カンボジア

AMDAアンロカ地区保健プロジェクト

AMDAカンボジア 伴場 賢一・岡本美代子
AMDA Journal 2002年 10月号より掲載

1. 対象地区

タケオ州アンロカ保健行政区

2. 対象者

地域住民:120,000名(2002年現在)

3. 期間

1999年1月より2002年12月(4ヵ年)

4. 事業規模

予算
US$1,900,000-
スタッフ数
106名(内インターナショナルスタッフ3名)
地区病院(1箇所)
施設として、分娩室・小規模手術室・緊急治療室及び検査室(2次病院)。入院施設として、一般病棟32床・結核病棟30床(年中無休)。
診療所(9ヶ所)
一般外来。施設として、分娩室など(1次病院)。

5. 概要

1999年1月よりAMDAでは、カンボジア政府がアジア開発銀行(ADB)より借款した資金を元にしてカンボジア王国政府と協力し2002年12月まで保健プロジェクトに参加しています。

目的として、カンボジアで問題とされている人材・マネージメント能力不足をNGOの持つ経験と人材を投入する事によって解決し、同時に人材を育成しそのノウハウを今後のカンボジアにおける保健行政の参考にしようという事です。

当事業は、カンボジア王国政府保健省が公募の形で参加団体を募り、各団体より提出された提案書の内容を審査し、その提案書の内容にしたがって各プロジェクトが行なわれています。

AMDAがこのプロジェクトの目的として掲げているのは、4年後つまりプロジェクトが完了した2002年12月において

  1. 保健行政地区における医療技術及び保健サービスの向上
  2. 保健省の定める一般基準・ガイドラインの遵守
  3. 公共医療サービスにおける保健省・地域病院・診療所・NGO及び村落住民の統合化
  4. 有効な人材の再活用
  5. カンボジア王国における地域医療システムのモデルの構築

の5点があります。

その中で、AMDAは特にカンボジアで懸念される公共医療サービスに携わる人材資源の強化・開発と地域保健行政システムの改善が保健サービスの向上に最も有効であり、AMDAがプロジェクトを引き上げた後々まで残る効果があるとの観点から、これらの面に力を注いでいます。

保健行政に携わる人材資源の強化・開発ではAMDAのインターナショナルスッタッフによる、業務内研修(on the jobトレーニング)を基本とした、専門技術・知識の伝達を行ない、業務外研修(out the job トレーニング)ではプノンペン市内の国立病院・JICA病院などでの研修に参加したり、プノンペン市内などから講師を招き、職員個人及び地区全体の保健医療サービスの向上を促進しています。

また、地域保健行政システムの改善については、保健省が進める行政システムの内容から逸脱しない範囲で、独自のシステム(人事・会計・ロジスティック)を導入し、地区保健行政部職員の管理・運営能力の強化を促進しています。

ヘルスセンター 外来受付
ヘルスセンター 外来受付
薬局
薬局

■実施場所:カンボジア王国タケオ州アンロカ地区

アンロカ地区(Ang Roka District)は、カンボジアの首都プノンペンから約80Km(車で約1時間15分)南下した、田園風景の広がるのどかな地区です。近年の調査では地区内の46%の世帯が低所得層に含まれています。カンボジア政府の調査によると、アンロカ地区の20%の最貧層は保健医療サービスに支払う余裕がなく、30%の世帯でのみ安全な飲料水が供給されている状況にあります。

■カンボジアの基本的指標

人口
11,626,520人
民族
クメール人:90%、ベトナム人:5%、中国人:1%、その他:4%
宗教
仏教:95%、他にイスラム教、キリスト教
言語
クメール語(カンボジア語)、他に英語、仏語
識字率
68.7%(男性:81.8%、女性:58%)
GDP per capita(国内総生産)
ppp US$:1,361
*GDP:日本…24,898
*PPP:purchasing power parity
主な産業
農業:51%、工業:15%、サービス業:34%

■カンボジアの保健指標

  • U5MR(5歳以下死亡/1000 live birth):115 (4)
  • IMR(1歳以下乳幼児死亡/1000 live birth):89.4 (4)
  • MMR(妊産婦死亡割合/100,000 live birth):473 (8)
  • LE at birth(平均寿命):male 50.34、female 58.62 (male 77.3、female 84.1)
  • Total fertility rate(合計特殊出生率):4.74 (1.38)

*( )の数字は日本との比較

■管轄保健医療施設

  • アンロカ地区統括病院(2次救急レベル):1
  • ヘルスセンター(1次救急レベル):9
  • 管轄コミュニティ:約120,000人

■具体的活動内容

A. 既定の事業(全てのコミュニティとヘルスセンターの管轄地域)
  1. 第1次医療サービス
    • マラリア(保健省の治療基準に沿って)
    • 性感染症
    • 急性呼吸器疾患
    • 下痢疾患
    • その他、一般的疾患
  2. 以下の慢性疾患の発見と継続治療サービス
    • 結核(保健省の治療基準に沿って)
    • ハンセン氏病(保健省の治療基準に沿って)
  3. 救急医療サービス
    • 小外科治療(膿瘍除去、縫合)
    • 救命救急、ファーストエイド
    • 流行性疾患への応対
  4. 小児保健サービス(0から4歳児対象)
    • 予防接種
    • 栄養失調児の管理
    • ビタミンAの配給
  5. 妊産婦保健サービス
    • 破傷風の予防接種(15から44歳の女性)
    • 妊婦保健サービス
    • 産婦保健サービス
    • 貧血の予防
    • 正常分娩サービス
    • 複雑分娩対策
  6. 避妊サービス
    • 経口避妊薬
    • コンドーム
    • 避妊注射薬
  7. 統括病院への患者紹介と搬送
  8. 健康増進プロモーション
  9. 保健省の企画する活動への参加
  10. コミュニティとの情報交換
B.管理と教育
  1. 人口動態の把握
  2. 保健情報システムへの情報提供
  3. 医療材料や消耗物品の管理
  4. スタッフの管理
  5. 財政管理
C. 地区統括病院の医療サービスの改善と充実
  1. 医療サービス
    • 紹介された患者の管理
    • 深刻な疾患の治療(成人・小児)
    • ハンセン氏病の初期診断と治療
    • 結核の初期診断と治療
  2. 正常・複雑分娩
  3. 救命救急
    • 心肺蘇生術
    • 小手術(膿瘍除去・縫合)
    • 外傷の緊急処置
  4. 臨床検査・診断
    • 結核の喀痰検査
    • マラリアの血液塗沫標本検査
    • 血液・便の寄生虫検査
    • 血液検査(ヘマトクリット、ヘモグロビン等)
    • 尿検査(尿糖、尿蛋白等)
  5. その他、高度なサービス
    • 緊急外科管理(ヘルニア、虫垂炎、子宮外妊娠等)
    • 帝王切開術
    • 輸血管理
    • 診断技術(臨床検査室、X線等)
D. 評価測定
  1. 情報
    • 保健医療サービスの到達範囲(世帯調査)
    • 保健医療サービスの質(施設調査、スタッフインタビュー)他
1999年1月:プロジェクト開始
2000年1月:診療所完成   
2001年1月:入院病棟完成  
2002年1月:有料システム開始



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