ASMP特集

AMDA主催のセレモニーに参加して

棲真寺住職 西  亮天(広島県賀茂郡)
AMDA Journal 2001年 2月号より掲載

 突然フィリピンに行って法要をして呉ないかと言う話がありました。余りにも唐突な話なので戸惑いを感じましたが、 総代長さんの「第二次世界大戦に於いて多数の方々が散華されている上に、現地の民間の犠牲者も少々でないにもかかわらず今迄、 日本の宗教者は現地で何もしていないので今回、佛教とカトリック教による合同の慰霊祭を執り行うので行って欲しい」との話を聞き、 かねがね私達が今日平和とかつて無い程の繁栄を享受し、かく安らかな毎日を過す事が出来るのは、 日本の礎となって戦火の中を散って逝かれた先輩諸兄のお蔭に外ならないと考えていましたのと、 また依頼者が「AMDA」即ち国境のない多国籍の医療ボランティア団体という事もあって参加を承諾いたしました。

 定年後十五年余も山寺の和尚をしていて、田舎者と言うより仙人に近い生活の私が大丈夫かと不安も無いではありませんが、 AMDAの岸田嬢のアドバイスも有り、 また、生来の呑気者と言う事もあって何とか成るだろうと踏切りを附けるのは簡単でした。

 パスポートの準備、留守中の手配等々あっと言う間に出発日11月24日となり新幹線経由で関空に着き、 お上りさんよろしく初めての空港内をきょろきょろ、うろうろ。 冬の日没は早く出発の6時10分はすでに真暗で、機上より見える明りは神戸の街の灯りか? しばらく地上の灯りに心をうばわれていましたが、何時の間にか眠っていたのでしょう、 寒さで目が覚めると早やマニラ上空でした。無事着陸、私の経験からすると検疫、 移民局、税関等と考えていたのですが、何も無く流れに従って記入した用紙を一枚渡すだけのいと簡単な入国手続きですべてOK。 もっともバゲッジと言えばボストンバック一つ、しかも中味は僧衣とお香、線香が入っているだけ、 当然かもしれません。迎えの車で夜のマニラの街をホテルへ、日本と違ってまるで車の洪水です。 よくこれで事故が起きないものと感心している間にホテルに着き、 部屋に入ってほっとしたのは夜も10時を過ぎていました。

 翌朝約束の時間にAMDAの九里氏の出迎えを受けて会場になるスラム街の一角にあるカトリック教会に行き、 司祭の方々と佛教式法要の進め方等打合せ、夕方6時より開会にのぞみました。 先ず司会の方から今日のセレモニーの趣旨説明とAMDA菅波代表の挨拶文が朗読されました。、 引き続いて日本の佛教者と行事の紹介があり、制約の時間内に献香、拝、讀経、回向文奏上と佛式の法要を終了し、 其の後カトリックのミサが行われました。私は此の世に生を受けて74年になりますが、初めてミサに同席の機会を戴き、 得難い体験と感動を受けました。世界の三大宗教と言われるキリスト教、回教、佛教。 かつて我々日本人の家庭に於いても毎日佛壇に香をたき供物をして家族揃って合掌する時代もありましたが、 当地では今も毎日神に十字を切って祈りをささげ、 今回の行事には幼い子供達から老若男女に至る迄約150名が参加してオルガンに合わせて讃美歌をうたい、 それぞれ各自が出来る役目を受け持って行事を進めて行く様子を壇上にて拝見、深く感銘を受けました。 頭を垂れて神に祈る人々の敬虔な姿からは、愛や慈しみの心が深く傅わって会場一杯に広がって行きます。 そして私にはそれが全世界に大きく繋がって欲しいものと切に願わずにはいられませんでした。 最後にマニラ市長の謝意があり、私にまで懇な謝辞を戴いて式が終了。思いもかけぬ有意義な時間を過させて戴きました。



 其の後滞比十年余と言う日本人の山頭泰種司祭(今回のミサをフィリピン神父と共に行って下さった)と共に、 元マニラ医師会々長のチユア氏のご招待にあずかり夕食を共に楽しい一刻を得、其の上翌日、 遠来の客としてマニラ市内の名所案内をして戴き、旧スペイン統治の色濃く残る城郭に立って、 アメリカそして日本もまた一時期支配した時代をも思い合わせ感無量でした。 また市内至る所で大戦に破壊されたものも立派に復旧され、中華街も大変な繁盛振り、 華僑の方々の立派な墓所に目を見張る三時間余の見物でした。 夕方からチユア氏の誕生日パーティーの招待で武装ガードマンの検問を二度も受けてやっとお屋敷に到着、 日本では考えられない体験、自國の治安の良さを改めて感じさせられながら盛大なパーティーに時の経つのも忘れる程、 明朝の出発のため少々早目に心を残して辞退させて戴きました。

 出発時の不安はすべて杞憂、無事帰宅いたしました。振り返って見ますと瓢箪から駒の様な話で参加したフィリピン慰霊祭ですが、 今日の私達の平和な暮しの裏には大戦での余りにも大きな犠牲のあった事に、 宗教者としてより以前の一個の人間として何時もいだいていた想いの一端を、 供養と言う形で表せた事を喜び、この機会を与えて下さったAMDAの皆様に感謝し、 旅行中の多くの方々のご好意に深謝してつたない一文と致します。     合 掌




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