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ミャンマー国 中央乾燥地帯における
母と子のプライマリーヘルスケアプロジェクト フォローアップ事業
 
AMDAミャンマー パコク事務所
Maung Maung Thein 医師 (プロジェクト調整員)
 
 中央乾燥地帯のパコク、ニャンウー、メッティラの3市において2002年7月から2005年6月までの3年間、特に母と乳幼児を対象としたJICA開発パートナー事業「母と子のプライマリーヘルスケアプロジェクト」を実施しました。住民の基礎保健知識の向上やコミュニティにおける協働作業の活性化は見られたものの、これらの活動の定着には今後一定期間のモニタリングやマニュアル作りが必要です。
 そこでJICAの協力を得、2006年8月から2007年3月までの8ヶ月間、上記3地区の対象村においてフォローアップ活動を行うこととなりました。
プライマリーヘルスケアプロジェクトに参加している自助母親グループの小旅行
  AMDAはミャンマーの中央乾燥地帯の3市(パコク、ニャンウー、メッティラ)において、2002年から2005年の3年間にわたり母と子を対象にプライマリーヘルスケアプロジェクトを実施した。この期間中、事業対象5村に駐在する助産師は村の保健委員会のメンバー、コミュニティドラッグポストで働くボランティア、そして母親グループと一緒にプロジェクトに取り組んだ。2005年にプロジェクトの活動をコミュニティへ引き渡した後、彼女等は一週間に一度定期的に共同でクリニックを運営している。委員会とコミュニティドラッグポストのメンバーは遅れずに必要な医薬品の購入と補充を行ない、患者のリスト、財務記録、医薬品の記録等を記録してきた。

小学校を訪問する筆者

村の医療従事者と打ち合わせをする筆者(中央)
 村落でプライマリーヘルスケアを長期間にわたり維持するために不可欠な要素は、コミュニティ住民の自発的な参加である。1978年のプライマリーヘルスケアに関するアルマアタ宣言によると、プライマリーヘルスケアは実用的で科学的に信頼ができ、社会的に受け入れやすい方法と、技術的にはコミュニティ住民の参加により一人一人が広く一般的に利用しやすいこと、コミュニティや国が開発の各段階で自立と自己決定を維持するために不可欠な保健医療システムであると明記されている。

 母親の自助グループは自分の子供達の健康状態のチェックを行い、栄養不良の特徴を一番よく知っているがゆえに、必要なときには病院へ連れていく判断を下すことができる。経済状況にもよるが母親グループは給食プログラムを月一回実施することができる。給食日には子供達の衛生状態をチェックしたり、体重と身長の測定を行なったり、栄養知識について話し合っている。母親達は病気や健康問題について認識しているので、予防措置を取ることができる。

 母親達の間で家族問題についても話し合い、問題の解決策を見つけている。事業対象5村の母親達は同時期に同じプログラムで活動していたが、結果と成果は必ずしも同じではない。ニャンウー市における対象村の母親達はアイディアも異なり、その成果も異なっている。お互いの成果が気になるのであろう、パコク市対象村から10人の母親達が2006年7月21日にイラワディ川を渡りニャンウー市のジーサミィン村を訪問した。ジーサミィンの母親達は温かく歓迎し、自己紹介の後、それぞれの経験談を述べ合うなど、友好的な雰囲気の中で意見交換を行った。グループとして、母親同士で、率直に話し合い解決策を互いに提案していた。

 対岸に住んでいる母親達は友情を築き、お互いに行き来して助け合うことを約束した。これはAMDAのスローガンであるローカルイニシアティブと相互扶助の精神に通じている。パコク市の事業対象村のコミュニティの住民は遠く離れた日本の友人からの支援に対し心から感謝し、末永く母と子のためのプライマリーヘルスケア活動を続けられることを強く信じている。


子どもたちに手洗いを教える母親


子どもたちの健康診断を行う母親

  

保健教育を行う母親グループ
(翻訳 藤井倭文子)
 
 


 
 

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