カンボジア

カンボジア 王国における保健医療の現状
AMDAカンボジア支部代表 シエン・リティ医師
     (翻訳 藤井倭文子)

AMDA Journal 2003年 8月号より掲載

筆者(シエンリティ医師)

I. はじめに
巡回診療

カンボジア王国(以下「カ国」)は、東南アジアに位置する農業国である。西にタイ、北にラオスとタイ、南にタイ湾、そして東はベトナム国境に接している。国土総面積は181,035平方キロメートルで、東西にわたる最も広い所は約580km、南北では450kmである。 カ国の気候は熱帯性で、農村地帯の生活リズムの基盤となる、二つの全く異なる季節風によって分かれている。11月から2月は北東から冷たく乾燥した季節風が吹き、殆んど雨は降らない。しかし、夏は南東から吹く季節風が強風、高湿度、豪雨をもたらす。首都プノンペン特別市の年間平均気温は 27℃で、4月が一番暑く、日々の最高気温は40℃以上にもなる。

アンコール遺跡観光

カ国の人口は約1,340万人(2002年調べ)で、その内84%は農村地帯で、残りの16%が都会で生活している。この国の人口密度は、1平方キロメートルあたり64人である。最近の社会開発、特に産業開発の結果、仕事やビジネスの機会を求めて農村地帯から大都市へばく大な数の移住者が流入し、その結果、農村地帯では生産力や労働者の数が減少している。

II. 保健医療の現状
概要:

カ国の社会的生産基盤、人材資源、及び社会サービスは、20数年にわたる戦争や内戦、政治的不安定や経済的枯渇により破壊されたが、徐々に再構築されつつある。しかしながら、農村地帯に住む大部分の住民は今だ貧しく、最も基本的な保健医療サービスへのアクセスにさえ恵まれていない。住民の半数以上が18歳以下で、彼等の経済的・社会的な福祉問題が非常に懸念されている。また、子供や女性の立場を改善するための課題は、未だに多い。 HIV/AIDSの流行は比較的遅れて始まったが、その後急速に進み、現在カ国は東南アジアで最もその影響を受けている国の一つとなった。HIV/AIDS問題が個々人や各家庭に与える経済的ダメージは、非常に大きい。国連児童基金(UNICEF)による援助は、若者達がより良い生活をするための技能を得、自己を表現し、より安全で、より有意義な暮らし方を学び、学齢期の子供達を援助してその生活を安定させ、特に学校へ行けない子供達に留意し、学習環境において子供に優しい環境づくりを促進している。

1. 母子保健医療:
母子保健医療

カ国で生まれる10人に約1人の新生児は、一歳の誕生日を迎えずして死亡している。乳児死亡率は1,000人あたり95人、5歳児以下の死亡率も同様に高く、1,000人あたり124人である。これは、アセアン諸国の中で最も高い数値である。また、約40%の子供達しか基本的な予防接種を受けておらず、12 〜23ヶ月未満幼児の予防接種率はまだまだ低い現状である。そして、5歳児未満の約45%に、体重不足のような発育不良が見られる。6〜59ヶ月の子供達の内、57%だけがビタミンA栄養補強剤を支給されている。出生時における新生児低体重率は11% である。ヨー素塩を使用している家庭はわずか14%である。妊産婦死亡率は10万人あたり437人で、妊産婦のための専門医療機関へのアクセスは相対的に低い。妊娠期間中に、研修を受けた医療従事者による検診を受けた女性は、わずか 38%だけである。また、医療従事者による分娩介助を受けた女性は32%だけである。残りの68%の女性は、家庭で伝統的産婆の介助を受け出産している。また、産後ケアを受ける女性は、特に農村地帯では、非常に稀である。危険を伴う妊娠中絶の率は、過去5年間、非常に高い。

2. 公衆衛生設備:

総人口のわずか30%が安全な飲料水にアクセスでき、17%だけが適切な 衛生設備を利用している。

3.HIV/AIDS:
保健衛生教育

2001年から2002年の第一四半期にかけて、国連合同エイズ計画(UNAIDS) と世界保健機関(WHO)は、各国政府や研究機関と協力し、HIV/AIDSと共に生きる人々の推定値を再検討した。この再検討は、1997年と1999年に発表された推定値、及び最近の多くのHIV/AIDS調査の傾向に基づいている。国際的専門家グループの協力を得て開発された方法が、HIV感染率、 AIDS発症率、死亡率、母子感染によりHIVに感染した子供の数を把握するために使用された。また、感染率の低い国、ある地域や層に感染が集中した国、国全体に感染が広がってしまった国で、HIV感染率を推定するために異なった方法が使われた。現在の推定結果が、感染者数を正確に反映しているとはいえないが、調査方法が改善し、多くの情報を収集できるようになるに従い、これらの推定値は常に修正されている。これらの報告書では、15歳から49歳の男女が対象となっている。この年齢層は、性的に最も活発な年代と考えられている。HIV感染のリスクは明らかに50歳を過ぎても続くわけだが、実質的にリスクを伴う行為を取りがちな大部分の人は50歳までに感染していると考えても過言ではない。成人のHIV感染率を計算する際、この15 歳から49歳の人口は分母として使われている。

実際、カンボジア国民のうち17,000人(全人口の2.7%)がHIV/AIDSと共に生きている。その内、0〜14歳の子供数は約12,000人と推定されている。2001年の推定死亡者数は12,000人で、この病気により親を失った孤児は約55,000人と言われている。

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