緊急救援活動

カンダハルでのアフガン支援活動報告

町谷原病院 外科医師 小林直之(ERネットワーク登録)
AMDA Journal 2002年 12月号より掲載

2001年10月の米英軍によるアフガニスタン空爆後、11月からパキスタンでAMDAによるアフガン難民支援活動が開始され、さらに2002年に入るとアフガニスタン国内に医師を含む調査団を派遣し、避難民、また地域住民に対する医療援助の準備体制を整えていた(AMDAJournal9月号参照)。 今回の派遣では、アフガニスタン・カンダハルの難民キャンプでAMDAとして初めて巡回診療活動を行い、今後の適切な援助活動に関する提言をすることを目的とした。

活動の概要

AMDAは地元NGOのAfgan Health Development Services(アフガン保健開発サービス:AHDS)と合同チームを組み、以下の3ヶ所の国内避難民キャンプで巡回診療を行った。

10月7日
カンダハル州パンジワイ郡ムラチャン・キャンプ
10月8日
モルガル・キャンプ
10月9日
トゥルカーン・キャンプ
パンジワイ郡のミシャン国内避難民キャンプにて巡回診療する小林直之医師 パンジワイ郡のミシャン国内避難民キャンプにて巡回診療する小林直之医師
パンジワイ郡のミシャン国内避難民キャンプにて巡回診療する小林直之医師

キャンプに暮らす人々は、数年間の干ばつ、内戦による避難民の他、パキスタン等外国からの帰還民であり、昨年からの米英軍による空爆による避難民は少ないように感じた。 各キャンプには700〜1000家族が政府支給のテントあるいは土、藁の壁によって作られた家屋に暮らしており、ラクダなどの家畜の有無に貧富の差を感じた。

各キャンプでは、診療用テントでAHDSチームと合わせて乳幼児から成人まで一日あたり100人強の患者を診察した。受診者の男女比はほぼ1:1であり、また年代別に見ると4歳以下、5-15歳、16歳以上の各年代でほぼ均一の分布であった。 疾患別には肺炎や下痢などの感染症、皮膚疾患、乳幼児の栄養失調(Kwasiokor)が目立った。他にマラリア、リーシュマニア症など途上国特有の疾患も散見された。

さらに、パンジワイ郡にあるAHDS診療所を訪問し、医療援助に関する意見交換を行った。また、日本帰国後、10月15日に岡山で今後の活動についての報告会を開き、各報道機関に避難民の現状を説明、AMDAによる医療援助活動に対する理解を求めた。

AHDSのパンジワイ病院の検査室にて医師や技師の相談に乗る小林医師
AHDSのパンジワイ病院の検査室にて医師や技師の相談に乗る小林医師

問題点は何か

衛生指導

各避難民キャンプに給水タンクは見られず、井戸の整備は飲料水は煮沸したものを用いるなどの指導の他、し尿、ゴミの処理の徹底が必要である。

最低限の医薬品の供給、乳幼児の栄養失調対策

抗生物質などの最低限の医薬品や栄養不良児への栄養補給食品の供給は不可欠である。また、今回の受診者のなかには感染創が悪化し、足趾が壊死、脱落したにもかかわらず長期間受診していなかった者、両足の熱傷を放置した結果、重症の皮膚感染症、潰瘍に進展した小児などがみられた。 AHDSによる巡回診療は週2回であるが、医療の質と量の充実を図るためにはより多くの団体、医療スタッフの理解・協力体制が必要であろう。

冬期に備えた防寒対策

防寒に有利な土壁性の家屋、ストーブ、衣類の供給支援

手術・高次医療が必要な救急患者の搬送システムの確立

AHDSによると、救急患者が発生した場合、カンダハル州内の病院に移送しているとのことであった。今後、AMDAが辺境地域での診療活動を展開する場合、救急患者の高次医療機関への搬送システムの確立が急務である。

今後の課題

今後のアフガニスタン難民支援については現地NGOや国連機関と協力し、辺境地域での診療環境の整備を行うことが急務であるが、なかでも手術・高次医療が必要な救急患者の搬送システムの確立が重要と考える。 アフガニスタン空爆の次は米国のイラクへの攻撃が懸念されており、一方、Interpol(国際刑事警察機構)はアルカイダによる大規模な多発テロの危険性が01/9/11以来最も高まっていると警告している(02年11月8日CNN電子版)。 罪のない一般市民を巻き込む悲劇を繰り返すことは避けなければならない。




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