壊。
    400万人の生徒の就学に影響。
■農業:500万人の農民に被害及ぶ
    (うち270万人は小作農)
    被害総額 推定 230億タカ (約460億円)
■漁業:46県で総額推定100億タカ (約200億円)
■家畜飼育:鶏25万羽、牛1650頭、
 山羊4000頭、鴨46000羽死亡。
 総額推定204億タカ(約408億円)
 家畜小屋等への被害も含む)
*データは8月末時点のもの。政府広報および新聞 記事より抜粋 

1998年には「今世紀最悪の」と形容された大洪水が全土を襲ったが、数字を見る限りでは今年の被災状況は98年にほぼ匹敵するものである。人々は通常の生活に戻りつつある が、災禍の傷が完全に癒えるまでにはまだかなりの月日を必要とする。それを踏まえて、AMDAは今後も引き続き洪水後の復興支援活動を12月末まで行う。
以下、活動内容を簡単にご紹介したい。

<巡回診療>

現在2チームに分かれ、金曜を除く毎日、主にボートでアクセスの悪い村々を巡回診療している。診療は9月末まで行われる。
 洪水の危機は去ったものの、今度は感染症の発症が懸念されている。村では多くの住民が裸足で生活しているが、ぬかるんだ泥土を歩くことによって皮膚病になる罹患者が 徐々に増加している。また、井戸水が汚れてしまい、大腸菌等が繁殖する水を飲むことによって下痢症になる者も非常に多い。 AMDAは巡回診療によってこれら患者の削減に努 めると共に、手洗い励行やトイレの利用といった保健衛生教育を強化し、病気発症を未然に防ぐことにも努めている。

<飲料水巡回供給>

 井戸が冠水して生活排水等が混入し、安全な飲料水の確保が難しい状況になっている。AMDAは職業訓練センターの地下100メートルより汲み上げた浄水を1000リット ル、毎日2箇所の村に巡回供給している。また殺菌効果のある塩素消毒液を配布して使用法を説明し、巡回に来られない日の安全な飲料水確保に貢献している。
 政府は現在各地を巡回して井戸の分解洗浄を行っているが、これは10月末までかかると言われている。AMDAはこれに合わせる形で10月末まで飲料水の巡回供給を続けること にしている。

<家屋再建>

現在、各地の被災状況を調査中であり、9月中旬までに受益者が決定される。貧しい者、被災状況の深刻な者を優先して選出する。受益者は、あとで村人から不平不満がで ないよう、AMDAスタッフと村人との間で何度も話し合いが行われた上で決定される。また、限られた予算の中でより多くの村人に支援を、という意図でAMDAは建築資材のみ を提供し、労働力は村人自らが拠出することになった。 工事は雨期が終わった10月頃からスタートする予定で、12月中に完了予定になっている。

バングラデシュに限ったことではないが、この国の人達は家族・親族のつながりを非常に大切にする。傍から見ていて「どうやって生活しているのだろう?」と不思議に思う 場合でもお互いに助け合ってなんとか生活していたりする。
 ただ、それでは余裕があるのかというと、決してそうではない。貯金などまったくなく、ギリギリのところでなんとかバランスを取っている者も非常に多い。例えて言え ば、いつもコップになみなみと水を入れた状態なのであり、ひとたび今回のような全土を襲う災害が起こると、助け合うこともできず、たちまち困窮してしまうのである。
 現在、バングラデシュ政府もさまざまな支援計画を立ててはいるが、国自体に余力がないこともあり、やはりまだまだ不足の感は否めない。AMDAとしてやらねばなら ないことはまだまだたくさんある。
 今後も皆様の温かいご協力とご支援をお願いします。




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