ASMP特集

AMDAインドネシアとASMP

AMDAインドネシア代表  Dr. A.H.タンラ(翻訳 近持 雄一郎
AMDA Journal 2004年 7月号より掲載

1984年設立当初のAMDAは、戦争避難民や地震等の自然災害に遭われた方々への救援を主な活動とし ていました。その後二十年に渡り、AMDAは、地域保健医療支援、生活向上/自立支援、人材育成、 緊急救援時多国籍医師団の派遣、そしてAMDA『魂と医療のプログラム』と活動の幅を広げてきまし た。

ASMP(AMDA『魂と医療のプログラム』)の精神は、東洋の思想に根差した非常に宗教的なものです 。つまり、「知、徳、体」という三大要素が「人となり」を形成する基盤であると信じられていま す。WHO(世界保健機関)は「健康」を次のように定義付けています。「完全な肉体的、精神的、 及び社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」(日本語訳:昭 和26年官報掲載)。私は、この健康の定義に「健全な魂」という最も大切な部分を付け加えたいの です。「健全な魂」とは、自己と神との良き繋がりを意味します。イスラム教を含むいずれの宗教 においても病気を治癒する際に重視されるのは、「知、徳、体」を軸とする全人的(ホリスティッ ク)概念です。このホリスティック医療は今や、欧米でもよく知られ、ヘルスケアーシステムがこ れら全ての相互関係を育み、身体的、精神的、感情的、社会的、そして「魂」といった健康の要因 を健全な状態に導いています。AMDAもまたAMDA『魂と医療のプログラム』においてホリスティック 医療を実践してきました。

ASMPの活動に対するAMDAインドネシアの関わり

1.「魂」への支援活動

AMDAインドネシアでは、2000年、2002年、そして今年の二月と三回に渡り、ASMP慰霊祭を行 ってきました。この度は、2月24日と25日に、南スラウェシ島のマカッサルにおいてASMP慰 霊祭を二回行いました。その第一回目はAMDAインドネシアによる「宗教間合同慰霊祭」が 行われ、イスラム教、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー教、仏教、天理教の信徒が 一室に集い、共に祈りを捧げるものでした。日本からは天理教の代表として、平野・関根両 氏がご参加下さいました。

二回目の慰霊祭は、マッカサルからおよそ75キロ離れたマリノで行われました。慰霊祭には 地域の子ども達が主に参加し、慰霊祭の後、子ども達へささやかな贈り物が配られました。

2.医療支援活動

AMDAインドネシアが1991年初めに設立されて以来、私達は国内外において、地震や洪水、 内紛などに関連した数々の支援活動を行ってきました。1997年にマレーシアで発生した 洪水、2002年のアフガニスタン難民、最近では昨年末に発生したイラン南東部大地震に おける被災者への緊急救援活動などです。これらのAMDAインドネシアの人道援助活動は 、AMDA本部の支援の下、医師を現地へと派遣し、無料診療と医薬品の提供を行ってきました。

3.これからの活動

1997年から深刻化したインドネシアの経済危機以降、約四千万人の人々が最低水準以下の生活を送 っているといわれています。多くの生徒,特に医学生は、経済的な問題によって大学教育まで継続 して就学することができません。さらにそれぞれの大学の経営方針で、学費は国立大学でも高騰の 一途を辿っています。

このような状況を憂い、十分な知的能力を有しつつも経済的に恵まれない医学生を支援するため、 昨年、私は、AMDAインターナショナル菅波代表に奨学金制度の設立を提案しました。この奨学金制 度は、今年から開始される(インドネシアでは7月が学年度開始月)予定です。また、このような 奨学金制度は、インドネシアでは新たな試みといえます。何故なら、通常の場合、インドネシア では、奨学金制度は裕福な家庭出身の優秀な学生に提供されているからです。つまり、ほとんど の奨学金は、奨学金を必要としない恵まれた家庭に支給されているのです。

以下がこの奨学金を受けるための条件として提案されました。

  1. この奨学金制度は、十分な知的能力を有しつつも経済的苦境にある生徒を対象とするものである。
  2. 志願者はインドネシア東部の出身者とする
  3. 奨学金を受ける者は他のいかなる奨学金の申請または受領をしないものとする。
  4. 奨学金の支給期間は約七年とする。
  5. この奨学金は、生活費、学費として月額七千円を負担するものとする。
  6. 奨学金を受けた者は、将来的にAMMM(AMDA多国籍医師団)の医師となるものとする。
  7. 奨学金を受けた者は就学を終えた後、全額を返済するものとする。
  8. 返済された奨学金は、新たな学生の奨学金に充てるものとする。

私は、この奨学金制度が、文部科学省の奨学生制度を始めとする他の奨学金財団の国際 的なモデルとなることを願っています。このモデルを実践することは、貧富の格差を無 くすことに繋がります。教育は、AMDAが提唱する平和の定義「今日の家族の生活と明日 への希望が実現できる状況」を実現する始めの一歩であると私は確信しています。




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