緊急救援活動

ケニア洪水緊急救援報告

AMDA Journal 2003年 7月号より掲載

ケニアでは4月20日から5月6日までの17日間に、各地で200〜500mmの降水が観測され、通常4月の月降水 量の2〜9倍となった。この雨は、ここ数年で最も深刻なもので、60,000人が避難、40人以上が死亡、 家屋・道路・作物等に大きな被害が出た。5月5日、ケニア政府は今回の洪水について「国家的災害」 宣言を出し、国際支援を求め、被災地に軍を配備しました。同時に、国連人道問題調整事務所(OCHA) も支援アピールを発表した。最も被害が深刻な西部州ブシア(Busia)では、昨年完成したばかりの 堤防が崩壊し、15,000人の住民が家屋を失い、援助機関によって設置された高台のシェルターに避難 した。当地では住民がマラリアの危険にさらされ、トイレの崩壊等による下痢等の水感染症が危惧され る事態となった。

AMDAは、IMCU(International Medical Collaboration Unit・国際医療協力機構)と合同で、被災地で の感染症の蔓延等による二次災害の発生に対応するため、ケニア西部ブダランギ(Budalang'i)南部 地区のルガレ(lugale)避難民キャンプにおいて、被災民に対する医療を中心とした緊急救援活動を 行った。そこには現在も家屋を失った約3,000人、618世帯が避難している。

被災後いち早く現地入りしたAMDA/IMCUのチームは、ケニア保健省から医療サービスの提供を依頼され、 ここを支援活動の場所として決定した。

今回の救援活動を開始するにあたり、まず、横森健治調整員、宮田久也調整員に加え現地医師・看護婦 ・検査技師6名(AMDA/IMCU混成)から成る第一次チームを5月11日から17日まで派遣した。そして 5月15日から24日まで、現地医師・看護婦・調整員4名(AMDA/IMCU混成)から成る第二次チームを派遣、 さらに同時期ナイロビ、キベラスラム事業における活動を終え、柳田展秀を含む医療スタッフ等4名から 成る第三次チームを 23日から派遣した。

被災地では、ブシア県知事、ケニア保健省スタッフ、医師、公衆衛生官、赤十字、ケニア陸軍、 報道機関等から成りる災害管理委員会に加った。

人々は避難キャンプで寝起きしており、水・食糧の不足が懸念される上、被災民の急増に伴う感染症 などの二次災害が心配されたため、病気予防が大きな鍵となった。そこで、AMDAチームは具体的に以下 の2つの事業を展開した。

第一に、臨床検査である。ルガレキャンプ近郊のムコボラ(Mukobola)クリニックでは、検査体制に 不備があり、マラリア等の感染症に対する検査体制を整えた。ニつ目は、キャンプでの診療である。 保健省と協議の上、ブダランギ地区ルガレ村の避難民キャンプにおいて1日平均約100名の患者を診察し た。現地での主な病気は、マラリア、下痢症、皮膚病、性感染症等があげられる。重症の患者は、 車両で被災地より約1時間離れたポートビクトリア病院へ搬送した。 


緊急救援成果
AMDA/IMCU緊急医療救援チームは5月12日から5月29日の診療で、約1,500 名の患者を診療、移送などを 行った。第三次チームがルガレ入りし、数日が過ぎた頃には緊急を要する患者は一段落し、第一次チー ムより続けてきた成果が現れてきた、マラリヤ患者は地域的なことも要因の一つと考える事ができた為、 今後はケニア軍の運営する週一回のモバイルクリニックで対応できると考え、今回の緊急医療支援を 一旦引き上げる事に決定。今後の医療活動はケニア保健省へ引き継ぐ事になった。

災害発生後、被災地で活動する唯一の日本の団体として、医薬品を携えていち早く現地入りしたAMDA・ IMCUの合同救援チームは、現地のコーディネートを統括する保健省の大きな信頼を得て、活動は迅速か つ確実なものとなった。


まとめ
大きな被害をもたらした今回の洪水だが、あまり大きな問題として取り上げられる事はなかった。 AMDAやIMCUのように緊急救援を実施する団体があることを被災者であるルガレの人々が理解してくれた 事が私達にとっても今後の励みとなった。プロジェクト最後の日、キャンプの人々は笑顔で手を振って 私達を見送ってくれた。ケニア洪水で被害を受けた人々が、本当の笑顔を取り戻せる日が早く来る事を 願っている。今回AMDA/IMCUが共同チームを結成し活動した事により、迅速な医療支援を実現する事が 出来た。部族、宗教、生活環境を超えたAMDAの提唱する「多様性の共存」は、どのような緊急の現場で も生きている。


今回の緊急医療支援に際し、IMCU(国際医療協力機構、本部大阪府)、ケニア保健省、ワールドビジョ ン(UK)より多大なご協力を頂きましたことを、この場をかりて御礼申し上げます。


※ 今回の緊急救援に際し、ケニア政府保健省(MOH)、ルガレ避難民キャンプ、から感謝状をいただき ました。

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